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作曲におけるインターポレーションとは?
インターポレーションとは、既存曲のフレーズや歌詞を引用し、再録音して楽曲に取り入れることです。
例えば、SNS でも大ヒットした2018年リリースの Anne-Marie(アン・マリー)の楽曲『2002』は、インターポレーションによって作曲されています。
この曲の歌詞は2002年からの恋を歌っていますが、その内容に合わせて1998年〜2003年に流行した楽曲の歌詞をインターポレーションとして引用して作られています。
元ネタは *NSYNC『Bye Bye Bye』や Britney Spears 『...Baby One More Time』『
Oops!...I Did It Again』など、全部で6曲もあります。
Anne-Marie『2002』
以下のサイトでは、どの曲からの引用からが見れるので、元ネタと聴き比べてみると面白いでしょう。
2002 Interpolations - Anne-Marie|Genius
サンプリングとの違い
サンプリングもまた、既存の曲を使用する手法なため、インターポレーションとサンプリングと混合されやすい手法でもあります。
サンプリングとは、録音物の一部分を使用し楽曲に取り入れるという手法です。
サンプリング元
サンプリング後
インターポレーションとの大きな違いは「再録音されるかどうか」です。
サンプリングは既存曲の音源の一部をそのまま、もしくはその音源のピッチを変更したり、エフェクトをかけたりなどの加工を加えて新しい楽曲に取り入れられます。
一方、インターポレーションは歌詞やメロディー、トラック作成時に使用されるため、録音は改めて行われます。
また、どちらの手法も元の楽曲に関する著作権、または著作隣接権を保有する場所に承認が必要です。
サンプリングの場合は楽曲に関する著作権に加え、録音物の著作権が含まれます。
インターポレーションの場合は、録音物は使用していないため、録音の著作権には関わりません。
そのため、インターポレーションの場合はサンプリングするよりもコストが少なくすみます。
オマージュとの違い
オマージュもまたインターポレーションと似ています。
オマージュとは影響を受けた作品に対し、敬意を持って新たな作品を作ることです。
どこか元ネタを感じる要素があっても、よほど酷似していない限りは、著作権の侵害に当たることは少なく、インターポレーションよりも直接的ではない表現とも言えるでしょう。
インターポレーションの例
Michael Jackson『Wanna Be Startin' Somethin'』
Michael Jackson 『Wanna Be Startin' Somethin' (Audio)』
Soul Makossa 『Manu Dibango (Original)』
曲の後半で「Mama-say, mama-sa, ma-ma-ko-ssa」という歌詞がありますが、これは カメルーンのアーティストである Manu Dibango(マヌ・ディバンゴ) が1972年にリリースした曲『Soul Makossa』からきています。(上の動画では、実際に歌っているところの秒数指定してありますので聴いてみてください)
しかし、これは Manu Dibango に無許可で行われたため、Manu Dibango は Michael Jackson に対して訴訟を起こし、勝訴しています。
Kanye West『Gold Digger 』
Kanye West『Gold Digger』
I've Got a Woman『I've Got a Woman』
Ray Charles(レイ・チャールズ)『I've Got a Woman』が元ネタです。
一見サンプリングにも聞こえますが、2004年に公開された Ray Charles の伝記的映画『Ray』 にて Ray Charles を演じた Jamie Foxx(ジェイミー・フォックス)により再録音されたものです。
Jamie Foxx は同映画にてアカデミー賞やゴールデングローブ賞など数々の章を受賞しており、その役作りの完成度の高さに賞賛されていました。
一聴では本家と聞き分けがつかないくらい寄せて歌い上げていて、流石です。
ぜひ聴き比べてみてください。
Ariana Grande『7 rings』
Ariana Grande 『7 rings (Official Video)』
The Sound of Music (Official HD Video)『My Favorite Things』
日本でも大ヒットした『7rings』。お気づきの方も多いかもしれませんが、これは有名なミュージカル『The Sound of Music』の劇中歌『My Favorite Things』が元ネタです。
また、Ariana Grande(アリアナ・グランデ) はレバノン出身の音楽プロデューサー MIKA(ミーカ)とのフューチャリング曲『Popular Song』をリリースしていますが、こちらはミュージカル『Wicked』の劇中歌『Popular』をインターポレーションしたものです。
Ariana Grande は昔からミュージカルの曲をカバーしていたりなど、ミュージカル愛あふれていましたが、ついに今年3月公開の Wicked 初の劇場化でグリンダ役に Ariana Grande が選ばれました!公開が楽しみですね!
Miley Cyrus ft. Dua Lipa『Prisoner』
Miley Cyrus 『 Prisoner (Official Video) ft. Dua Lipa』
Kiss 『 I Was Made For Lovin' You』
メロディーに Kiss の『 I Was Made For Lovin' You』がインターポレーションされています。
楽曲も去ることながら、この曲の MV も映画『The Rocky Horror Picture Show(ロッキー・ホラー・ショー)』や『Female Trouble(フィメール・トラブル)』にインスパイアを受けて制作されていることが伺えます。
ROSÉ & Bruno Mars『APT』
ROSÉ & Bruno Mars 『APT. (Official Music Video)』
TONI BASIL 『Mickey』
APT 旋風とも呼ばれ、世界中でヒットした『APT』。
この曲は、TONI BASIL(トニー・バジル) の『Mickey』という曲からトラックをインターポレーションしているとのこと。
ドラムのパターンが特に似ていますね。
日本の曲では?
洋楽では一般的な手法でありつつも、日本の曲では少ない印象です。
どちらかといえば、オマージュやインスパイアの方が多いのではないでしょうか。
あまり手法として国内で一般的になっていない明確な理由は分かりませんが、オリジナルを重視する文化や、海外と比べて許可が降りにくい..?などの問題がもしかしたらあるのかもしれませんね。
今回はそんな中でも、このような作曲手法を取り入れている楽曲をご紹介します。
米津玄師『KICKBACK』
米津玄師『KICKBACK』
モーニング娘。 『そうだ!We're ALIVE』
冒頭のセリフ部分は、モーニング娘。の楽曲から引用したもの。クレジットに表記もあります。
原曲の雰囲気と全く違うテイストの楽曲ですが、歌詞がマッチしていてかっこいいですね。調べるまでは、まさかこの冒頭がモーニング娘。からの引用だとは思いもしませんでした。
この思いがけないコラボレーションに、原曲の作曲者であるつんく♂ 本人からも絶賛のコメントが寄せられています。
まとめ
以上、今回はインターポレーションという手法についてご紹介しました。
インターポレーションに対して「パクリ」や「独自性がない」などの懐疑的な声も一部ありますが、これは昔から行われてきた手法です。
好きな曲がインターポレーションを使って作曲されていたら、その元となる楽曲を聴いてみると、音楽性の幅も広がって良いのではないでしょうか。
もちろん、引用元からは許可を取る必要がありますが、個人で楽しむ分にはその必要はありません。
メロディーを一から作るのはまだ難しい...という方は、まずは好きな楽曲のメロディーの一部を変える練習から始めてみてはいかがでしょうか。
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東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。