
STEP1メロディーのキーを特定する
まずは、自分が作ったメロディーが何のキーであるかを特定しましょう。
キーとは、「その曲で使える音のセット」のようなもので、全部で24種類あります。
キーは「主音(しゅおん)」と呼ばれる、その曲の中心となる音を基準に特定のルールに基づいて並べられた7つの音から作られています。
例えば、Cメジャーキーの曲であれば、C(ド)を主音とした「ドレミファソラシ」の7つの音で構成され、それ以外の音は基本的には使いません。使うとしても、楽曲のアクセントとして使用されます。
「メロディーを作る時にキーなんて全く考えてなかった!」という方も、ご安心ください。
私たちが心地よいと感じるメロディーは、何かしらのキーに当てはまっていることがほとんどなんです。
私たちが普段聴いている、チャートに乗っているような楽曲も、全24種類のうち、なにかしらのキーに当てはめて考えることができるのです。
キーの見つけ方は、大きく分けて2つ
キーを見つける方法は、以下の2つの方法があります。
使用している音から判断
前の章で、キーは基本的に7つの構成音から成り立っているとお伝えしました。
キーによって構成音は少しずつ異なります。このため、自分のメロディーにどんな音が使われているかを確認することで、どのキーに属しているかを推測できるのです。
まずは自作メロディーを MIDI に打ち込んだり、紙に書き起こしたりして、そのメロディーにはどんな音が使われているかを確認してみましょう。
このとき、「黒鍵(シャープ ♯ やフラット♭がついた音)」の有無がヒントです。どの黒鍵が使われているかで、キーをだいぶ絞り込めます。
例えば、使われている音に「B♭(シ♭)」があり、他の音が白鍵だけ(C・D・E・F・G・A)だったとしたら、そのメロディーは Fメジャーキーの可能性が高いと判断できるでしょう。
ぜひご活用ください。


また、キーは全部で24種類あるとお伝えしましたが、内訳はメジャーキー12種類+マイナーキー12種類です。
メジャーキーとマイナーキーには構成音が同じペアが存在します。
例 :
- Cメジャーキー
- Aマイナーキー
このような場合、そのメロディーが、暗いか明るいかで判断しましょう。
明るく感じる場合は、メジャーキー、暗く感じる場合はマイナーキーです。
音感を頼りに判断
2つ目の方法は、音感を頼りに見つける方法です。
自分が作成したメロディーの中で、「曲が終わった」と感じる音を探してみてください。その音が、その曲の主音になります。このため、曲の最後の音には主音が使用されていることが多いので、最後の音が C で終わっていた場合、そのメロディーは Cメジャーキーの可能性が高いです。
以下の例は、メロディーが C で終わっている例です。曲が終わったという感じがしませんか?

STEP2ダイアトニックコードを使う
ダイアトニックコードとは、あるキーの中で使える基本のコードのことです。1つのキーにつき、ダイアトニックコードは7種類あります。
例えば Cメジャーキーの場合、以下の7つがダイアトニックコードです。

この7つが、Cメジャーキーで使える基本のコードになります。
あなたが作ったメロディーが Cメジャーキーなら、まずはこの中からコードを組み合わせて作っていくと自然で心地よい響きになります。
STEP3コードを選択する
自分が作ったメロディーのキーを見つけ、ダイアトニックコードも割り出せました。しかし、どのようにダイアトニックを組み合わせて行けば良いのでしょうか。
基本的には、メロディーで使用している音が構成音に入っているコードを選択すれば、間違いないでしょう。例えば、以下のような組み合わせです。

