そもそもコンプレッサーとは?という方は、こちらの記事もぜひ合わせてお読みください。
パラレル・コンプレッションとは?
パラレル・コンプレッションとは、コンプレッサーが掛かっていない音(原音)と、コンプレッサーを強く掛けた音をブレンドして使用することを指します。
両者をブレンドして使用することで、“音のこもり” や “音がのっぺりする” などのコンプレッサーを使用した際に生じるデメリットを補いつつも、パンチのあるサウンドを実現することが可能となります。ドラムやパーカッション、またボーカルなどにも有効です。
パラレル・コンプレッションの登場は、1960年代まで遡ることができます。
70年代ではモータウンで働いていたローレンス・ホーンがボーカルにパラレル・コンプレッションを使用し、その手法の基礎を作りました。
1990年代にはトニー・マセラティをはじめとしたニューヨークのエンジニアたちの間でこの手法がさらにブラッシュアップされ、人気の手法へと確立。そのため、別名ニューヨーク・コンプレッションとも呼ばれています。
パラレル・コンプレッションのためのコンプ知識
ダウンワード・コンプレッション
コンプレッサーは、スレッショルドで設定した値を超えた音に対し、レシオで設定した圧縮率で音を圧縮します。つまり、大きな音量を下げることで、小さい部分との音量差(ダイナミクス)を縮めているのです。
このような従来のコンプレッションの方法を、ダウンワード・コンプレッションといいます。
アップワード・コンプレッション
ダウンワード・コンプレッションに対して、閾値(しきいち)以下の音を持ち上げて、ダイナミクスの差を縮める方式です。
パラレル・コンプレッションは、このアップワード・コンプレッションに近い働きがあります。
パラレル・コンプレッションのメリット
細かいサウンドの調整ができる
プラグインによっては WET(コンプレッションされたサウンド)と DRY(原音)を調整できるノブがあり、そこでサウンドを調整することも可能ですが、これではそれぞれのサウンドごとに 音色の調整をすることができません。パラレル・コンプレッションにすることによって、より細かいサウンドの調整が可能になります。
自然なダイナミクスを残せる
音の立ち上がりの際に生じるピークのことを「トランジェント」と呼びます。
このトランジェントは、音の輪郭のようなイメージで、音の明瞭さやグルーブにも影響する重要なものです。
通常のコンプレッションの場合、閾値を超えた大きな音が圧縮されます。
この場合、トランジェントを含め圧縮されてしまうので、音が平坦に聞こえてしまう可能性が生まれますが、パラレル・コンプレッションは原音をミックスしているので、自然なダイナミクスが残せます。
パラレル・コンプレッションのかけ方
BUSを使用する
<Logic pro の場合>
1.チャンネルストリップの「Sends」をクリックし、BUS を作成。AUXトラックを立ち上げる


2.AUXトラックにコンプレッサーをインサート

3.コンプレッサーの値の調整

4.センド量を調整する

<Cubase の場合>
1.パラレル・コンプレッションをかけたいトラックのチャンネル設定を開く

2.Send先の1-Postを右クリック。「FX Semds 1 にエフェクトトラックを追加」を押す

2.使用するコンプレッサーを選択、コンプレッサーの設定をする。

3.赤丸部分を押し、Pre フェーダーにし、Sends量を設定する。

ルーティングについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
パラレル・コンプレッションが活用された曲
Bruce Springsteen 『Letter To You』Sound on Sond のインタビューで、この曲を担当したエンジニアのボブ・クリアマウンテンが、スネア用にパラレルのチャンネルに1176のコンプレッサーをかけていると明言しています。
まとめ
以上、今回はパラレル・コンプレッションについて解説をしていきました。
エフェクトの基本的な役割が分かってきたという方は、今回ご紹介したパラレル・コンプレッションを試してみてはいかがでしょうか。
また、自分が求めるサウンドによっては、必ずしもパラレル・コンプレッションが適しているとは限りません。通常のコンプレッションと比較してそのサウンドの違いを体感し、その上でどのような処理を行うかを判断していくことがミックス上達への第一歩となります。ぜひトライしてみてください。

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。








