エレキベースにはどんな種類がある?有名モデルや構造で別で紹介!

ひとくちに “エレキベース” といっても、実は形状や構造の違いによって、サウンドの特徴から得意なジャンルまでガラリと変わります。 この記事では、エレキベースの代表的な種類や、初心者なら絶対に知っておきたい構造の違いをわかりやすく解説します。これからベースを始めたい方も、音の違いを知って作曲やアレンジに活かしたい方も、ぜひ参考にしてみてください。

Nami
Nami
(更新: )6min read

エレキベースとは?

エレキベースとは、ピックアップ(※1)と呼ばれる装置を搭載した、バンドの土台となる低音域を担当する弦楽器です。

エレキベースが登場する前は、ポピュラー音楽の低音といえばウッドベース(コントラバス)が主流でした。しかし、持ち運びが大変で音量も小さかったため、1951年にエレキベースが発売されると、瞬く間に音楽シーンの主役に躍り出ました。それでは、エレキベースにはどんな種類があるのでしょうか?次章から、絶対に外せない定番モデルを見てみましょう。

(※1)弦の振動をキャッチして電気信号に変える、いわばマイクのような装置のこと。この信号がアンプに送られることで、音が響く大音量になります。

有名モデルからみるエレキベースの種類

この章では、エレキベースの歴史を作ってきた有名モデルを紹介します。
以下で紹介するベースは、もともとは特定メーカーの製品名です。しかし現在では、多くのメーカーがそれらを参考にしたモデルを製造しており、ベースの“種類(スタイル)”として広く認識されています。

プレシジョン・ベース(Fender Precision Bass)

プレシジョン・ベース(通称:プレベ)は、1951年にフェンダー (Fender)社によって販売された、世界で初めて商業的に成功したエレキ・ベースです。

最大の特徴は、太くてパンチ力のあるサウンド。ノイズを打ち消すスプリットコイル・ピックアップ(※2つのピックアップが斜めにズレて並んだもの)を搭載しており、バンドの音に埋もれない力強い低音を鳴らしてくれます

ちなみに、プレシジョン・ベースが登場する前の主流だったウッドベース(アップライトベース)には、ギターのようなフレット(指板の区切り線)がありませんでした。そのため正確な音程をとるのが難しかったのですが、フェンダー社がこのベースにフレットを採用したことで、誰でも「正確(Precision)」な音程で演奏できるようになりました。これが名前の由来です。
また、肩に担いで楽に演奏できる機能性や、アンプから出る大音量は当時まさに革命的で、瞬く間に世界中に普及していきました。

プレシジョン・ベースの愛用者には、Pink Floyd(ピンク・フロイド)の Roger Waters(ロジャー・ウォーターズ)や、Guns N' Roses(ガンズ・アンド・ローゼズ)の Duff McKagan(ダフ・マッケイガン)などがいます。

ジャズ・ベース(Fender Jazz Bass)

ジャズ・ベース(通称:ジャズベ)は、1960年に フェンダー社から発売されたモデルです。先ほどのプレシジョン・ベースと並び、エレキベース界の二大定番として世界中に愛されています。

特徴は、縦長のシングルコイル・ピックアップが2つ搭載されている点。そして、立ったときに身体にピタッとフィットするように計算された、左右非対称のスタイリッシュなボディ形状です。

サウンドは抜けが良く、パキっと明るいのが強み。さらに2つのピックアップの音量を個別に調整できるため、激しいロックから繊細なバラードまで、1本で自由自在に音色を変えられる圧倒的な万能さを持っています。

もともとは1958年に発売されたエレキギター“ジャズ・マスター”の兄弟機種として登場しました。発売当初はその名の通りジャズ・シーンでの使用を想定していましたが、その使い勝手の良さから、今ではロック、ポップス、アニソンなど、あらゆるジャンルで使用されています。

ジャズ・ベースの愛用者には、U2(ユーツー)の Adam Clayton(アダム・クレイトン)や、Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン)の John Paul Jones(ジョン・ポール・ジョーンズ)などがいます。

ちなみに、2大巨塔であるプレシジョン・ベース(P)とジャズ・ベース(J)を合体させたPJベースというハイブリッド・モデルも存在します。前方にプレベのパワフルなピックアップ、後方にジャズベのキレのあるピックアップを搭載しており、1台で両方の美味しいところを楽しみたいという欲張りなベーシストに人気の種類です。

スティングレイ(Music Man Stingray)

フェンダー社の創設者である レオ・フェンダー(Leo Fender)が、開発に携わり、1976年にミュージックマン( Music Man)社から発売されたモデルです。

最大の特徴は、パキッとした硬質でパワフルなサウンド。低音のパンチ力はもちろん、中高音域がクリアに抜けてくるため、スラップ奏法とも相性が良いです。

スティングレイが当時の音楽シーンに革命を起こしたのは、アクティブサーキットという画期的なシステムを搭載した点にあります。これはベース本体に電池を内蔵することで、手元のツマミ(EQ)をいじるだけで、アンプ側ではなくベース本体側で劇的に音色を調整できるという仕組み。発売当時、この手軽さと音作りの幅広さは驚きを持って迎えられました。

