

【宅録】DAW でエレキギターをライン録りするには?|必要な機材、やり方から音作りまで
「エレキギターを録音したいけれど、やり方がよく分からない……」という方も多いのではないでしょうか。かつては、エレキギターを録音する際、アンプに繋いでその音をマイクで拾うのが一般的でした。しかし、近年は自宅での録音(宅録)が広まり、アンプを使わずに録音できる「ライン録り」を選ぶ人も増えています。 ライン録りは、音を外に出さずに録音できることから「サイレントレコーディング」と呼ばれることもあります。自宅でも音を気にせず録音できる、録音スタイルです。 この記事では、ライン録りに必要な機材から、具体的なやり方、音作りのコツまで、宅録初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

ライン録りとは?
ライン録りとは、エレキギターを直接オーディオインターフェイスに接続して、音を録音するレコーディング方法です。
エレキギターの録音には、ライン録りの他にも、アンプから出た音をマイクで録る「マイク録音」という方法があります。
ライン録音に最低限必要なもの
宅録のライン録りにおいて、最低限必要なものは以下になります。
- パソコン(iPad、スマホ)
DAW を使用するためにはパソコンが必要です。また、iPad やスマホなどでもライン録りが可能ですが、その場合はそれぞれの機器に対応しているオーディオインターフェイスを使用する必要があります。
- DAW
DAW を使用してギターの音を取り込みます。
- オーディオインターフェイス
オーディオインターフェイスとは、音響機器とパソコンを接続するための機械です。
以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
- ヘッドホン / モニタースピーカー
ギターをレコーディングしている時に音をモニター(確認)するために使用します。
- ケーブル
ギターとオーディオインターフェイスを繋ぐためのケーブルです。
シールドやギターケーブルと呼ばれる、TSフォンのケーブルを使用します。
知っておきたい〜音作りについて
ソフトウェアプラグイン or ハードウェア?
エレキギターの音作りには、アンプやエフェクターなど、さまざまな機材が使われますよね。
近年では DAW やソフトウェアプラグイン(以下、プラグイン)の普及により、アンプやエフェクターをソフトウェア上で再現できるようになりました。そのため、音作りをすべてソフトウェア上で完結させるのか、一部にハードウェアを取り入れるのかによって、接続方法も少し異なります。
プラグインを使用する場合は、エレキギターをオーディオインターフェイスに接続するだけで、DAW上で手軽に音作りが可能です。
中には、高価なビンテージ機材を忠実に再現したプラグインもあり、コストを抑えながら多彩なサウンドメイクを楽しむことができます。
一方で、ハードウェアはその実機ならではのサウンドを持つものもあり、「このエフェクトだけはハードウェアじゃなきゃ...」とハードウェアを選択するギタリストも多いでしょう。
知っておきたい〜インピーダンスについて
エレキギターを接続する際に気をつけたいのが「インピーダンス」についてです。
インピーダンスとは、交流回路における電気抵抗のようなもので、すべての機器にはそれぞれ固有のインピーダンスが存在します。
音響の世界では、「ロー出し・ハイ受け」という鉄則があり、これは「出力側(ギターなど)は低インピーダンス(ロー)」「入力側(インターフェースなど)は高インピーダンス(ハイ)」にするという考え方です。
この鉄則が守られていないと、録音した音がこもったり、音量が極端に小さくなったりする原因になります。
そのままギターをオーディオインターフェイスに接続した場合、通常ギターの方がインピーダンスが高いため、この鉄則が守られません。
こうしたインピーダンスのミスマッチを防ぐために、多くのオーディオインターフェイスには高インピーダンスの楽器を接続するための「Hi-Z」や「INST」と表記された入力端子(またはスイッチ)が用意されています。エレキギターを直接オーディオインターフェイスに接続する場合は、必ずこの端子を使用しましょう。
インピーダンスについてしっかりと理解したい方は、以下の記事をご覧ください。
ライン録りの接続
注意:エレキギターはインピーダンスが高いため、Hi-Z 、もしくは INST に接続しましょう。
接続パターン1:音作りは全て DAW 上の場合(一番シンプル!)

