
インピーダンスとは?
インピーダンスとは、交流回路における電気抵抗、つまり電流の流れにくさを表す量のことで 、Ω(オーム)という単位で表されます。
中学校の理科で習った、オームの法則を覚えていますか?オームの法則では、電気回路における電圧と電流、抵抗の関係性を表しています。公式は、電圧(V)=電流(I) X 抵抗(R)です。
このオームの法則では、電流は電圧に比例し、抵抗と反比例するということが表されています。
簡単に言ってしまえば、このオームの法則の抵抗を、もう少し複雑にしたものがインピーダンスです。つまり電圧と電流、インピーダンスの値はそれぞれ相互関係があるのです。
なぜインピーダンスを考慮する必要があるの?
楽器や音響機器にもそれぞれインピーダンスがあり、それぞれに流れる電流や電圧に影響を及ぼしています。そのため、音響機器同士を接続する際、インピーダンスが違うとそれぞれの電圧も違ってしまい、その結果音が変化してしまったり、機器の損傷や故障に繋がる原因になってしまうのです。
「ギターを LINE入力したけど、取り込まれた音がこもっている」
「録音はできたけど、なんだか音量が小さい...」
これらはインピーダンスが原因かもしれません。
次章から機器を接続する際に考慮すべき具体的な方法を見ていきましょう。
インピーダンスの鉄則「ロー出しハイ受け」
インピーダンスの鉄則として、「ロー出しハイ受け」という考えがあります。
これは機器を接続する際に、出力側のインピーダンスの値よりも、受け手側のインピーダンスの値を高くする必要があることを指しています。
楽器を LINE入力をする場合は Hi-Z入力で
DTM で音楽制作をしていて、インピーダンスに最初に出くわす場面は、エレキギターなどの楽器とオーディオインターフェイスを繋ぐ場面なのではないでしょうか。
エレキギターやエレキベースなどのインピーダンスが高い楽器をオーディオインターフェイスに接続して LINE入力を行いたい場合、 Hi-Z入力で録音することで、音の劣化を防ぐことが可能です。
多くのオーディオインターフェイスには「Hi-Z」といって、インピーダンスが高い楽器に対応しているジャックが搭載されています。この Hi-Z に対応するジャックに楽器を接続することで、Hi-Z入力が可能になります。
Hi-Z は、機材によっては「Inst」と表記されていたり、ボタンで ON、OFF ができるものなどがあります。
ヘッドホンとヘッドホンアンプ
ヘッドホンの仕様書に、インピーダンスの記載を見つけた方もいるかと思います。
プロも使用するヘッドホンは高インピーダンスのことが多いです。しかし、そのような高インピーダンスのヘッドホンは直接デバイスに接続するのではなく、ヘッドホンアンプとセットで使用することが必要となります。
この時、ヘッドホンアンプとのインピーダンスの値を確認しましょう。
パッシブスピーカーとアンプ
スピーカーにはアンプを搭載してるアクティブスピーカーと、別途でアンプが必要なパッシブスピーカーがあります。
パッシブスピーカーを使用する際は、使用するアンプとのインピーダンスの値を確認する必要があります。
補足:インピーダンスが高い、低いとは?
ここまで、DTM におけるインピーダンスについてご説明してきました。
では、インピーダンスが高い、低いとはどのような状態なのでしょうか?
インピーダンスについてより詳しく知りたいという方は、こちらの章をご覧ください。
インピーダンスが高い場合
- 「インピーダンスが高い」=「電気抵抗が高い」
- 電圧が一定の場合、インピーダンスが高いと、電流が流れにくくなる
- 電流が一定の場合、インピーダンスが高いと電圧が高くなる
- ノイズに弱い
インピーダンスが低い場合
- 「インピーダンスが低い」=「電気抵抗が低い」
- 電圧が一定の場合、インピーダンスが低いと、電流が流れやすくなる
- 電流が一定の場合、インピーダンスが低いと電圧が低くなる
- ノイズに強い
インピーダンスは、よくホースに流れる水の流れに例えられます。
出力側の方がインピーダンスが高い場合、出力側から送られる信号(水)を、入力側が受け取り切れません。その結果、信号が弱くなったり、余った信号が機材に影響を与えてしまうのです。

まとめ
以上、今回はインピーダンスについてご紹介しました。
ライブの時はギターやベースなどの音をコンソールやミキサーへ送る際に、間に DI (ダイレクトボックス)をかますことで、楽器から出力された高いインピーダンスを低く変換し、音を劣化させることなく音を再生することが可能になります。DIとは、高インピーダンスの楽器のインピーダンスを低インピーダンスに変換してくれる機材のことです。
インピーダンスは深く理解をしようとすると難しいですが、まずは最初の一歩として、インピーダンスの鉄則「ロー出しハイ受け」を覚えておくとよいでしょう。

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。