

ONLIVE Studio活用事例紹介〜ヒラウチマイ『でんぐりがえし』:ミックスエンジニア 田中”Teppei”邦明氏
ONLIVE Studio での出会いから生まれた楽曲をご紹介!シンガーソングライターのヒラウチマイさんが8月27日にリリースした新曲『でんぐりがえし』の制作にあたり、ONLIVE Studio を活用してミックスエンジニアである田中”Teppei”邦明氏へミックスとマスタリングを発注。 今回は田中氏に、依頼を受注した経緯、どんなイメージでミキシング、マスタリングしたのかを聞きました。

名古屋で活動するシンガーソングライター、ヒラウチマイさんの楽曲『でんぐりがえし』。
こちらの曲のミックスとマスタリングは、ONLIVE Studio を介して、田中”Teppei”邦明さんに依頼して完成しました。
ヒラウチマイさんのインタビューはこちらからご覧ください。
今回はエンジニアの田中さんに、プロフェッショナルの目線での楽曲制作への取り組み方をお聞きしました。
依頼の受け方について
-ご依頼は普段どのように受けていらっしゃいますか?
ホームページを見て連絡をくれる方が多いです。国内はもちろんですが、海外からも来ますね。
-そういった方たちは、田中さんの個人名で検索して来られるんですか?
恐らくそうですね。
日本の音楽が今海外で流行っているので、きっと CD のクレジットを見て検索して来ているんだと思います。
今はメジャーの仕事をやるよりもそっちのほうが楽しいですね。
これまでだったら絶対知り合わなかった人と知り合えたり、こんな才能がまだ埋もれてるんだっていう出会いもあるので。
今は、レーベルなどに所属していなくても発信する場所がいっぱいあるから、個人でやっている人もどこで火がつくかわからない時代ですよね。
-メジャーレーベルからの依頼もあるんですか?
あります。でも今はあんまりやってないです。
僕がメジャーレーベルからの仕事をやってた頃のディレクターは偉くなっちゃったり、退職していたりするので。
違う方向で依頼を受けてみようとネットで受付し始めたら、意外と面白くて。
-今回のマイさんの依頼を受けた時はどうでしたか?
このサービスで本当に依頼って来るんだって思いました(笑)
マイさんのプロデューサーの北條さんから問い合わせが来て、「自分でミックスしたんだけどあんまりうまくいかなくて」という内容で相談をもらいました。そのときに音源ももらったと思います。
-逆に音源を聞かず受ける場合もあるんですか?
あります。
-楽曲のクオリティやジャンルに関係なく、依頼は受けているのでしょうか?
そうですね。クラシック、ジャズや演歌、なんでも受けていますよ。
今回の楽曲制作について
-『でんぐりがえし』の音源を聴いた最初の印象はいかがでしたか?
完成されてるなという印象でした。アレンジもすごく面白かったですし。
マイさんの歌詞も、言葉選びが面白いですよね。
日常の喜びを歌っている感じが、シャンソンに近い。ああ、なんか楽しいんだろうなっていうことが、彼女の歌声や歌詞から伝わってくるので、聴いているこっちも楽しくなってくる。
-そこからどういった仕上がりをイメージされてミックスしたのですか?
ほとんど感覚でやっていくので最初に何かをイメージすることは特にはないんですが、歌ものだったら歌が一番よく聞こえる状態、歌が一番入るような仕上がりにすることを心掛けていますね。
歌を邪魔するようなオケのバランスだったら台無しになってしまうので。
-声の特徴に合わせたアプローチはあるんですか?
難しい質問ですね(笑)。ボーカリストってみんなそれぞれ特徴がありますから。
声質に対して何かをするというより、勝手に手が動く感覚ですね。
エンジニアってみんなそうだと思うけど、自分の中に絶対的な基準があるんだと思うんですね。それぞれ違う基準なんだろうけど。
だからアーティストとの相性に寄るところはすごくあるんじゃないかな。
ミュージシャンでもありますよね?上手い下手ではなく、演奏が好きとか合うとかで選ぶことが。
アナログ卓でミックスしていた頃の話なんだけど、まずいつも通りフェーダーで楽器のバランスを調整して、全部印をつけてから、一旦全部ゼロに戻して、次に目隠ししてミックスしてみたんですね。そうしたら、ほぼ同じ印のところにフェーダーを合わせていたんですよ。そのときに、耳で判断している絶対的な感覚があるんだなと思いました。
なのでいつも、最初は自分の感覚を信じてやってみて、あとはクライアントとアーティストの意見を聞きながら調整していきます。
-今回は、マイさんや北条さんから修正依頼はありましたか?
細かい調整はありましたけど、 大枠ではオッケーって感じでした。
でもやり取りは文章だけで表情も見えないので、実際どう思ってるかはわからなかったです(笑)
-さっきお話しされてたようにオンラインでのやりとりや新規顧客から依頼が来た際には、相手の反応に不安になることもあるんですか?
割り切ってやってるけど、たまに不安になることもあるかな。
面と向かってやっていれば1分で終わるような作業が、なかなか伝わりにくかったり、こっちも上手く返せないもどかしい感じになる時はありますね。
今までのメジャーとの仕事だと、ミックスチェックの時もアーティストやディレクターがみんなスタジオに集まって一斉に聴く環境があったので、話は早かったですよ。
-そういう意味ではたくさんの人たちの中で聞いてもらうのと、データを送って反応を待つのは、心持ちがちょっと違いますよね。
そうですね。だから今でもドキドキしますよ。それは対面でもそうだけどね。
データだと、半日反応がこなかったりすると「なんかダメだったのかな」と不安になる(笑)
-少ないヒントや受け取った音源の中から、その人が理想とする音を返すことが必要かと思うのですが、今回マイさんからはメジャー感のある音にしてみたいというオーダーがあったと聞きました。
そうですね、一応そのことも頭の片隅には入れておりました。ただ最初はやっぱり、自分の尺度でやっていかないとわかんなくなっちゃうんで、それで進めてみて、あとから修正を入れていくような流れでしたね。

