【名機】有名なヴィンテージ・ギター・エフェクター特集〜Klon Centaur、Fuzz Face、TS808…など幅広く解説!

ギター・エフェクターの中には音楽史を支えてきた名機が存在します。 これらのエフェクターは製造されてから長く経過しておりますが、そのモデルの、その年代にしか出せないサウンドがあり、特に人気の型は現在でも高値で取引されています。 そのようなヴィンテージ・エフェクターを手に入れることはなかなか困難ですが、復刻版やリモデル版を使用することで、当時のサウンドを受け継いだものを自分の楽曲に取り入れることも可能です。 この記事では音楽史の一部を支えてきた名機を紹介し、入手しやすい復刻版やリモデル版も合わせて解説。エフェクター選びの参考にしてください。

Nami
Nami
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Overdrive / Distortion

この章では、Overdrive と Distortion で有名なヴィンテージ・エフェクターを紹介します。

Klon Centaur

Klon Centaur は、1994年から2008年にかけて Bill Finnega(ビル・フィネガン) によって製造・販売されたエフェクターです。愛用者は John Mayer(ジョン・メイヤー)や Joe Perry(ジョー・ペリー)などです。

製作者であるBill Finnegan(ビル・フィネガン)は元々はギタリストで、“真空管アンプのボリュームを上げた時に得られる豊かな倍音を含んだサウンドを、ボリュームを下げても再現したい”という想いのもと、電気技師の友人と共にこのエフェクターを開発しました。

あっという間に口コミが広がり、アメリカで話題となったこのエフェクターは、“まるで真空管アンプを通して音を鳴らしたようなサウンド”と、販売時から高い人気を誇っていました。しかし、当時 Bill Finnegan がハンドメイドで制作していたため、供給が追いつかず、中古品が現行品よりも高値で取引される現象が起きてしまいます。結果、Klon Centaur は生産を終了せざるをえなくなりました。

オリジナル品は約8,000台しか出回っておらず、現在では、伝説的なオーバードライブ・エフェクトとして数十万円〜百万円近くのプレミアム価格で取引されています。
2014年からは、Klon Centaur のサウンドを引き継ぎつつ、量産できる形で価格や製造面を改良した後継機「Klon KTR」が発売されます。このモデルの筐体には「Kindly remember: the ridiculous hype that offends so many is not of my making」(訳:どうか覚えておいてください、人々を不快にさせるこの馬鹿げた誇大広告は私の作ったものではありません)と、Bill Finnegan の想いが刻まれています。

その他、Electro-Harmonix Soul Food や Wampler Tumnus など、別メーカーから Centaur をモデルにした機器も数多く登場しており、このような機器は「ケンタウロス系」とも呼ばれています。

Ibanez TUBE SCREAMER Overdrive Pro TS808

Ibanez TUBE SCREAMER Overdrive Pro TS808 は、1979年に Ibanez社から発売されたオーバードライブのコンパクト・エフェクターです。発売から40年以上経つ今も後続モデルが販売されています。愛用者は Stevie Ray Vaughan(スティーヴィー・レイ・ヴォーン)や Lee Ritenour(リー・リトナー)など。

TS808 を生んだのは、日本のエンジニアである田村進氏です。
サウンドは、当時使われることが多かったファズやディストーションよりも歪みが少なく、さらに高音域と低音域を抑えることで扱いやすくなるように意図していたと、アメリカのギターサイト「PREMIER Guitar」のインタビューにて語っています。
そのため、TS808のサウンドの特徴は、まろやかで中音域が太く、その特性から「かまぼこ形」とも呼ばれています。

1970年代後半に登場したこの TS808 は、Ibanez からの復刻版や MAXON OD808 Overdrive など、後続機やクローン機も多数発売されており、これらは「TS系」と呼ばれ現在でもそのサウンドは愛されています。

また、Tube Screamer のラインナップとして、1981年から1985年に製造された TS9 もビンテージとして人気があり、市場では数万円で取引されています。

Fuzz

Sola Sound Tone Bender

Sola Sound Tone Bender は、この後にご紹介する、Ram's Head Big Muff Pi 、Dallas Arbiter Fuzz Face と並ぶ、三大ファズ・エフェクトの名機です。最も初期のモデルは1965年に Sola Sound社から発売されました。

この Tone Bender は、イギリスのギタリスト Vic Flick(ヴィック・フリック) が、当時人気のあった Maestro FZ-1 Fuzz-Tone のサステインを長くするよう、エンジニア Gary Stewart Hurst(ゲイリー・スチュワート・ハースト) に依頼したことで開発されたとされています。

