

ポップスを作る上で知っておきたい!〜ブラスの基礎知識
ONLIVE Studio blogでは、さまざまな楽器の基礎知識をご紹介しています。 今回は、その煌びやかな見た目と圧倒的な存在感のあるサウンドで魅了する「ブラス」に注目します。 一口に「ブラス」と言っても、そこにはさまざまな楽器が含まれており、「自分の楽曲に取り入れたいけれど、どの楽器を使っているのか分からない」「編成はどうなっているの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、ポップスにブラスを取り入れてみたいと考えている方に向けて、ブラスセクションの基礎知識をわかりやすくご紹介します。

そもそもブラスとは?
ブラス(Brass)とは、金管楽器の総称です。
金管楽器には、トロンボーンやトランペット 、チューバ、ユーフォニアム、コルネットなど様々な楽器があります。
金管楽器はマウスピースを使用し、唇を震わせて発音するのが特徴です。
そのため、たとえばフルートなど、本体が金属でできていても、金管楽器に当てはまらない楽器もあります。
また、オーケストラやブラスバンドでは「金管セクション」で分けられることが多いですが、ポップスではブラス(金管楽器)にサックス(木管楽器)を加え「ホーンセクション」として扱われることが多くあります。
楽器紹介
この章では、代表的な金管楽器をご紹介します。
音域に関しては、演奏者によって大きく異なるため、あくまで一般的に使用される音域としてご紹介いたします。(真ん中のド=C4)
トランペット
トランペットはブラスの中でも音域が最も高く、派手なサウンドなことから、金管楽器の花形といえる楽器です。
C管と♭B管があり、一般的には♭B管が使用されます。
中高音域を担当し、音域は E3〜 A5 (♭B管の場合)あたりです。
コルネット
見た目や音がトランペットによく似ており、音域も同じです。(♭B管の場合)
♭B管とE♭管があり、一般的なジャズや吹奏楽の場合、♭B管が使われます。
トランペットとの見た目の違いとしては、トランペットは管が一巻きであるのに対し、コルネットは二巻きになっています。また、コルネットの方がやや音が柔らかい印象です。
初期のジャズである、ニューオリンズジャズではトランペットよりもコルネットの方が人気で、かの有名なルイ・アームストロングも、初めて手にした楽器はコルネットでした。
また、小学校の吹奏楽部ではトランペットではなくコルネットを使用することが多いんだとか。
トロンボーン
トロンボーンは、中低音域を担当する楽器です。
通常トロンボーンといえばテナートロンボーンのことを指しますが、それよりも低いバストロンボーンもあります。
テナートロンボーンの音域は、E2〜 C5あたりです。低域〜中低音域は持ち味を生かせますが、高域は使用には注意が必要です。
スライドと呼ばれる部分を伸び縮みさせて演奏を行うのが特徴です。
ユーフォニウム
ユーフォニウムは、中低音域を担当する楽器です。
「ユーフォニウム」はギリシャ語で「良い響き」を表す言葉に由来しているといいます。
その音は丸みのあるサウンドで、どこか優しい印象です。
音域はE2〜A4あたりです。
ユーフォニアムはトランペットなどに比べて、比較的知名度の低い楽器でしたが、2013年から刊行されている、武田綾乃さん著『響け! ユーフォニアム』の人気により、日本における知名度が上がったとされています。
ホルン
ホルンは中低音域を担当する楽器で、音域はA1〜F5あたりです。(F管)
F管と♭B管があります。
丸みのあるサウンドが特徴ですが、演奏次第で力強い印象を与えることができます。
チューバ
チューバはかなり大きな楽器で、トロンボーンよりもさらに低い音域を担当します。
音量も大きい為、アレンジには注意が必要です。
一般的なものだとF管、E♭管、C管、B♭管などがあります。
音域は、E1〜 A3あたりです。(♭B管の場合)
ホーンセクションについて
トロンボーンとトランペットを中心にして構成されるパートをブラスセクションと呼びますが、そこにサックスを加えた場合はホーン(管楽器)セクションと呼ばれます。
サックスもブラスじゃないの?と思った方もいるかもしれませんが、サックスは木管楽器なのです。
このホーンセクションを指してブラスセクションと呼ばれる場合もあり、実際には混合して扱われることも多いです。
また、次章からご紹介するブラスセクションには、ホーンセクションも含んでご紹介しています。
ブラスがよく使われるジャンル
ブラスはさまざまなジャンルで使用されており、その活用例は数えきれないほどあります。作ってみたいジャンルの楽曲を聴き、ブラスがどのように取り入れられているかを分析してみるのも良いでしょう。ここでは、その一例をご紹介します。
ジャズ
Sing Sing Sing - The Jazz Ambassadors|The United States Army Field Band
スカ(Ska)
これらに加えて、R&B や ロック、ディスコ、カリプソ など、さまざまなジャンルでブラスが印象的に使われています。
ポップスでよく取り入れられる編成例
この章では、ポップスでブラスが取り入れられる際の編成をご紹介します。
先ほど「ホーンセクションについて」の章にて、ホーンセクションについてご紹介しました。
ポップスの場合は特にホーンセクション としてブラスが取り入れられていることが多いです。
そのため、以下の編成はブラスだけではなくサックスを加えたホーンセクションのご紹介となります。
ここでご紹介する各楽器の編成は、あくまで一般的なものです。人数や使われる楽器は曲によって異なります。
3管
(例)
- サックス1人
- トランペット1人
- トロンボーン1人
4管
(例)
- サックス1人
- トロンボーン3人
ホーンセクションの編成は、「(セクションの人数)管」とも呼ばれ、トロンボーンとトランペット、サックスを中心にいろんなパターンがあります。
上記の他にも、5、6、7、8管...など、楽曲によって様々です。
ビッグバンド
- サックス5人
- トランペット4人
- トロンボーン4人
上記に加え、ピアノとベース、ドラムス、ギターを加えた17人編成が一般的なビッグバンドジャズの編成です。
番外編:オーケストラの金管セクションについて
オーケストラの金管セクションは、2管編成の場合、以下のような構成が考えられます。
- トランペット2人
- トロンボーン3人
- ホルン4人
- チューバ1人
まとめ
今回は、ブラスの基礎知識についてご紹介しました。
ブラスの音は派手で、楽曲を華やかにしてくれます。ブラスにはどのような楽器があるか、少しでもイメージをもっていただけたでしょうか?
また、ストリングス編の記事もあるので、合わせてご覧になってみてください。
様々な楽器を知り、いろんなアレンジに挑戦してみましょう!

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。