
バイトより正社員!?音楽活動を続けながら成長するためのリアルなキャリア戦略を、専門家に聞いてみよう
いつか売れるその日まで音楽活動を続けるのか、それとも音楽を辞めて就職をするのか--。そんな選択肢で揺れている若手アーティストは多いかと思います。今回は、数千組のアーティスト支援を行ってきた経験を持つ株式会社アーティストキャリアの代表であるガリバー宇田川氏に、音楽活動を"続けるための“正社員という選択肢と、今の時代を生き抜くアーティストへ向けたリアルなアドバイスを伺いました。
音楽で生きるためのキャリア設計
あえて正社員を勧めるリアルな理由
-音楽活動をしていると、時間の融通が利くアルバイトを選ぶ人が多いと思います。しかしガリバーさんは正社員を推奨されていますね。
これまでのデータから言って、アーティストとしての成長速度が早いのは圧倒的に正社員として働きながら活動している人なんです。
アルバイトは一見時間が自由になりそうですが、実はスケジュール調整に脳を大きく消費しています。そして仕事を休めば給料が減り、年末年始に休めば2月・3月は貧困状態で。
20代半ばを過ぎてくれば、友人の結婚や出産などにお祝いを持っていったり、大きな出費も増えていきますよね。
一方、正社員は日中働いている分、自分にはこの時間しかない、という危機感があります。学生時代、学校に行く時間が決まっていたからこそ部活も遊びも両立できていたのと同じです。なので、少ない時間にやるべきことをやる力が身に付きますし、さらに、お金を稼いでいるので機材や外注費に予算を回すことができ、時間をショートカットできるんです。
-マインドの面でも違いはありますか?
大きいです。アルバイトだから、という感覚で、簡単に休んだりしていませんか?
そのマインドのままでは、いざ音楽で大きな舞台に立ったり、レーベルに所属して「なぜ数字が伸びないんだ」「なぜチケットが捌けないんだ」と追い詰められた時に、プレッシャーに耐えられません。
音楽を仕事にするには、努力を燃料にした耐久力が必要です。
どんなに自由な環境だとしても、「忙しくてできませんでした」と言い訳する人はいますし、逆に、強制的に自分の時間を管理される正社員の方が火がつく人もいます。
自分の性質を知るためにも、早い時期に社会性を養う経験を積むことをお勧めしています。

あえて一般企業を選ぶべき理由
-正社員として働くにしても、音楽業界の会社に入った方が活動に有利な気がするのですが、いかがでしょうか?
アーティストジョブで推奨しているのは、実は音楽業界以外のお仕事なんです。音楽業界の求人というのは、経験者しか募集していなかったり、即戦力を求めていることが非常に多いです。また、業界内で人が回っていってしまうという傾向もあります。
-いきなり音楽業界に入るのはハードルが高いのですね。
そうなんです。仮に音楽業界に入りたいとしても、まずは一般企業に入って、「マーケティングに精通してます」「SNS運用が得意です」「動画編集をやっていました」「事務の経験があります」といったようなスキルを身につけるべきです。そうした武器がないと、音楽業界側も採用するメリットがありません。
対して一般企業側。本音としては、「アーティスト活動の腰掛けで半端な気持ちで来てほしくない」という気持ちもあるのが現実です。しかし、若手人材がずっと不足しているため、働き方をしっかり信頼してもらえれば歓迎してくれる企業はたくさんあります。
だからこそ、まずは一般企業でフルタイム(週5日、8時間で9時〜18時など)で働き、社会性やスキルを身につけるという考え方の方がどんな道を行くにしても近道になると思います。

音楽活動を続けるうえで大事なこと
自分の“オリジナル曲(IP)”を持つ者の強さ
-今の時代、SNS で“歌ってみた”などのカバー動画を上げてバズを狙うクリエイターも多いですが、これについてプロの目線からどう見られていますか?
ビジネスとして考えた時、カバー曲だけで戦うのは非常にリスクが高いです。 ビジネス用語で言えば 「IP(知的財産)」の問題です。
カバー曲を歌うというのは、例えば“キティちゃん”という強力な IP を借りてビジネスをしている状態です。いくらそれで稼いでも、権利元から「もう貸しません」と言われたり、プラットフォームが規約や料率を変えたりした瞬間、そのビジネスは一瞬で終わってしまいます。
-他人のふんどしで相撲を取っている状態、ということですね。
その通りです。スカウトするレーベル側の目線で言っても、“他人の作品を歌っている人”を売り込むのは非常に難しいんです。
「自分はこういう表現をする人間です」というのを第三者に説明するためには、オリジナル曲を持っていることが一番の説得力になります。
もしオリジナル曲を持っていない人をスカウトした場合、レーベル側が一から楽曲を作り出さなければならず、本人のこだわりとのすり合わせなど、非常に厄介なステップを踏むことになります。
だからこそ、どんなに作るのが大変で泥臭い作業であっても、自分のオリジナル作品を作り、保有し、その価値を高めていく努力が、最終的には重要になってきます。
必要なのは実力を磨くこと、そして行動を起こすこと
-最後に、この記事を読んでいる読者に向けて、音楽活動を生き抜くためのメッセージをお願いします。
まず大前提として、とにかく実力を磨いてください。
今の時代だからこそ、実力以外で差別化することは非常に困難です。SNS でどれだけバズっていようが、本人の歌やパフォーマンスが下手であれば、スカウトされることはありません。トレンドに乗ってそれっぽいことをして目立とうとする時代は、もう終わりました。
小手先のテクニックではなく、胸を張れる自分なりの武器や、圧倒的なスキルを身につけるための努力を続けること。これがどの時代においても欠かせない条件です。

まとめ
“音楽で成功する“という夢を現実にするためには、今の時代を生き抜く実力、自分のオリジナルを持つ覚悟、そして社会性や資金を確保するための戦略的なキャリア選択が必要不可欠であることが、ガリバー氏の言葉から伝わってきました。
ONLIVE Studio では、ご自身のキャリアについてガリバー氏に直接相談することができます。
音楽と共に生きる未来を描きたい方は、ぜひ相談してみてください。
ガリバー氏の活動についてはこちらのインタビューをご覧ください。
ガリバー宇田川氏へのお問い合わせはこちらから!
ガリバー宇田川氏プロフィール
株式会社アーティストキャリア代表取締役。
NPO法人日本アーティスト協会理事長。
小中高校・専門学校・社会人向けに授業や人材育成事業をおこなっている。
ボーカルとキャリアの個人レッスンはのべ4000組以上を担当。
兼業アーティスト専門レーベル"an'QOL”のプロデューサーとして新人アーティストのプロデュースも手がけている。
◆株式会社アーティストキャリア
https://www.artistcareer.jp/
◆NPO法人日本アーティスト
協会http://jaa.strikingly.com
◆ガリバー宇田川(アーティスト名義)
https://udagulliver.themedia.jp/

シンガーソングライター。2012年デビュー、メジャーレーベルからリリースするなどの活動後、現在はフリーに。作詞作曲、ステージでのパフォーマンスを軸に、サッカーチームの応援ソング書き下ろし、企業オリジナルソングの制作、アーティストへの楽曲提供、ラジオパーソナリティなど多分野で活動を展開中。







