ギターチューニングの種類〜レギュラーチューニングから変則チューニングまで

ギターのチューニングには、様々な種類があります。 ギターには長い歴史がありますが、その過程で多くのチューニングが生まれ、現在では「レギュラーチューニング」という標準のチューニングが確立しています。 また、「レギュラーチューニング」に加えて、ジャンルや場面に応じて、よりギターを弾きやすく、音色を豊かにするために「変則チューニング」が使用されることもあります。 今回は、そんなギターの様々なチューニングをご紹介いたします!

Nami
2025-05-214min read

レギュラーチューニング

レギュラーチューニングとは、ギターの標準的なチューニングのことです。
チューニングの指定がない場合は、このレギュラーチューニングを行いましょう。

レギュラーチューニングの場合、開放弦をそれぞれ以下のように音を合わせます。

6弦から順に E(ミ)・A(ラ)・D(レ)・G(ソ)・B(シ)・E(ミ) の並び(EADGBE)になっています。
レギュラーチューニングを行った際のそれぞれの弦の間隔は、3弦と2弦の間は長3度、それ以外の弦同士は完全4度の間隔です。

このチューニングは、ギターを弾く時にキーが変わっても大きく指の形を変える必要がなく、またコードを効率よく押さえることができるため、現在も広く使用されている。

レギュラーチューニング以外のチューニングは「変則チューニング」と呼ばれます。次章から変則チューニングの様々な種類をご紹介します。

半音、全音下げチューニング

半音下げチューニングや全音下げチューニングは、その名の通り、レギュラーチューニングからそれぞれ半音、全音低く各弦を調整するチューニング方法です。

これらのチューニングを行うことで、レギュラーチューニングよりも低音のレンジが広がり、サウンドに重厚感が加わります。ボーカルとのキーの相性を考慮して選ばれることも多いでしょう。また、弦を緩めることでテンションが下がり、チョーキングがしやすくなるという演奏面でのメリットもあります。

これらのチューイングでは太い弦を張ってもギターへの負担が少なく、ヘヴィなサウンドと相性が良いです。そのため、ヘヴィメタルや、ハードロックでよく使用されるチューニングです。

半音下げチューニング

半音下げチューニングとは、レギュラーチューニングから半音下げた音にそれぞれの弦を合わせるチューニングのことです。

6弦から順に E♭(ミ♭)・A♭(ラ♭)・D♭(レ♭)・G♭(ソ♭)・B♭(シ♭)・E♭(ミ♭) の並び(E♭A♭D♭G♭B♭E♭)になっています。

全音下げチューニング(1音下げチューニング)

全音下げチューニングとは、レギュラーチューニングから全音下げた音にそれぞれの弦を合わせるチューニングのことです。

チューニング方法は、各弦を上記の音に合わせるか、もしくはカポタストを使う方法があります。

カポタストを2フレットにつけると、すべての開放弦が全音高くなった状態になります。この状態でレギュラーチューニングを行うことで、カポを外したら各弦が全音下げの状態になっています。

6弦から順に D(レ)・G(ソ)・C(ド)・F(ファ)・A(ラ)・D(レ) の並び(DGCFAD)になっています。

ドロップチューニング

ドロップチューニングとは、6弦だけをドロップ、つまり音程を「下げる」というチューニングです。

ドロップチューニングのメリットとして、6弦の音が低くなることで低音のレンジが広がり、音に厚みが増すという点が挙げられます。

また、「パワーコード」が押さえやすくなるという点も大きなメリットでしょう。

パワーコード とは、コードのルート音と5度の音のみを鳴らすコードのことで、このパワーコードはレギュラーチューニングでも2つの指しか使わずに演奏ができるため、簡単なコードです。

