MIDI とは
MIDI とは、Musical Instruments Digital Interface の略称で、電子楽器の演奏情報を他の電子楽器やソフトウェアに送るための通信プロトコルです。
MIDI には演奏する際の強さやタイミングなどの演奏情報が含まれており、その演奏情報をMIDIデータとして扱うことが可能です。
演奏情報を共有するための言語と捉えると良いでしょう。
MIDIの歴史
MIDI 規格が誕生したのは、1980年代です。元々はシンセサイザー間の通信のため、誕生しました。
1970年代頃からシンセサイザーが普及しはじめ、MIDI が登場する前にも機材間での通信手段はあったものの、その規格は統一されていませんでした。そのため、別のメーカーの機材同士は互換性がなく、繋げることができなかったのです。
そこで、ローランドの創設者であった梯郁太郎(かけはし いくたろう)さんが、規格の統一化を呼びかけたことをきっかけに、MIDI の開発が進みました。
統一規格に対する取り組みは、Roland や KORG、YAMAHA、カワイなどの日本企業を中心として推し進められていき、1981年に「MIDI1.0」が公開されました。
また、2019年には「MIDI2.0」が公開されています。
現在は MIDI が誕生してから約40年ほどたった今でも、音楽制作では欠かせない規格となっています。
MIDI でできること
DAW への入力
前提として、MIDIコントローラーや DAW について、よく分からないという方は以下の記事をご覧ください。
MIDI キーボードや MIDI パッドなどの MIDI コントローラーをパソコンに接続をすることで、DAW に演奏情報を、打ち込むことができます。
マウスを使用しても MIDI を打ち込むことは可能ですが、MIDI コントローラーを使用することで音楽制作の効率が向上します。
電子楽器への接続
MIDI は、電子楽器へ接続する際にも使用されます。
例えば、シンセサイザーと MIDIキーボードを繋げて、シンセサイザーの音を鳴らしたり、パソコンと繋げることで、DAW からの MIDIデータをシンセサイザーの音で鳴らしたり。
これにより、複数のシンセサイザーを一台の MIDIキーボードで切り替えて演奏することが可能です。
他にも、シンセサイザーが2台ある場合、それぞれケーブルを繋ぐことで、片方で演奏を行った場合、その演奏情報がもう一台に送られるため、同時に2台のシンセサイザーを演奏することができます。
MIDIデータの共有
MIDIデータは演奏情報をデータ化したものなので、バンドメンバーにファイルを共有することも可能です。
DAW で MIDIデータのファイルを開いて、演奏データの修正を行うこともできるため、アイディアのブラッシュアップにも有効でしょう。
また、 ネット上では MIDI の販売や配布も行われています。
例えば、音楽制作の勉強や、自分の好きな曲を耳コピする際の参考にしたり、その MIDI を使用してアレンジを加えて楽しむのも良いでしょう。
以下は MIDI が無料ダウンロードできるサイトの例です。
MIDI に含まれる情報って?
ここまで、MIDI は演奏情報が含まれているとお伝えしました。では、演奏情報とは具体的に何が含まれているのでしょうか。
以下は、MIDI に含まれる主な演奏情報です。
- ノートナンバー
どの音程を弾いているか。0〜127まであり、60が「中央のド(C4)」を意味します。
- ベロシティ
どれくらいの強さで演奏しているか。鍵盤をどれだけ強く押したか、またはパッドの打鍵の強さを反映します。
- ノートオン / ノートオフ
どのタイミングで音を出し、音を止めたかという音の長さ。
- CC (コントロールチェンジ)
モジュレーションやサステイン、エクスプレッションなどのパラメーターに関する情報。
- ピッチベンド
ピッチに関する情報。半音よりも細かい設定ができる。
- チャンネル
1〜16チャンネルまであり、それぞれに何のパートや音源が割り当てられているかという情報。
- クロック
複数のデバイス間でテンポを同期するための情報。
MIDI コントローラーとパソコンを繋ぐ方法
接続に使用するもの
MIDI 接続をするためには、使用する機材によって以下のものを使い分けます。
- USBケーブル
- MIDIケーブル
- MIDIインターフェイス
パソコンに MIDIコントローラーを接続し、DAW への打ち込みに使用したい場合、MIDIコントローラーとパソコンを USBケーブル で接続します。
また、電子ピアノやシンセサイザーでも、USB または MIDI出力端子がついているものは、パソコンと接続して MIDIコントローラーとして使用することが可能です。
USB端子がついている場合、USBケーブルで接続するのが一番簡単な方法ですが、少し前のモデルだと USB 端子がついてないものもあります。そのような場合は、MIDI端子とMIDIインターフェースを使用することで接続が可能です。
1. USB接続が可能な場合
