
電源タップやコンセントで音が変わる?電源まわりの対策をプロに聞いてみた【STUDIO SONIC TEST】
“電源まわりで音が変わる”そんな話を聞いたことはありますか?音に影響を与えるのは、音響機材だけの話ではないのです。練馬区にあるスタジオ STUDIO SONIC TEST。ここではレコーディングからミクシングやマスタリング、時にはレッスンまで、音楽制作に関わる幅広い業務が行われています。オーナーの TAISHIN INOUE氏(以下、TAISHIN氏)は、 EMC や音響物理学の観点から徹底してこのスタジオを構築したとのこと。そんな音のプロフェッショナルである TAISHIN氏に、今回は電源まわりが音に与える影響について、取材させていただきました。音の良い制作環境を実現したいという方必見です!
電源まわりで音が変わるって本当?

単刀直入にお聞きしますが、電源まわりで音が変わるというのは本当なのでしょうか?また、どういう仕組みで影響を及ぼすのでしょうか。
はい。前提として、電気が通るところには必ず電磁場が発生します。そうすると、必ずノイズも発生するんです。なので、電気とノイズ対策はセットで考える必要があるんですよね。
他にも電気の伝導率や、振動など、電源まわりが音に影響する原因は色々あります。今日はその辺りも踏まえて、実際に当スタジオで行っている電源まわりの取り組みを お伝えできればと思います。
安全面を考慮したら、結果的にサウンドにも良い影響がある

音楽制作では電気をたくさん使用するかと思います。まずは安全面で気をつけた方がいいことはありますか?
タコ足配線は避けましょう。1つの電源プレートから取れるワット数の総量は、大体1500ワットと決まっています。タコ足配線がなぜ危ないかというと、電源タップに挿して使用している機材のワット数が1500W 以上になると、過電流や漏電といった危険に繋ってしまうからなんです。
加えて、レコーディング時にタコ足配線でたくさんの機材を繋いでしまうと、ただでさえ複雑な電源系統がより複雑になってしまうため、いくらでもノイズが入りやすい状況になってしまいます。なので、配線はなるべくシンプルにしておきましょう。
なるほど。そのような仕組みになっているんですね。
あとは、視認性の良い丁寧な配線も心がけたいところです。 機材の裏の配線がぐちゃぐちゃになっていると、安全面、そして音的にも良くありません。ごちゃついた配線は埃もたまりやすく、プラグが酸化したり、最悪の場合火災にも繋がります。
また、ケーブルの中には電気が流れていますが、絶縁体に覆われていてもケーブル同士が接触することによって電磁場が発生し、信号の乱れが起こります。なので、接触しているという時点で音に良くないんです。
このような理由からうちのスタジオではケーブル同士も接触しないようにしつつ、地面と接触しないようにフロートさせています。

地面から浮かせる理由はなんでしょうか?
音を出すと地面って結構揺れるんですよ。その振動の影響を緩和するためです。
地面の振動も、意外と侮れないんです。
音を良くするための電源まわりの取り組み
先ほど“プラグの酸化”とありましたが、これはどういった状態なのでしょうか?
いわゆる錆(さび)ですね。このサビがあると導電率が悪くなってしまうので注意です。
うちではプラグをナノダイヤモンドで磨いて酸化した皮膜を取り除くというメンテナンスを、半年〜1年に一回しています。人間が呼吸しないと生きていけないのと一緒で、機材も電気がないと動いてくれないので1番いい栄養分を送ってあげるイメージですね。メンテナンスした後は音が全然違うんですよ。
なるほど。せっかく電気を送っていても、プラグで台無しになったら良くないですもんね。
その他、STUDIO SONIC TEST で行っている電源まわりの工夫はありますか?
上流側のコンセントパーツや主要なプラグは“ホスピタルグレード”のものと交換しています。ホスピタルグレードは、病院内での機材を接続する時に使われるコンセントやプラグの規格です。
人命に関わる機材に繋がるものなので、足を引っ掛けてケーブルが外れないように、噛み合わせがすごく強いんです。それによって電気の流れや導電率も良くなるので、結果的に音も良くなります。 なので、オーディオにこだわっている方にも愛用者が多いんです。
ただ、電源コンセントのプレートの交換は資格が必要なので、交換する場合は電気事業者に依頼するか、資格を持っている人と一緒に交換してくださいね。