ONLIVE Studio を使ってみて
-サービスを使ってみた感想や今後期待することがあれば教えてください。
ONLIVE Studio には、映像クリエイターの登録はないんですよね?
今は音楽にも映像がないと広まっていかない時代なので、そっちもカバーできたらいいのかなって思いました。
あとは、レーベルを作るのもいいですよね。ここでクリエイター同士を引き合わせて、発売して、ミュージックビデオも作って、それで、エンジニアにも少し著作権を分配できると、新しいフォーマットになるんじゃないでしょうか。
-そういう一つのモデルを作れたら面白いですね。
そうですよね。それは他にやってるところはないんじゃないかな。
曲を作ったら、そのあとどうすればいいかわからないっていう人も結構いると思うので、レーベルにしてケアをしてあげられると良いですよね。
-最後に、音楽制作に取り組んでいるクリエイターの皆さんに向けて、制作にあたってのアドバイスがあれば教えていただけますか。
楽しんでやるのが一番良いんじゃないかな。
たまに、人の意見とか全く聞かない人がいるんですけど、まあそれはそれで、自分の世界の中だけでやっていくならいいんだろうとも思います。でも、人に聞いてもらいたいとか良いものを作りたいという気持ちがあるなら、いろんな人と交流を持っていろんな意見を取り入れていくのが良いと思います。
音楽って、いろんな人と繋がって化学反応を起こして、良いものになっていくだろうから。
楽しく、信念を持って。楽しくないとできないと思うし、楽しくないといいものもできないから。楽しんでください。
まとめ
今回は『でんぐりがえし』の制作についてのお話を、ミックス・マスタリングエンジニアの視点から、田中さんにお聞きしました。
エンジニアのプロフェッショナルがミキシングに取り組むときの考え方は、普段なかなか聞く機会のないお話だったのではないでしょうか。「自分の感覚を信じる」というエピソードが印象的でした。
いろんな人と繋がっていくことで、良い作品ができると話してくださった田中さん。
あなたも、ぜひ ONLIVE Studio で信頼できるプロフェッショナルを探してみてください!
田中”Teppei”邦明さんにミックスの依頼をしてみたい方は、ONLIVE Studio からお問い合わせをしてみてくださいね!
田中”Teppei”邦明氏プロフィール
これまで玉置浩二や中山美穂などの数々のアーティスト、数々のヒット作品を手掛ける。
生年月日:8月24日
出身:福岡県
出身校:福岡県立大牟田北高等学校
趣味:家庭菜園
音楽以外での目標:現状維持

「ONLIVE Studio」は、音楽制作をプロフェッショナルに依頼できるWebサービスです。オウンドメディアである「ONLIVE Studio blog」では、音楽制作のヒントやキャリアに関する情報、専門家へのインタビューなど、あなたの音楽キャリアを彩る情報をお届けします。