このパターンの場合、接続はシンプルです。クリーントーンで録音し、録音し終えた後にじっくりと音作りを試すことが可能です。
接続パターン2:ハードウェアのエフェクターを使用

使用する機材によって異なりますが、マルチエフェクターの場合、信号がローインピーダンスに変換されていることが多いため、基本的にはオーディオインターフェースの通常の INPUT へ接続するでで問題ありません。
一方、コンパクトエフェクターでは出力インピーダンスが高いままの場合が多いため、オーディオインターフェイスの接続を Hi-Zに設定しておいた方がが無難でしょう。
最も確実な方法は、エフェクターの出力インピーダンスが、オーディオインタフェースの入力インピーダンスよりも高い場合に、Hi-Z 設定を使用することです。
とはいえ、仕様が不明だったり、複数台使っていてインピーダンスの値がよく分からない場合は、Hi-Z 入力と通常のLINE入力の両方で録音し、音質を比較して判断するのが手っ取り早いでしょう。
接続パターン3:アンプシミュレーター(ハードウェア)を使用

アンプシミュレーターの OUT として XLR や LINE OUT を搭載しているものは通常のINPUT へ繋ぎます。
アンプシミュレーターの中には、オーディオインターフェース機能を内蔵しているモデルもあります。これらは USB でパソコンに直接接続できるため、別途インターフェースを用意しなくても、ギターを録音することが可能です。
また、DI (「ライン録りの音作りで役立つアイテム」にて解説)を使用する場合は、以下のように接続します。

ライン録りの録音手順
それぞれの機器の接続が完了したら、DAW を立ち上げて録音をしましょう。
1.オーディオトラックを立ち上げる
2.入力設定を確認する
トラックの入力設定が、ギターを接続している INPUT と揃っているかを確認
3.録音ボタンを押して演奏
ライン録りの音作りで役立つアイテム
アンプシミュレーター
エレキギターのサウンドを得るためには、本来アンプが欠かせません。
ただしライン録りでは、アンプをマイクで録るのではなく、「アンプシミュレーター」と呼ばれるプラグインや機材を使って録音を行います。
アンプシミュレーターは、実際のアンプを通したような音をデジタルで再現するものです。
プラグインとして DAW で使用するタイプや、マルチエフェクターに内蔵されているもの、さらには専用のハードウェアなど、さまざまな製品があります。
ハードウェアのアンプシュミレーターはスタジオでレコーディングした音をそのままライブでも再現できるメリットがあります。プラグインのアンプシュミレーターは自由度が高く、録音後に様々な音作りを試すことができます。
ライン録りでリアルなギターサウンドを作るには欠かせないアイテムです。
エフェクター
エフェクターは、ギターの音色や質感を変化させるための機材です。
現在では、実機として使うハードウェアタイプに加えて、プラグインも数多く登場しています。
エフェクターには一つのエフェクトに特化した「コンパクトエフェクター」に加え、複数のエフェクト機能を1台にまとめた「マルチエフェクター」と呼ばれる機材もあり、これにもハードウェアとプラグインの2つのタイプがあります。
ハードウェアのマルチエフェクターは、レコーディングだけでなくライブ演奏でも使用できるというメリットがあります。一方、プラグインは保管場所を取らず、無料で使えるものも多いため、手軽にさまざまな音作りを試すことができます。
例えば、以下のようなプラグインは、アンプシュミレーターとエフェクターがセットになっており、自分の好きな音をソフトウェア上でカスタマイズすることが可能です。

DI
DI(Direct Injection Box) とはインピーダンスの変換を行ってくれる機材です。
オーディオインターフェイスが Hi-Z に対応している入力端子がなかったり、より柔軟に音作りをしたい場合に重宝するアイテムです。
まとめ
今回は、ギターのライン録りにおける音作りのためのアイテムをご紹介しました。
DAW やプラグインを活用すれば、手軽に高品質なギター録音が可能です。
まずはアンプシミュレーターやエフェクト系プラグインを使ったシンプルな音作りから始めてみましょう。
そして、慣れてきたら DI やマルチエフェクター、実機アンプなども取り入れながら、自分の理想のサウンドに近づけていくのがおすすめです。

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。