Jimmy Page(ジミー・ペイジ) や Jeff Beck(ジェフ・ベック) らに使用され、1960年代のブリティッシュ・ブルース・ロックのサウンドを作る一翼を担いました。

現在は、Tone Bender Mk II をモデルに BOSS と Sola Sound が共同開発した TB-2W が限定3000台生産されています。

Ram's Head Big Muff Pi

Ram's Head Big Muff Pi は、Electro-Harmonix社が1969年から発売しているファズ・エフェクター Big Muff の中でも、1973年から1977年頃まで販売していた2代目モデルです。愛用者には、David Gilmour(デヴィッド・ギルモア)や Billy Corgan(ビリー・コーガン)などがいます。

Ram's Head Big Muff Pi は中音域が豊かで分厚いファズサウンドでありつつも、音の輪郭がはっきりとしていると定評があります。また、非常に伸びやかなサステインそのサウンドは“シルキー(絹のよう)なサウンド”と表現され、ビンテージエフェクターとして名高い存在です。

現在販売されている当時のモデルを再現したリイシュー版も、Ram's Head Big Muff Pi のサウンドを引き継ぎ、よりコンパクトなサイズで扱いやすく人気です。

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/269673/?srsltid=AfmBOopywSFUKs4bA52jfgoE_jErhXwPcGt-G5dOF2WBbwfxOYgXt8kT

Big Muffの製品群、またそのサウンドを引き継いだ製品は「ビッグマフ系」と呼ばれています。

Dallas Arbiter Fuzz Face

Dallas Arbiter Fuzz Face は、Arbiter Electronics Ltd. が1966年に販売を開始したファズ・エフェクターです。

このエフェクターはマイクスタンドの底の円盤部分を基にデザインされており、つまみとロゴで顔になっている特徴的な見た目です。ちなみに、この製作者である lvor Arbiter(アイヴァー・アービター)は、ビートルズのロゴをデザインした人物としても知られています。

初期モデルは1966年から1967年頃に販売され、その後 Arbiter Electronics Ltd. は別会社と合併し、さらに買収などの変遷を経て、Fuzz Face の生産は1975年頃に終了しました。

このエフェクターは、Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)が使用したことでその名が世界に広まったことでも有名です。その他 Eric Clapton(エリック・クラプトン)や David Gilmour(デヴィッド・ギルモア)も愛用し、1970年代のサウンドを支えました。

サウンドは、太く厚みのある歪みが強く、独特の揺らぎとウォームな中低域が特徴です。このような力強いサウンドからブルース・ロックのサウンドに大きく貢献しました。

現在では Jimi Hendrix が使用していた Fuzz Face にインスパイアされた JIM DUNLOP JH-F1 などの製品があり、こうした製品は「ファズフェイス系」と呼ばれています。

その他

Shin-Ei Uni-vibe

日本の会社であるShin-Ei が展開していたHoney(Shin-ei / シンエイ)というブランドによって、1960年代に発売されたモジュレーション系のエフェクターです。

開発をしたのはエンジニアである三枝文夫氏です。
リットーミュージック運営の楽器や機材の総合情報サイト「デジマート」の公式Youtubeチャンネルの三枝文夫氏へのインタビューにて、Uni-vibe 開発のきっかけを語っています。三枝氏は、当時日本に流れてきていたモスクワからの宣伝放送を聞いていた際に、音声の音色の変化に気づき、それを音楽に生かせるのではないかと思ったとのこと。

この Shin-Ei Univibe は、ビブラートやトレモロのような独特な揺らぎ、そして暖かみのあるサウンドが特徴です。
Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)が愛用し、1969年の伝説的なロック・フェス「ウッドストック・フェスティバル」出演時に使用していたことは、有名なエピソードです。

現在では、60年代の Univibe を再現したクローン機器として Vibe 2 CHORUS / VIBRATO なども発売されており、こうした製品は「ユニバイブ系」と呼ばれています。ギターだけでなく、エレクトリックピアノと一緒に使用されることも多いです。


まとめ

以上、今回は有名なヴィンテージギターエフェクターをご紹介しました。
ヴィンテージもののエフェクターは個体差が顕著なものもあり、なかには同じモデルでも理想の個体と出会えるまで売り買いを繰り返す方もいます。なかなか奥が深い世界ですね。

このような名機は様々な名曲の一部を担っており、音楽の歴史にも重要な役割を果たしています。
まだまだ紹介しきれなかったものはたくさんありますが、重要なサウンドを知っておくことで、より音楽を聴くのが楽しくなるのではないでしょうか。

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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