レコーディング現場でよく聞く用語集

音楽業界には、さまざまな専門用語が存在します。用語がわからないと、音楽制作のやりとりの中で、エンジニアの指示が何を意味しているのか分からなかったり、次第にコミュニケーション自体に不安を感じてしまうこともありますよね。 そんな状況を避けるために、この記事ではレコーディング現場でよく耳にする用語をまとめました。用語を知って、よりスムーズに音楽制作に臨みましょう!

Nami
2025-05-025min read

サウンドに関する用語

ドライ / ウェット

ドライとは、エフェクトがかかっていないそのままの音、つまり原音を表す言葉です。
「ドライな音」や「ドライサウンド」といった形で使われることが多いです。

また、ウェットとは、エフェクトがかかった音のことです。
特にリバーブがしっかりとかかった音を指すことが多く、「ウェットな音」というと、一般的には空間的な広がりや奥行きを感じるサウンドを意味します。

ドンシャリ

ドンシャリとは、中音域が弱く、低音域と高音域が強調されたようなサウンドのことです。
「ドンドンシャリシャリ」の略称で、ドンシャリの「ドン」は低域、「シャリ」は高音域を表しています。

ハウる

ハウるとは、「ハウリングする」の略称です。
ハウリングとは、スピーカーから出た音をマイクが拾うことで、音がマイクとスピーカー間でループしてしまい「キーン」とした音が発生する現象のことをいいます。

ポップノイズ(吹く)

ポップノイズとは、たくさんの息がマイクに当たった時に発生する「ボフッ」というノイズのことです。また、このポップノイズが生じることを「吹く」といいます。

このポップノイズは、マイクとの距離が近いと発声しやすくなります。

リップノイズ

リップノイズとは、口を開けた時や、舌を動かした時に発生するノイズのことです。
唾液の量が多かったり、口が乾いている時に生じやすいとされています。

デッド / ライブ

デッドとは、残響音が少ない環境や音のことです。
レコーディングスタジオなどでは、吸音材によって反射音が限りなく少なくなるように設計されている場合があります。

また、ライブとは反射音がある環境や音のことです。先ほどご紹介したデッドの対義語となる用語です。
レコーディングスタジオには、適度に残響音があるよう設計されている場合があり、そのようなスタジオでレコーディングをすると、独自の天然リバーブがかかっているように聞こえます。

機材に関する用語

オケ

オケとは、伴奏のことです。
楽曲からボーカルを抜いた残りの演奏です。

モニター

モニターとは、音を確認すること、また確認するためのヘッドホンやスピーカーのことを指します。

返し

返しとは、モニターから流れる、自分が演奏する音のことです。
歌や楽器のレコーディングを行う際、自分が演奏する声や楽器の音が聞こえないと、演奏しづらくなります。そのため、レコーディングの際はオケに加え、自分が演奏する音もモニターヘッドホンから流れています。

ハチナナ

ハチナナとは、ドイツのメーカーである NEUMANN(ノイマン)が販売する U87 Ai というコンデンサーマイクの愛称です。
このマイクは「業界のスタンダード」とも呼ばれるほど、レコーディングの定番マイクとして親しまれています。

キューボックス

キューボックスとは、レコーディング時に演奏者がモニター音量を調整するために使用する機械です。
演奏者はクリックやオケ、一緒に演奏している他のミュージシャンの楽器の音量などといったモニターヘッドホンから流れてくる音を、それぞれ自分好みの音量に調整することができます。

パートに関する用語

ドラム3点

ドラム3点とは、バスドラム、スネア、ハイハットのことです。
この3つは、ビートを作り出す上で重要な役割を担っているため、このようにまとめて呼ばれることがあります。

リズムセクション

リズムセクションとは、主にドラム、ベース、ギター、キーボードのことです。楽曲の中でリズムを担うセクションのことを指して使用されます。

うわもの

うわものとは、リズムセクション以外のパートのことです。
楽曲によっても異なりますが、主にボーカルやストリングス、管楽器などがうわものと呼ばれることが多いです。

録音に関する用語

一発録り

一発録りとは、演奏者全員で一斉に演奏し、レコーディングすることです。
主にバンドで行われることが多いです。

また、「一発録り」というと、一回のテイクのように聞こえますが、テイク数は一発でなければならないというわけではありません。

バラ録り

バラ録りは、各パートを個別に録音することです。一発録りの対義語的な言葉です。

クリック

クリックとは、メトロノームの音のことです。
レコーディングでは、演者が他の人の演奏や、オケを聴きながらレコーディングをしますが、その時にクリックも一緒に流すことで、リズムが取りやすくなります。

人によってクリックはいらないという人もいれば、クリックの音量を大きめに流す人もいるため、この辺は個人差があります。

ドンカマ

ドンカマとは、メトロノームのことで、クリックと同義語で使用されています。
現在は KORG で知られる京王技術研究所 が1963年に発売した Donca Matic(ドンカマチック)というリズムマシンに名前が由来しています。

最近はこの呼ばれ方はあまりしなくなってきた傾向にあります。

かぶり

かぶりとは、マイクが狙った楽器以外の音を拾ってしまう現象のことです。
一発録りや、ドラムのレコーディングの場合、同じ部屋に複数のマイクが立てられるため、かぶりが起きてしまう場合があります。

プリプロ

プリプロとは、プリプロダクションの略称で、レコーディング前の事前準備のことを指します。
プリプロは、準備不足によって本番のレコーディングで時間をロスしてしまったり、実際に演奏してみるとイメージと違った...という状況を防ぐために行われます。

具体的な内容としては、アレンジの決定や、仮レコーディングなどです。
最近では DTM が主流になってきているため、宅録のみで簡潔する場合もあります。

パンチイン

パンチインとは、レコーディングにおいて、一部分のみを録り直す手法のことです。
通常、レコーディングは「Aメロ」「サビ」などのセクションごとにテイクを区切って、レコーディングが行われます。しかし、歌詞を一部分だけ間違えてしまったり、ある箇所だけ気に入らなかった場合、全部録音し直すと大変です。そのため、一部分のみをレコーディングすることで、効率的にレコーディングを進めることができます。

ヨンパチニーヨン

サンプルレートが48kHz、ビット深度が24bit を表す言葉です。

ダブリング

ダブリングとは、同じフレーズを再度録音し、音を重ねるレコーディングの手法のことです。オーバーダビングやダブルトラッキングとも言われます。

同じフレーズでも、若干の演奏のずれがあることで、音に厚みが増します。
これがダブリングの効果として、現在も使用されている手法となっています。

つるっと

つるっととは、ある程度まとまった尺でレコーディングすることです。
「あたまからつるっと通して」「つるっともうワンテイク」などのように使用されます。


まとめ

今回は、レコーディング現場でよく使われる用語をご紹介しました。
こうした一般的な用語をあらかじめ知っておくことで、現場でのコミュニケーションがスムーズになり、安心して制作に臨むことができます。

ただし、人によっては独特な言い回しをすることや、調べてもよく分からない場合もあります。そんなときは、遠慮せずに素直に確認することも大切です。

また、レコーディングスタジオを利用したり、ミュージシャンにレコーディングを依頼したりする際には、データのやりとりが発生します。以下のような用語が登場することもあるでしょう。

  • リファレンス曲
  • サンプルレート、ビット深度
  • ビットレート
  • パラデータ
  • ステムデータ
  • 2mixデータ
  • WAVEファイル

これらの「データに関する用語」については、以下の記事でくわしく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

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Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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