メロディーが C(ド)から始まる場合、C が含まれているコードを選択すると良いでしょう。C を構成音に含むコードは CM7、FM7、Am7、Dm7 の4つです。これらのコードを当てはめてみて、イメージと合う響きでコードをつけていくと良いでしょう。
また、コードにはメジャーコードとマイナーコードの2種類があります。
メジャーコードは明るい響きで、マイナーコードは暗い響きをもつため、同じメロディーでも、コード進行が違うと印象も変わります。
メジャーコードの例
マイナーコードの例
今回は、コードを選びやすいという理由でメロディーの音を含むコードを使用する方法をご紹介しましたが、「必ずメロディーの音を含むコードを使用しなくてはらならない」という訳では決してありません。
様々なパターンを組み合わせて、自分のイメージに合うコードの並びにしてみましょう。
コード進行の組み立て方は、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
番外編:コード進行を先に決める
ここまで、出来上がったメロディーに対してどのようにコードを付けていくか?ということをご紹介しました。反対に、コード進行を先に決めてしまうというパターンもおすすめです。
先にコードを決めておけば、そのコードに合うメロディーを考えるだけなので、自然とコードに合ったメロディーができあがりやすくなります。
もっと複雑なコード進行を作りたい方へ
今回ご紹介した方法を試してみても、「自分が好きな曲のようにかっこいい進行にならない...」
「Official髭男dism や King Gnu 、流行りのボカロ曲のようにもっと複雑なコード進行を作りたい!」と感じている方も多いのではないでしょうか。
上記で挙げたアーティストたちの楽曲のコード進行も、土台となるのはダイアトニックコードです。ですが、所々で「ノンダイアトニックコード」という、ダイアトニックコード以外の音が含まれていることがあり、そのノンダイアトニックコードの響きが楽曲のスパイスとして機能し、リスナーを「ハッ」とさせるような効果や、おしゃれな響きを与えているのでしょう。
とはいえ、何でもかんでも使えばいいというわけではありません。ノンダイアトニックコードを並べただけでは、曲全体のまとまりがなくなってしまうこともあるので注意です。
おすすめの方法は、自分が「かっこいい!」と感じたコード進行を、ディグリー(度数)に置き換えて分析してみることです。
ディグリーについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
ディグリーに置き換えることで、自分が好きだと感じるコード進行は、実は毎回同じパターンのものだった!という気づきに繋がったりもします。
自分の引き出しを増やしていき、自分の楽曲にも取り入れてみてください。そのようにトライを続けることで、どんどんコードを組みやすくなってくるでしょう。
メロディーにコードをつける時に役立つサービスやツール
なかなか納得のいくコード進行にならない...という方は、作曲を手助けしてくれるアプリを活用すると良いでしょう。
Chat GPT
ChatGPT は AIチャットサービスで、質問内容に対して AI を駆使して対話形式で回答を提供してくれます。ブラウザ版とアプリ版があります。
音楽以外でも活用をしている方も多いのではないでしょうか。
無料で利用したい場合は、テキストベースで自分のメロディーを ChatGPT に打ち込み、コードを提案してもらうと良いでしょう。
ChatGPT Plus という有料プランに加入しているユーザーは、GPT-4(GPT-4 Turbo)が利用できます。
GPT-4 には、アップロードされた音声ファイルや MIDIファイル、楽譜画像などの内容を解析する機能があり、この機能を使用することで、よりメロディーの内容にあったコード進行の提案をしてくれるでしょう。
ChatGPT:https://openai.com/ja-JP/chatgpt/overview/
SCALER 2
Scaler 2 は、音楽理論を手助けしてくれるツールです。プラグインとして使用できるソフトウェア版と、iPad版があります。
Scaler 2 を使用することで、作成したメロディーのキーを解析し、さらにコード進行の提案を行ってくれます。
R&B や Jazz など、ジャンルに合わせたコード進行を提案してくれる機能もあり、あなたが作りたい楽曲の雰囲気に合わせて提案してくれるでしょう。

アレンジャーに依頼するのも一つの手段
「アレンジにこだわるよりも、歌に専念したい!」「自分が思い描くコード進行を実現するのは今はまだ難しそう...でも、はやくかっこいい持ち曲が欲しい!」などという方は、メロディー以外の部分を、アレンジャーに外注することも一つの手段です。
アレンジャーとは、作詞作曲された楽曲に対し、コード進行や展開、楽器構成を考え、楽曲の世界観を実現してくれる音楽のプロフェッショナルです。
あなたがメロディーと歌詞さえ準備していれば、アレンジャーにかっこいいコードアレンジ、さらには楽曲アレンジまで依頼することが可能です。
ONLIVE Studio には、様々なアレンジのプロフェッショナルが登録されています。
ぜひあなたのオリジナル楽曲の作成にサービスをご活用ください。
まとめ
以上、今回はメロディーにコード進行をつける方法をご紹介しました。
いきなり難しいコード進行をメロディーにつけるのは大変ですが、まずは難易度の低いものから慣れていくと良いでしょう。
また、すぐに理想のコード進行が作れなくても、世の中には、コード進行が簡単な曲でもかっこいい曲はたくさんあります。
まずは自分でできる範囲でコードをつけてみて、同時に自分が好みのコード進行を調べたり、分析して自分の引き出しを増やしていくことが大切です。
そうして続けていくことで、将来的に自分の理想とするコード進行を作れるようになるでしょう。

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。