コンセントから交換されているんですね。
あと、全ての機材への電気の供給は、アイソレーショントランス電源から行っています。なんでかと言うと、電源コンセントって、コモンモードノイズやディファレンシャスモードノイズ ...といった様々なノイズが建物の配線を介して混入しやすい状態になっているんですよ。
トランス電源を使用することで、電気を一次側から二次側のコイルに移しリジェネレート(再生成)してくれて、そういったノイズの影響をなくすことができます。
また、同じくノイズを避ける目的で、トランス電源はフロートさせて物理的に結線しているほぼ全ての機材に電気を供給させています。
ノイズを生まないために、様々な工夫をされているんですね。
そうですね。他にもノイズ対策の一つとして、スピーカーにより近い位置にある機材や、常に電源が入っている機材については、アースを一箇所だけ接続する”一点アース接続”を採用しています。この方法を採用している理由は、機材の接続によって発生するグラウンドループノイズを防ぐためです。
機材同士のアースが複数箇所でつながると、電気の流れがループ構造になり、ノイズがその回路をぐるぐると回り続けてしまいます。その結果、音質が悪くなることがあるんです。
そこで、アースの接続ポイントを一箇所に限定することで、ノイズがそこに流れるようにし、ノイズのループが発生しない構造にしています。
おすすめの電源タップ
ここまで話をお伺いして、電源タップの選択も音に影響を与えるのではないかと思いました。
こちらでは電源タップはどのようなものをお使いですか?
そうですね。
昔買ったグラウンドが挿さる三針用のタップ を今でも大事に使っています。電源タップは消耗品でもあるので、定期的にナノダイヤモンドで磨いたりしてメンテナンスをしますね。

電源タップを買う時の決め手や選び方はありますか?
選び方としては、機能がごてごて付いているものではなく、重量があり、差し込み口の噛み合わせがしっかりしていて、導電率の良いものを選ぶのが基本です。
なぜ重いものなのでしょうか?
軽いタップだと振動してしまうからです。先にもお伝えしましたが、振動は音に影響を与えます。なので、そのような振動にも耐えられるごついタップが良いんです。
あとは電源タップ、電源モジュール、電源ボックス、電源クリーナーなど、色々ありますが全て別物なんです。それぞれがどんな違いがあって、どんな時に使われるのか、まずはその違いから調べてみるのが大事だと思います。
というのも、世の中には色んな人がおすすめの商品を紹介していますけど、本質を理解していないと、無駄に高いものを買ったりしちゃうので。
なるほど。電源タップだけでも、音の影響はあるんですね。
そうですね。あとは、電源タップを使用する時は、照明や家電の経路はオーディオ経路とブレーカーごとに完全に分けて使用することをおすすめします。LEDライトはノイズが多いので、これだけでクリアな音に変わりますよ。
音をよくするためには、本質を知ることが大切

自分の制作環境を良くしていこうと思う人たちにアドバイスはありますか?
何か目的があった場合には、何に着目すると本質的に捉えることができるか、という視点を持っていただくと良いかなと思います。
例えば、音響物理学や EMC工学の観点から物事を見た時に、必ず身の回りにあるものでできることってたくさんあると思うんですよね。
気になるノイズがあったとして、どこが原因で、その原因を潰すためには何を使ったらいいか、どうしたら効率的か非効率か。そうやって 手を動かしてアイデアを湧かせながら、技術も感性 も向上させていくことがとても大切です。
音って、ちょっとしたことで異次元に良くなったりしますから。
まとめ
“音は振動です。なるべく不必要な振動を録らず、捉えた振動をなるべく劣化させないでデジタル化できるかが大切です”と話す TAISHIN氏。
今回のインタビューでは、振動やノイズに影響されないためのアイディアが詰まっていましたね。高い機材を買う前に、今回の記事を参考に電源まわりを見直してみてはいかがでしょうか?
今回は電源まわりにフォーカスしてお話をお伺いしましたが、STUDIO SONIC TEST では、使用している全てのケーブルを自作していたり、PC自体にもノイズ対策がされていたりと、徹底した音の追求がされています。
“ノイズレスな純粋な楽器の音をレコーディングしたい”“音質的にクオリティの高い作品を仕上げたい”という方は、一度 STUDIO SONIC TEST に相談されてみてはいかがでしょうか。
STUDIO SONIC TEST に制作の依頼をしたい方は、こちらのページからお問い合わせいただけます。
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東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。







