AI ドレイク× AI ザ・ウィークエンドの新曲を聴いてみた

ONLIVE Studio blog では、音楽業界に関わる AI ニュースを随時取り上げていきたいと思います! 今回は、最近話題になった声変換技術の AI に関するニュースです。

Nami
2023-06-023min read

AI 技術をチャットに活かした ChatGPT や、テキストから画像を作成してくれる Midjourney など、近年何かと話題に上がる AI 技術。その発達は目まぐるしいものです。
今後は AI は音楽産業にも深く関わっていき、「どのように活用していくか」が問われる時代になってくることが示唆されています。

人気アーティストの声を再現できる AI 技術

「ゴーストライター」というアカウントにより公開された『 Heart On My Sleeve 』という曲は、AI 技術によって生成されたドレイク( Drake ) とザ・ウィークエンド( The Weeknd )の声が用いられたことで話題を呼びました。
この楽曲にドレイクとザ・ウィークエンドは一切関わっておらず、無断で作られたものです。しかし、聴く人によってはあたかも彼らが歌っているかのような仕上がりで、本当に彼らの新曲と勘違いした人もいるとのこと。

この曲は様々なサービスを通して再生され、総再生回数は数百万回にも及び、Spotify などといったストリーミングサービスにも曲が公開されました。
しかし、ドレイクとザ・ウィークエンドが所属するユニバーサルミュージックグループ( Universal Music Group )から著作権の問題とのことで削除申請があったことにより、現在はストリーミングから削除されています。
一方、Youtube では「ゴーストライター」のアカウントから同楽曲が無題で投稿されたものが視聴可能です。(2023年5月19日現在)
他にも Youtube 上には『 Drake AI - Heart On My Sleeve ft. The Weeknd AI (Official Music Video) 』といった題名で、ミュージックビデオなるものも別の投稿者から投稿されています。

コメントでは「この曲を聴くことをやめられない」「ここ最近のドレイクの曲で一番良い」(注意:ドレイクの曲ではありません)などといった賞賛の声もありつつ、「これは馬鹿馬鹿しい」などといった批判的声も一部見受けられます。しかし、総じて肯定的なコメントが多い印象です。

『 Heart On My Sleeve 』を作成したゴーストライターは何ものなのか。

ゴーストライターを名乗るアカウントが残したTikTok上のコメントから、大手レーベルで悪条件でゴーストライターとして働いていたことが伺えるようなことが書き込まれ、その復讐のような動きではないかと推測されています。

ドレイク、ザ・ウィークエンドの音声生成に使用された AI は?

アーティストの声を作るのに使用されたのはおそらく「 So-VITS-SVC 」というオープンソースのソフトではないかと推測します。
「 So-VITS-SVC 」は、学習させた任意の声に音声を変換できるソフト。

使い方を簡単に説明すると、「 So-VITS-SVC 」に自分が使用したいアーティストの歌声をオーディオファイルによって学習させたあと、音声変換したいオーディオファイルを入れるといった流れで作成ができます。

なので、一から音声を作ってくれるわけではないので、元になる素材のレコーディングが必要です。土台となるものがそもそも良くないと、いくら声だけ変えても良い仕上がりにはならないので、レコーディングの時点である程度のクオリティが求められます。
カバー曲の場合は、既存曲のリードボーカルだけを抽出して使用している人も結構いる印象でした。
その他、どのように学習させるかといった学習のクオリティも、結果を大きく左右する要因の一つとなります。

この曲の制作工程を再現した YouTube の動画も合わせてみてみました。

この方は歌入れの段階でドレイクに寄せて歌っています。

実際に曲を聞いてみた感想

実際に『 Heart On My Sleeve 』を聞いてみました。自然で、ドレイクの声も似ています。機械っぽさも感じないので、初見でアーティストの新曲と信じてしまうことも納得できます。ちなみに、トラックは AI が作ったかどうかは定かではありません。

『 Heart On My Sleeve 』はおそらくオリジナルトラックですが、YouTube 上では様々な AIによるカバーコンテンツがあります。AI によるリアーナ( Rihanna )のホール/ビヨンセ( Hole/Beyoncén) カバー、ブルーノマーズ( Bruno Mars ) のスリラー/マイケルジャクソン( Thriller/Michael Jackson )カバー、なんと言語の壁を超えてテイラー・スウィフト( Taylor Swift )にyoasobiの『アイドル』を歌わせた動画もありました。AI 周りの著作権の法整備が追いついていないようで、やりたい放題になってしまっているのが現状のようです。

他にもAI カバーを色々聞いてみた感想ですが、作成者の技量によってクオリティの差を感じました。曲調によっても違和感が出やすい、出にくいがあるかもしれませんね。
違和感を感じる部分は、たまに音が潰れていたり、ロングトーンが不自然になりがちだったり、細かいニュアンスが不安だったり、声色の再現精度が低かったりといった部分です。また、AI カバーの全体的な傾向として、力強さが足りなく、中低音の周波数域が若干薄くなりがちのように感じました。
憶測ですが、AIカバーさせたいアーティストが使用する頻度の高い音域に近い曲を選んで、尚且つ歌い上げるような曲じゃないと自然になりやすいのかなと思いました。

クオリティがどうであれ、どのコンテンツも「あのアーティストがこの歌を歌ったらどうなるんだろう」「あの歌声をもう一度」などというワクワク感がありますね。
上記の理由から、イギリスのロックバンド、OASIS の再結成に待ち疲れたファンが『 AISIS 』という 、AI の力を使ってリアム・ギャラガーの声を自分のトラックに落とし込んだミニアルバムを制作した人もいて、それを楽しんでいるリスナーがいます。
リアムはファンから AISIS について聞かれ、「アルバムは通して聴いていないけど、その中の一曲を聴いた。今ある他のくだらないものよりよかったよ」とリプライしています。

コンテンツとして面白く、ファンタジーなものですが、アーティストや音楽業界にとっては脅威の存在です。実際に AI に対してユニバーサルミュージックは、ストリーミングサービスに対し AI 学習をさせないで欲しいなどといった要請をするなど、警戒をしている動きがみられています。
良くも悪くも話題の渦中である AI。今後も引き続き注目していきたいと思います!

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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