MIDIキーボードの USB 端子と、パソコンの USB 端子を接続しましょう。
USB には Type-A や Type-B、Type-C など様々な端子形状があります。
ご自身が使用している MIDIコントローラー の USB 端子とパソコンの USB 端子を確認してケーブルを購入しましょう。
2. USB 接続ができない場合
USB端子が使用する機材になく、MIDI端子がある場合は、MIDIケーブルと MIDIインターフェイスを使用します。
使用する機材の MIDI OUT に、MIDIケーブルの IN を接続し、MIDIケーブルの OUT をMIDIインターフェイスの MIDI IN に接続します。また、MIDIインターフェイス とパソコンは USBケーブルで接続が可能です。
また、MIDIインターフェイスとケーブルが一つになったものもあり、それを利用することで、MIDIキーボードとパソコンを直接接続することができます。
ROLAND ( ローランド ) / UM-ONE mk2 MIDIインターフェイス|SOUND HOUSE
注意点:MIDI にはオーディオ情報は含まれない
MIDI には演奏情報に関するさまざまなデータが含まれていますが、オーディオ情報は含まれていません。MIDI 自体には音そのものに関するデータは存在せず、音を鳴らすためには別途音源が必要です。
例えば、DAW に MIDI データを送った場合でも、音源を選択しないと音は鳴りません。
また、シンセサイザーやハードウェア音源を使用したい場合、MIDI接続ではそれらの音を取り込むことはできません。
この場合、別途オーディオ信号を扱うための接続や設定が必要です。
MIDIの仕組みを理解するためには、「音」と「演奏情報」は別のものとして切り離して考えることがポイントです。
DTM におすすめの MIDIコントローラーは?
MIDIコントローラーとは、MIDI を操作するためのコントローラーです。
一般的にはキーボードの形をしており、このタイプのコントローラーを「MIDIキーボード」と呼びます。
まだ MIDIコントローラーを持っていない方は、まずは MIDIキーボードから揃えると良いでしょう。
例えば、Native Instruments の MIDIキーボードである Aシリーズの49鍵はおすすめです。
SOUND HOUSE にて26,430円(税込)と少々お高めですが、Native Instruments Select という音源がついてきます。この音源は定価で15,300円(税込)なので、まだ音源を持っていないという方におすすめです。(2025年1月現在)
Native Instruments ( ネイティブインストゥルメンツ ) / KOMPLETE KONTROL A49 MIDIキーボード|SOUND HOUSE
また、まずはシンプルな打ち込みだけで良いという方は、 M-Audio Keystation 49 がおすすめです。
SOUND HOUSE にて11,018円(税込)と、49鍵の MIDIコントローラーの中でも価格も安く、シンプルで使いやすいです。
先ほどご紹介した Aシリーズほど機能はありませんが、必要最低限の機能を備えているので、打ち込みも十分に行えます。
以下の記事で、MIDIキーボードの基礎的な知識も合わせてご紹介しているので、ご覧ください。
また、MIDIコントローラーは、キーボード以外にも、MIDIパッドという形のものもあります。
MIDIパッドはドラムなどのリズムを打ち込むのに最適です。
AKAI MPD218 は、価格帯も安く、シンプルな機能で初心者の方にもおすすめです。
AKAI ( アカイ ) / MPD218 MIDIパッドコントローラー|SOUND HOUSE
その他にも、MIDIコントローラーには、ギター型のものもあります。
ギターを演奏する感覚で MIDI を打ち込むことが可能なので、ギタリストの方は重宝
するのではないでしょうか。
Zivix ( ジビックス ) >Jamstik Studio MIDIギター Matte Blue|SOUND HOUSE
まとめ
今回は、MIDI についてご紹介しました。
名前だけ聞いたことがあるけれど詳しくは知らなかった方や、何となく理解していたつもりだった方も、この機会に MIDI について理解が深まったのではないでしょうか。
MIDI の誕生は、音楽業界に大きな変革をもたらしました。
当初はシンセサイザーを同時に演奏するための技術として開発された MIDI ですが、現在では DAW にも広く活用されています。
その結果、個人でも本格的な音楽制作を楽しめるようになり、音楽制作のハードルが大きく下がりました。今では、多くの人々が気軽に音楽表現を始められる時代となっています。
MIDI を正しく理解することで、音楽制作の幅がさらに広がり、楽しさも増していくはずです。 MIDI を活用して、音楽制作をより深く楽しみましょう!
東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。