現在は アーニーボール(Ernie Ball)社に買収され、アーニーボール・ミュージックマンとして、世界中のロック・ベーシストに愛され続けています。

愛用者には、Red Hot Chili Peppers(レッド・ホット・チリ・ペッパー)の Flea(フリー)などがいます。

ムスタング(Fender Mustang)

ムスタング・ベースは、て1966年にフェンダー社から発売されたモデルです。先行して発売されていたエレキギターのムスタングと姉妹機であり、当初は学生向けのスチューデント・モデルとして開発されました。

最大の特徴は、“ショートスケール”と呼ばれる短いネックを採用している点です。通常のベース(34インチ)よりも約10cmほど短く、ボディも一回りコンパクト。そのため、手が小さい方や女性、小柄な方でも圧倒的に弾きやすいベースとして定評があります。

Mustang とは英語で、野生の馬を意味しますが、ベースのサウンドは暴れ馬というよりも、むしろ丸みがあって温かく、どこか愛嬌のあるポコポコとした低音が魅力。この独特のいなたい(渋い)サウンドが、今のインディーロックやポップスシーンでも再評価されています。

ちなみにこのモデルは、創設者のレオ・フェンダーがフェンダー社 に在籍中、最後にデザインしたベースとしても歴史的に知られています。

Höfner 500/1(ヴァイオリン・ベース)

ドイツの楽器メーカー、ヘフナー(Höfner)社が1956年に発表したエレキベースで、ヴァイオリンベース(※2)の代名詞として世界中に知られています。

特徴は、なんと言ってもその美しいルックスと軽さ。そしてアコースティック・ギターのように中が空洞になっているホロウ・ボディです。サウンドには温かみがあり、音の伸びが短いのが特徴。これが逆にウッドベースのような心地良いビンテージ感を生み出し、唯一無二の味わい深い低音を鳴らしてくれます。

世界一有名な愛用者は、ザ・ビートルズ(The Beatles)の ポール・マッカートニー(Paul McCartney)。左利きのポールが「左右対称のヴァイオリン型なら、左用で持っても形がカッコ悪くならないから」という理由で選んだエピソードはあまりにも有名です。

(※2)ヴァイオリン・ベースとは、その名の通り、見た目がヴァイオリンにそっくりなベースのこと。

リッケンバッカー・4000シリーズ(Rickenbacker 4000series)

リッケンバッカー(Rickenbacker)社が製造している、唯一無二の個性を放つベースです(代表モデルの4001や4003などが有名です)。
リッケンバッカー社は1931年に創業した老舗で、実は世界で初めてエレキギターを販売した会社とも言われています。

最大の特徴は、ボディやネックの大部分に硬いメイプル(楓)の木材を使用していること。さらに、ネックの木材がボディの先端からお尻まで1本で貫通しているスルーネックという特殊な構造を採用しています。

これによりそのサウンドはタイトな低音と、金属的でジャリっとした骨太な高音がはっきりと出ます。バンドの中でも埋もれない圧倒的な存在感があり、ロックとの相性は抜群です。

1960年代にザ・ビートルズが同社の楽器を愛用したことで世界中にその名が轟き、今でも唯一無二のデザインとサウンドで根強いファンを魅了し続けています。

愛用者には、ザ・ビートルズポール・マッカートニー、イエスの クリス・スクワイア(Chris Squire)などがいます。

構造や機能でみるベースの種類

フレットレス・ベース / フレット付きベース

通常、ベースの指板には音程を区切るための「フレット」が打たれています。これがあるおかげで、狙った場所を押さえれば誰でも正しい音程を出せます。

一方で、その仕切り線が全くないタイプを「フレットレス・ベース」と呼びます。ウッドベースやバイオリンと同じ構造になるため、音と音の間を滑らかに繋ぐ艶っぽい表現ができるのがメリット。ただし、完全に自分の耳と指の感覚だけで音程をとる必要があるため、演奏の難易度は上がります。

アクティブ・ベース / パッシブ・ベース

エレキベースは、電気的な仕組みによってアクティブ・ベースとパッシブ・ベースの2種類に分けられます。違いは、ベースの内部にプリアンプ(電池を必要とする音質調整回路)が入っているかどうかです。

内部にプリアンプを搭載しているものがアクティブ・ベースで、スティングレイの章で紹介した通り、ベース本体のツマミで低音や高音をガツンと削ったり足したり(ブースト/カット)できます。ノイズに強く、モダンで迫力のある音が特徴です。

一方、プリアンプを搭載していないものがパッシブ・ベースで、プレベやジャズベの伝統的なスタイルです。電池を使わず、木材や弦の鳴りをそのまま出力するため、ピッキングの強弱によるニュアンスが豊かで、温かみのあるナチュラルな音が特徴です。

