
4大アワードの一つ:グラミー賞とは?
グラミー賞(Grammy Awards)とは、アーティスト、また技術的な分野で活躍した人物に贈られる賞です。グラミー賞の第1回目は1959年5月4日に開催され、今年(2026年)で第68回となる、歴史あるアワードとなっています。
主催者は非営利団体の全米録音芸術科学アカデミー(National Academy of Recording Arts & Sciences)で、通常8月後半〜10月あたりからその後約一年の間にリリースされた楽曲を対象に審査、その翌年の2月にアメリカ合衆国で授賞式が行われています。
ちなみに、アカデミー賞・エミー賞・グラミー賞・トニー賞の頭文字をとった「EGOT」という言葉があります。これらの賞は、アメリカのエンターテイメント業界における4大アワードで、EGOTは、この権威ある4つの賞を全て受賞したことがある人に与えられる称号です。過去には Audrey Hepburn(オードリー・ヘップバーン)や Elton John (エルトン・ジョン)などを含めた、22人がこの快挙を成し遂げています。
全90以上の受賞部門
グラミー賞には、ポップ、ダンス、クラシック、R&B、カントリーなど、90以上にも及ぶ受賞部門が設けられています。
時代の流れとともに音楽ジャンルが細分化、多様化してきたことを受けて、新たに生まれたジャンルを反映した部門が追加されたり、社会的な背景を踏まえて新設される部門もあります。
数ある部門の中でも、毎年特に注目を集めるのが、
- 最優秀レコード賞
- 最優秀アルバム賞
- 最優秀楽曲賞
- 最優秀新人賞
の4つ。
これらは総称して「ビッグ・フォー(Big Four)」と呼ばれ、その年を象徴するアーティストや作品が選ばれる部門です。
NARS会員となった世界の音楽家が審査
この権威ある賞は誰が決めているのでしょうか。グラミー賞の審査は、何段階かに分かれています。
1.NARS会員(※)やレコード会社が、グラミーの審査の対象とすべき作品をエントリー
2.集められた作品が適切な基準に沿っているかスクリーニング、またジャンル分け
3.第一ラウンドとしてNARSの会員が投票。
ここでグラミー賞にノミネートされる人が決定。
4.NARS会員によって最終投票が行われ、受賞者が決定される。
ちなみに、ONLIVE Studio でも取材させていただいたことのある深田晃さんは、グラミー賞の審査員です。
以下の記事では、投票会員になった経緯をお話していただいてます。ぜひご覧ください。
(※)全米録音芸術科学アカデミー会員の通称。正式名称であるNational Academy of Recording Arts & Sciences の頭文字を取っている。
”腐敗”と批判された過去
現在のグラミー賞の審査方法は2022年から適用されたものです。それまでは、NARS会員の投票に加えて、グラミー賞のノミネート者を決定する”秘密委員会”なる組織がありました。
この組織による選考は非公開的に行われるもので、その不透明性からくる受賞者の人種や性別の偏りが度々指摘され、抗議が行われてきたのです。
象徴的だったのが2018年のグラミー賞。その年の受賞者の約80%が男性だったことに加え、当時の会長による女性蔑視と受け取られる発言が問題となりました。
さらに、後任となった女性会長が、セクハラやパワハラなどといったグラミー内部の問題を告発した結果、授賞式直前に職務停止処分を受けたことで、運営体制への不信感は一層強まる結果に。
また、人種によって不当な評価が起こっているという声も上がっていました。
Beyoncé が2025年に初めて主要部門を受賞しましたが、それ以前に主要部門を受賞していなかったことについては長年疑問視されており、Beyoncé が主要部門の受賞が有力候補と言われていた年に受賞した Adele は“この賞を受け取れない”とスピーチ。別の年では BECK が受賞すると Kanye West が抗議のために舞台上に乱入しかけるなどといった事が起きていた過去があります。
こうした出来事を受け、グラミー賞では審査方法や投票制度の見直しが進められ、最終ノミネートを決定していた秘密委員会は解散。現在の投票方法に変更され、改善していったという背景があります。
政治的・社会的抗議の場
グラミー賞は、4大アワードの一つとして高い注目を集めるがゆえに、政治的・社会的な問題に対する抗議の場としての側面も持っており、政治的・社会的な姿勢を示すアーティストは少なくありません。
2018年には、アメリカを中心にセクハラの告発や撲滅を目的とした “Me Too” や “Time’s Up” といった社会的ムーブメントが広がっており、これに賛同する意思表示として、Ariana Grande や Sam Smith など多くの出席者が白いバラを身につけて授賞式に参加し、社会に向けたメッセージを発信しました。
また、2026年のグラミー賞では”ICE OUT(ICE は出ていけ)”というワードが印象的に使われました。
ICE(Immigration and Customs Enforcement)とは、アメリカの移民税関捜査局のことで、トランプ政権下で強化された非人道的な移民への摘発に対し、アメリカ国内では批判の声が高まっているのです。
この状況を受け、出席者が”ICE OUT”と書かれたバッジを身につけて登場したり、受賞者がスピーチの中で ICE を批判するなど、授賞式の場を通してアーティストたちからメッセージが示されたのです。
グラミー賞を参考に発足した日本のアワード
日本レコード大賞
国内では、これまで音楽のアワードといえば日本レコード大賞(通称:レコ大)と言われてきました。
このレコ大の歴史は古く、グラミー賞と同い年です。
これは、偉大な作曲家である服部良一や古賀政男らなどがグラミー賞を見習い、作曲家が中心となって日本の音楽のレベル向上や、世界に通用する音楽を目指すために同年に作ったものです。そう考えると、日本は音楽に対する意識が高く、取り入れるのがとっても早かったんですね。
MUSIC AWARDS JAPAN
2025年、このグラミー賞のアジア版を目指した ”MUSIC AWARDS JAPAN” が日本に誕生しました。音楽業界に関わる5000人以上の投票で審査が行われ、グラミー賞を参考にしています。
表彰される賞は全部で60以上にも及び、主要部門は最優秀楽曲賞、最優秀アルバム賞、最優秀アーティスト賞、最優秀ニュー・アーティスト賞、Top Global Hit from Japan、最優秀アジア楽曲賞です。その他にも韓国、タイ、フィリピンなど、アジアの国のポップスの特別賞や、洋楽ポップスも表彰するなど、「世界とつながり、音楽の未来を灯す。」というコンセプトのもと、国際色を押し出した賞を前面に押し出しています。
まとめ
世界で一番大きい音楽のアワードであるグラミー賞。
アメリカ音楽の市場規模は世界第一位ですから、グラミー賞で受賞した楽曲は、その年の音楽性を表しているといっても過言ではありません。
一方で、近年は日本人の洋楽離れが進んでいると言われており、Billboard JAPANの調査によると、2017年から2023年の間で”JAPAN Hot 100”にチャートインしたアメリカやその他地域の楽曲は減少傾向にあると言われています。
洋楽を普段聴かないという方も、まずはグラミーのビッグ・フォーを受賞した曲を聴いてみることで、その年に世界で普及していた音楽トレンドを知ることができるかと思います。

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。