そんなパワーコードを、ドロップチューニングの場合は1つの指で演奏が可能になります。

ドロップDチューニング

ドロップDチューニングとは、レギュラーチューニングの6弦のみを1音下げるチューニングです。

6弦から順に D(レ)・A(ラ)・D(レ)・G(ソ)・B(シ)・E(ミ) の並び(DADGBE)になっています。

以下の動画では、ドロップDチューニングについて解説しています。是非ご参考にしてください。

Drop D Basics|Axe of Creation

ドロップCチューニング

ドロップCチューニングとは、6弦を C に合わせ、その他の弦はレギュラーチューニングから全音下げた音に合わせるチューニングのことです。

6弦から順に C(ド)・G(ソ)・C(ド)・F(ファ)・A(ラ)・D(レ) の並び(CGCFAD)になっています。

オープンチューニング

オープンチューニングとは、ギターを開放弦で鳴らした時に、特定のコードが鳴るようにしたチューニングのことです。

オープンチューニングをすることで、特定のコードが弾きやすくなったり、さらに解放弦で鳴らせることで、豊かな響きを得ることができます。

また、ボトルネックをつかったスライド奏法では、オープンチューニングが重宝します。

開放弦でたとえば Gメジャーコードが鳴っている(オープンG チューニング)場合、そのまま5フレットにスライドすれば Cコード、7フレットにスライドすれば、Dコードが弾けるため、I - IV - V の動きがスムーズです。

オープンDチューニング

オープンD チューニングとは、開放弦を鳴らした時、Dメジャーコードが鳴るように調節するチューニングのことです。

Dメジャーキーを演奏しやすいチューニングです。

6弦から順に D(レ)・G(ソ)・D(レ)・G(ソ)・B(シ)・D(レ) の並び(DGDGBD)になっています。

DADGAD(ダッドガッド)チューニング

DADGADチューニングとは、オープンDsus2とも考えられるチューニングです。

そのサウンドはケルト音楽やフォークミュージックなどで親しまれています。

6弦から順に D(レ)・A(ラ)・D(レ)・G(ソ)・A(ラ)・D(レ) の並び(DADGAD)になっています。

FACGAEチューニング

FACGAEチューニングとは、オープンFM9 とも考えられるチューニングです。

テンションコードが含まれているので、複雑で綺麗な響きが開放弦で鳴らせるのが特徴です。また、Cキーと Fキーが弾きやすいチューニングとなっており、その他のキーはカポを使うことによって対応します。

このチューニングは、特にマスロックやエモといったジャンルで頻繁に採用されているチューニングです。

6弦から順に F(ファ)・A(ラ)・C(ド)・G(ソ)・A(ラ)・E(ミ) の並び(FACGAE)になっています。

様々なチューニングを試すミュージシャンたち

Joni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)

Joni Mitchell はカナダ出身のシンガーソングライターです。彼女は1960年代から音楽活動を開始し、これまでにグラミー賞の受賞やロックの殿堂入りなど、数々の栄誉を受けてきたレジェンド的存在です。

彼女の公式サイトでは、楽曲ごとに使用しているギターのチューニングが詳細に紹介されています。ぜひチューニングを確認しながら彼女の楽曲を聴いてみてください。

Guitar and Piano Transcriptions|Joni Mitchell - Official Website

Nick Drake(ニック・ドレイク)

Nick Drake は、当時のビルマ連邦(現在のミャンマー)に生まれたイギリスのシンガーソングライターです。

生前は商業的な成功には恵まれませんでしたが、彼の作品は死後に再評価され、多くのアーティストに影響を与える存在となりました。彼はわずか26歳でこの世を去りましたが、その音楽は今なお多くのリスナーに愛されています。

彼の曲は、様々な独特なチューニングが多様されていることでも有名です。

  • 『Pink Moon』CGCFCE

Nick Drake - Pink Moon|Nick Drake

  • 『ROAD』EADEBE

Road|Nick Drake

余談:チューニングの Hz とは?

ギターのチューニングを行う際に、「440Hz」という言葉を目にしたことがあるかと思います。

この 440Hz というのは、楽器をチューニングする際の基準となる数値です。

440Hz とは音の周波数を表しており、国際的な基準では「ラ(A)」の音を 440Hz に合わせることが定められています。ギターで言えば、1弦の5フレットの音がこの 440Hz に 相当します。

現在では、ギターに取り付けて使う「チューナー」という便利なツールがあり、そのチューナーで基準とする周波数(Hz)を自由に設定することが可能です。

この 440Hz 以外にも、441Hz や 432Hz などが使われることもあり、それによってサウンドの印象がわずかに変化することがあります。

気になる方は、いろいろ試してみるのも面白いでしょう。


まとめ

以上、今回は様々なギターチューニングの種類をご紹介しました。
ギターのチューニングは、サウンドや演奏のしやすさにも影響します。時にはそれがインスピレーションにもなり、新たなフレーズのアイディアにもつながるかもしれません。

みなさんも、様々なチューニングを試してみてはいかがでしょうか?

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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