名機と見るギターアンプの歴史

ギターアンプは、音を増幅するだけでなく、音作りにも影響を与えます。そのサウンドはそれぞれ特徴があり、これまで数多くの名作を支え、音楽の歴史を作ってきたのです。 この記事では、ギターアンプの歴史を追っていき、様々なギターのサウンドの歴史を支えた名機を見ていきたいと思います。

Nami
Nami
2026-04-293min read

ラジオから始まったアンプ

“アンプ”自体の始まりは、1906年に Lee De Forest(リー・デ・フォレスト)によって真空管が発明されたことにあります。当初、アンプはラジオや PAシステムのために利用されていました。ギターのアンプとして制作の試みが行われるようになったのは、1920年代頃です。1930年代になると様々なメーカーが続々と開発を進めました。

この頃の代表的なメーカーは、Dobro (ドブロ)や Rickenbacker(リッケン・バッカー)などです。
初期のギター・アンプは、当時流行していたハワイアンギターのミュージシャンの演奏で使用されていました。

1940〜1950年代頃

エレキギターが普及し、リズム&ブルースやロックンロールなどが演奏されていた時代です。

ある時、ミュージシャンたちは音量を一定以上上げると、音が歪むことに気がつき始めます。当初ギターはクリーントーンが良しとされていて、この歪んだ音は良くないミスだと思われていましたが、次第に音楽的な表現として使用されるようになりました。これがディストーションのはじまりです。

このサウンドは当時のリズム&ブルースやロックンロールに取り入れられ、当時のサウンドが形成されました。

1952年 Fender Bassman

1951年に発売されたばかりであった、Fender の Precision Bass(プレシジョン・ベース)のために作られたアンプです。

当時はベース・アンプというものはまだ一般的ではありませんでした。『The Soul of Tone: Celebrating 60 Years of Fender Amps』という本の中で、Leo Fender は“ベースアンプと呼ぶに値する最初のアンプを作った”と語っています。

ベース・アンプとして売られたものでしたが、そのパワフルなサウンドから、ギタリストに人気が出ました。

後述する Marshall JTM45 は Bassman もこのアンプをモデルに作っており、ロック系譜のギターサウンドの元祖といっても過言ではないアンプです。

1955 年 Fender Deluxe Amp 5E3

Bassman と同様、初期の Fender が作った伝説的なアンプです。

小型でありながらも豊かな倍音が得られ、当時のスタジオの定番機材になっていました。

ちなみに、Fender が1947年〜1960年頃まで制作していたアンプの外装は、ツイードが使用されていました。ツイードとは、羊毛で作られるスコット・ランドの織物のことです。

Bassman も Deluxe Amp 5E3 も、ツイード・アンプ期の名作として知られています。

1960年代〜1970年代頃

1960年代は、The Beatles や KINKS、the Who など、イギリスのミュージシャンがアメリカに進出し、人気を博した時代です。当時のチャートはイギリスのアーティストの名が軒並み並びました。イギリスのアーティストがアメリカを席巻した流れは、ブリティッシュ・イノベーションと呼ばれています。

この時期からロックンロールではより大音量でパンチの強いサウンドが求められるようになりました。

ギターのゲインを挙げたことによるギターの“歪み”がロックを象徴するサウンドとして確立されたのです。

1959年 VOX AC30

イギリスのアーティストに愛された名機の一つが VOX AC30 です。煌びやかなクリーンなサウンドが特徴的で、その音は“チャイム・サウンド”として表現されています。

初期の The Beatles や The Shadows のステージには VOX AC30と書かれたアンプがよく置いてあり、当時のブリティッシュ・サウンドを共に形成したアンプです。

1963年 Fender Twin Reverb

名前の通り、リバーブが搭載されたモデルです。

大音量でも歪まないクリーン・トーンで、搭載されたスプリングリバーブは、当時のミュージシャンに広く使用され、特に60年代のサーフ・ロックでは欠かせないサウンドとなりました。

1963年 Marshall JTM45

現在、アンプの定番メーカーの一つとして知られている Marshall が開発した初めてのアンプです。

このアンプは、Fender Bassman を参考にして作られましたが、より強く歪んだサウンドとなっており、Marshall サウンドの原点となりました。

1965年 Marshall Super Lead 100 Watt Plexi

“プレキシ”は、ロックを象徴するサウンドとして親しまれていますが、それらのサウンドは、この Super Lead 100 Watt Plexi に由来しています。

Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)や Cream(クリーム)に愛用され、ロックをよりラウドなサウンドへと押し上げていきました。

1970年代〜1980年代頃

この時期になると、ハード・ロックやヘヴィ・メタル、ヘア・ロックといったジャンルがイギリスやアメリカで普及し始めます。よりヘビーで、歪んだギター・サウンドの需要が増したこの時代に、“ハイゲイン(high-gain)”のサウンド作りに適したアンプが誕生します。

1975年  Roland JC-120

日本が誇るメーカーRoland。1960年以降、ロックシーン向けのラウドで歪んだサウンドが持ち味のアンプが続きましたが、Roland JC-120の持ち味は“JCトーン”と呼ばれるクリーンなサウンドです。JC は Jazz Chorus の略称ですが、ジャズに限らずロックバンドにも愛されてきました。

このアンプには世界で初めてのコーラス・エフェクトが搭載されており、1976年にはその機能だけ取り出したコーラス・ペダルが発売されています。

1981年 Marshall JCM800

80年代の音楽シーンに欠かせない機材となったのがこのアンプ。

当時のミュージシャンたちと共に、ロック史を作りあげたサウンドです。90年代でもパンク・ロックのアーティストも好んでこのアンプを選択し、ロックの代名詞となるアンプとなりました。

1990年代以降〜

1990年代以降になると、ハイゲインがさらに洗練されていき、ダウンチューニングと相性の良いヘビーなサウンドでありつつ、タイトなサウンドとなる“モダンハイゲイン”と称されるサウンドが形成されました。

MESA Boogie Dual Rectifier

1990年代のヘビーなギター・サウンドを生みだした伝説的なギター・アンプです。

低音をしっかりと感じられる且つタイトなサウンドで、ギター・リフと相性の良い特徴的なサウンドは、ニュー・メタルやグランジ、オルタナティブ・ロックなどのジャンルで使用されました。


まとめ

以上、今回は伝説的なギター・アンプと共に、アンプの簡単な流れを見ていきました。

ギターアンプはロック史にとって、ギターと同じくらい必要不可欠な機材です。

アンプなしではあのラウドなサウンドは生まれていませんでした。

ONLIVE Studio では、過去に“エレキギターはじまりの歴史”という記事もあります。

アンプの歴史と合わせてみると、より歴史の流れがイメージできるのではないでしょうか。

ぜひご覧ください。

エレキギターはじまりの歴史 | ONLIVE Studio blog
時には派手なギターソロ、時にはリズムを支えるバッキングなど、エレキギターは様々な音楽ジャンルにおいて欠かせない楽器です。では、エレキギターはどのように誕生したのでしょうか?この記事では、エレキギターのはじまりの歴史をご紹介します。
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Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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