株式会社Rebrast(リブラスト)について「一緒にプロを目指していこうという方針」
-会社を立ち上げた理由は?
僕は元々所属していた作家事務所があったんですけど、当時からコライティング(※1)で曲を作っていたんです。事務所を離れるってなった時に、そのチームで何かやろうかなと思ったのが会社を立ち上げたきっかけです。
その事務所の先輩方はすごい方ばかりで、みんなレコード大賞を取っていて、僕も物怖じしないタイプだったので「先輩のデモを聞かせてください!」って積極的に言ってました。
そうやってコンペで採用されたデモとかを聞かせてもらっていたので、所属時代はすごく勉強になったなと思います。
(※1)複数人の作家が共同で楽曲制作を行うこと
-作家事務所はどのようなところからお仕事が来るんでしょうか?
事務所にもよりますが、Rebrast の場合はレーベル・アーティスト事務所さんが多いですね。
あとはずっとタッグを組んでいる音楽事務所から来ることもあります。
仲の良い方から「曲を集めなきゃいけない案件があるから連絡先を共有しても良いですか?」などの流れでご紹介いただくこともあったりします。
他にも現場で知り合って、その繋がりでお仕事をいただけることもあるので、色んな繋がりからお仕事をいただいていますね。
-事務所内でお仕事の割り振りはどのように行っているのでしょうか?
コンペに関しては、Rebrast と契約を結んでる作家に共有しています。
制作受託の場合には、内容に応じて得意な子を中心にチームを組んでやったり、場合に応じて NDA を結んでいる提携会社さんと協力して作ることもあります。
-色んな作家事務所があると思いますが違いはなんでしょうか?
事務所によって方針が結構違ったりするんですよね。まずは所属してもらう、みたいな事務所もあると思います。
Rebrastの場合は、デモを頂き面接などを行って、その後はお試し期間で人柄やスピード感などを見て、問題がなければ契約といった流れになります。
なので前者の事務所よりは間口は狭いかもしれませんが、一緒にプロを目指していこうという方針で、採用した方に対してはフィードバックを行ったり、サポートしています。
作家事務所に入ることについて「早いうちに作家事務所に入った方が勉強になる」
-作家事務所に入ることについてどう思いますか?
僕の経験からいうと、音楽家を目指すなら早いうちに作家事務所に入った方が勉強になると思います。
例えば実際に採用された曲に対して、クライアントから「ここ短くしてください」とか、直しが入ったりするんですけど、そういうのフィードバックを聞くことでクライアントがどういうことを考えているのかが理解がしやすくなったり、それがコンペに通る秘訣だったりするんです。
あとは選ばれた曲を聴いたりすると、結構新しい気づきがあったり。
例えば少し前までは Aメロ、Bメロ、サビは全部似ないように作った方が良いと言われていたんですが、曲によってはAメロとサビが似てても良かったりするんだなって分かったりとか。
所属して経験が増えると裏テクみたいなのが分かってきたりします。
-作家事務所に入るのは難しいのでしょうか?
人数を集めたい作家事務所のエントリーは広いため、まずはどこかに所属して経験を積み、その後、希望する事務所に応募するのも良い方法です。
今回インタビューしていただいている「ONLIVE Studio」さんも無料で登録が出来て、コンペなどの案件もあるので、勉強するのに登録したりしても良いと思います。
また、落ちた事務所に実力が上がったら再度デモを送るのも効果的だと思います。本当に入りたいんだなと心が動かされるケースもあると思いますし、実力がのびている場合にもそこを見てくれたりすると思います。
もし事務所の所属を考えている方が居たら弊社にも送ってみて下さい。
ただ、そうやって色々応募をしていって全く結果が出なかった場合には、最低限認められる実力をつけることが必要だと思います。
例えば、無名でも高いスキルがあれば大手の事務所に入ることができますし、活躍の場を広げられると思います。手に職があれば、ちゃんとした事務所に絶対入れるし食べていけると思うので、実力を磨くのは大事だと思います。
作曲家を目指す人たちへ「方向性を定めて、情熱とか頭を振り切ることが大事」
-今作曲家を目指してる人たちにアドバイスはありますか?