ホロウボディ・ベース / ソリッド・ボディ

楽器のボディ(本体)の中身がどうなっているかの違いです。
ホロウ・ボディは、アコースティックギターのように、ボディの内部が空洞(または一部が空洞)になっているタイプ。先ほど紹介した「ヴァイオリン・ベース」がこれに当たります。
一方で、木材に空洞がなく、ギュッと詰まっているタイプをソリッド・ボディといいます。現在世の中にあるエレキベースの多くがこのソリッドボディです。音が引き締まり、大音量で鳴らしても不必要なハウリング(キーンというノイズ)が起きにくいのがメリットです。

多弦ベース(5弦、6弦など)

通常、エレキベースの弦は4弦ですが、世の中には弦が5本や6本ある“多弦(たげん)ベース”も存在します。

スタンダードな4弦ベースとの一番の違いは音域です。例えば5弦ベースなら、4弦よりもさらに低い重低音を出せるため、現代のヘヴィなロックや現代の J-POP には欠かせない存在になっています。また、6弦になると低い音だけでなく高い音までカバーできるようになります。
弦が増えた分だけネックが太くなり、コントロールには技術が必要になるため、初心者はまず王道の4弦からスタートするのがおすすめです。

エレキベース初心者におすすめは?

初心者でまず初めの一本としておすすめなのは、ジャズ・ベースです。
どんな曲にもマッチする万能なサウンドと、音作りの幅広さ、そしてネックが細くて握りやすいことから、ポップスからロック、バラードまでジャンルを問わずマルチに活躍してくれます。

もし、“自分は激しいロックやパンクが好き!”“骨太で図太い低音を鳴らしたい!”という明確な好みがあれば、シンプルでパワフルなプレシジョン・ベース(プレベ)を選ぶのも良いでしょう。

予算に余裕がある方には、フェンダー社がおすすめです。エレキベースの生みの親であり、世界のスタンダード。音のクオリティや作りの良さは一級品で、メンテナンス次第で一生モノの相棒になってくれます。

もう少し価格を抑えたい方には、フェンダー社が自ら展開する公認の姉妹ブランドである Squier(スクワイヤー)がおすすめです。本家フェンダーの正当な設計やルックスしっかりと受け継ぎつつ、初心者でも手の届きやすいリーズナブルな価格帯でクオリティの高いモデルが揃っています。

番外編:エレキベース以外にはどんなベースがある?

今回の記事では、エレキベースを中心に紹介してきました。世界にはほかにもユニークな「ベース(低音楽器)」が存在します。最後に番外編として、その一部を紹介しましょう。

アコースティック・ベース

その名の通り、アコースティック・ギターのベース・バージョンです。

ホロウボディで、アンプを繋がなくても自宅練習や静かな生演奏なら、アコギのような温かい生音を楽しめます。また、多くのモデルにピックアップが内蔵されており、アンプにつないで、エレキアコースティック(エレアコ)・ベースとしてバンドで大音量で鳴らすことも可能です。

ウッドベース(コントラバス)

ジャズやブルース、ロカビリーなどで活躍する巨大な木製ベースです。
ダブルベース、アップライト・ベース、コントラバスなど様々な呼び名がありますが、基本はすべて同じ楽器を指します。

クラシックのオーケストラでは主にコントラバスと呼ばれて弓で演奏されますが、ジャズなどのポピュラー音楽では、指で弦を弾くピッチカート奏法が主流です。

ウクレレ・ベース

その名の通り、ウクレレの形をしたミニサイズのベースです。
おもちゃのようなコンパクトさですが、アンプに繋ぐと ウッド・ベースにそっくりな、ズシッとした本格的な重低音が響き渡ります。

弦がシリコンゴムやポリウレタンなどの太いゴム紐のようになっており、独特のぷにぷにとした演奏感とリゾート感ある癒やしのサウンドが魅力です。、

シンセ・べース

鍵盤楽器のシンセサイザーで作るベースの音、あるいはその楽器自体のことです。シンセサイザーが広く普及した1980年代以降に定着し、現在の HIP-HOP や R&B、Jポップ、EDM などのクラブ・ミュージックには欠かせない存在となっています。

ちなみに、シンセ・ベースの中にも地響きのような低音のリースベースや、HIP-HOPのド定番である808ベースなど、有名な定番サウンドがたくさん存在します。こちらはまた別の機会にご紹介したいと思います。


まとめ

以上、今回はエレキベースの有名モデルから、構造の違い、さらにはユニークな仲間たちまで幅広くご紹介しました。エレキベースとひとくちに言っても、モデルや構造によって見た目もサウンドのキャラクターも全く違うことがお分かりいただけたかと思います。

これからベースを演奏してみたい方も、DTMなどの作曲・アレンジの幅を広げたい方も、ぜひ今回の記事を参考に、あなたの目指す音楽にぴったり合う最高の1本を見つけてみてください。

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

More from ONLIVE Studio blog

Register Now

ONLIVE Studio で
音楽制作しませんか?

プロフェッショナルに音楽制作のサポートを直接依頼できます!

登録プロフェッショナルも募集中!

ONLIVE Studio →