目の前のことにしっかり取り組むことが大事です。関係のないようなことでも、最終的にやりたかったことに繋がることが良くあります。
それと、ふわふわとした「作曲家になりたい」という考えだと厳しいかなと思います。
例えばボカロP のような「アーティスティック重視の作曲家」と、僕のような「誰かに曲を提供する作曲家」って、求められることとか、考え方が全然違うんです。方向性を定めて、情熱とか考え方を振り切ることが大事だと思います。
アーティスティックな方面で売れたいんだったら、そっちに特化してしっかり時間をかけて、どうすれば売れるのか分析をしたり、どうやったらそこの業界で人脈を広げられるかを考えたり、本気でやりたいところに本気で向かっていくのが良いと思います。
-どのような点が違うのでしょうか?
僕たちのような職業作家の、相手の求めるものに対してクオリティを高く良いものを提供する技術と、自分のオリジナリティを追求して自分が良いって思える曲を作るのとはちょっと違うんですよね。
実際にボカロP でオリジナリティが強い方がいらっしゃって、クライアントの修正要望に対して「そのリテイクはクオリティが下がるんで受け入れません」っていうことがあったりもします。しかし仕事で受ける場合にはそんなことは言ってられないので、ダメにならないように修正していく技術や柔軟な考え方が求められます。
-音楽的な部分以外の部分で、求められることはありますか?
人間性ですかね。人間的に良い人と仕事するのは楽しいなと思うし、人間的に苦手な方とは結局なかなか仕事になりにくい気がなんとなくします。
もちろんお金も大事なんですけど、「本気で作る」ってなるとお金だけじゃなくなってくるんです。
熱い気持ちを持っている方とは「一緒に仕事したい」と思いますし、そういった方は信頼できます。それはクライアントも作曲家もどちらもそう思います。
-作曲家における信頼とは?
案件とかコンペって、口外無用の情報を取り扱うことになるんです。なので、音楽制作の話を気軽に外で話さない、節度を持った方かどうかは大事にしています。そういった点で信頼できる人と仕事をしていますし、今後もしていきたいです。
Rebrastではリスク管理の意識を少し高めにやっていると思いますので、人格や誠実さはとても大切だと思っています。
-Rebrastに応募しようと思う方にアドバイスはありますか?
そうですね。応募してくれる方でセンスが光る方は良くいらっしゃるのですが、サウンド感が惜しい方が多い印象です。
今リリースされてる色んな曲を聞いて、今の市場を勉強して、求められているサウンド感を勉強すると良いと思います。
-最後に、会社としての今後の目標はありますか?
まずは会社を潰さないということです。
一発逆転とか、そういうことは考えていなくて、堅実に一歩一歩やっていくことが大事かなと思っています。
社員もいるので、そういう人たちを守らなきゃいけない部分もありますし。そうしていく中で、自分たちの作った曲に魅力を感じてくれる人から連絡いただいたり、ご紹介をいただいたりして、繋がりを増やしていけたらいいですね。
あとは、前のインタビューの時にお話しした個人的な目標を叶えていきたいです。
まとめ
今回は、作家事務所の代表という立場だからこそ伺えた、貴重なお話がたくさんありました。普段から事務所に届く多くの楽曲をチェックしている早川氏だからこその具体的なアドバイスは、作家として成功を目指す方々にとって参考になる内容だったのではないでしょうか。
そんな売れっ子作家として活躍する早川氏は、どのような音楽遍歴を経て、現在の地位を築いてきたのでしょうか?彼のこれまでのキャリアを深く掘り下げた記事も公開していますので、合わせてご覧ください。
早川博隆氏プロフィール
名前: 早川博隆
所属:株式会社Rebrast
出身:千葉県松戸市
出身校:法政大学
趣味:音楽鑑賞・つけ麺・学マス・ポケモンカードなど
生年月日:9/9
Hirotaka Hayakawa Works
https://rebrast.com/creators/hayakawahirotaka/
東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。