リファレンス曲
リファレンス曲とは、仕上げたいイメージの参考となる曲のことです。
「こんな感じの雰囲気にしたいな」「こんなジャンルの楽曲にしたいな」といったイメージが皆さんの頭の中に浮かんでいる場合、イメージを言葉だけで伝えることはなかなか難しかったり、またイメージの相違が生まれてしまう可能性があります。
そこで、仕上げたい方向性に近い既存曲を共有することで、認識のズレを防ぐことができます。
また、楽曲を制作する上でリファレンス曲を設定するということは、ゴール設定をすることにも近いです。
向かうべき方向性が定まっていないと、曲をどのように仕上げたいか分からなくなってしまうため、時には何度もやり直すことになってしまう場合もあります。
そのため、プロフェッショナル側からリファレンス曲を求められる事もあるので、リファレンス曲は必ず決めておくと良いです。
リファレンス曲を求められる時は、「リファレンス曲は何ですか?」や「イメージに近い曲を教えて下さい」などと言われるので、Youtube や Spotify などのリンクを送って伝えると良いでしょう。
サンプルレート、ビット深度
サンプルレート(またはサンプリングレート)とビット深度は、簡単にいうとアナログの音をデジタルに変換する際の音の正確性を表すものです。(詳しい解説は以下の記事をご覧ください)
サンプルレート、ビット深度は、DAW 上で設定することが可能です。
楽器録音依頼や、アレンジ依頼などでオーディオデータを使用する場合、自分と相手の数値を合わせることが必要です。理由として、異なる数値でオーディオファイル が DAW に取り込まれると音が変化してしまいます。
例えば、作曲家がサンプリングレート 48kHz/24bit で曲を作っていたとします。そこでギタリストに演奏の録音依頼をした際、ギタリストが 44.1kHz/16bit で録音をしてしまうと、そのデータを作曲家が自分のプロジェクトに入れて再生する時に音が変化して再生されてしまいます。
近年は 96kHz/24bit に合わせることが多いですが、必ず相手に確認をしましょう。
サンプリングレート、ビット深度は、「○kHz/○bit」「○khz-○bit」「○bit kHz」などの様に表記する人もいます。
指定がある場合は、「録音形式は「○kHz/○bit」でお願いします」などの様に伝えれば良いでしょう。
ビットレート
ビットレートとは、デジタルオーディオの品質やファイルサイズを示すものです。ビットレートは、1秒あたりに含まれるデータ量を表し、値が大きいほど音質が良いとされています。
単位は kbps(キロビット・パー・セカンド)や mbps (メガビット・パー・セカンド)を用いて表されます。
ビットレート はサンプルレートとビット深度を掛けて割り出される数値です。なので、基本的にはサンプルレートとビット深度が分かれば基本的には問題ありません。
例えば、サンプルレートが 44.1kHz で、ビット深度が16bit の場合は44,100 ×16=705,600bps となります。さらにステレオなので、2倍をして、結果 1411kbpsという数値が割り出されます。
パラデータ
パラデータ(またはトラックデータ)とは、各トラックのデータをそれぞれオーディオファイルで書き出したものです。
作曲や、楽器録音依頼、アレンジ依頼はパラデータで納品してもらうことが一般的で、多くの場合納品形式は WAVE ファイルです。
また、パラデータ のファイル名は、一目でわかりやすい様に、なるべく短く表現されます。
人によって表現が異なりますが、以下にファイル名の例を載せておきます。
- リードボーカル・・・Ld voc.wav
- コーラス・・・Chorus1.wav
- ピアノ・・・Pf.wav
- アコギ・・・AG.wav
- エレキギター・・・EG.wav
- ベース・・・Bass.wav
- キック・・・Kick.wav
- スネア・・・Snare.wav
- ハイハット・・・HH.wav
- タム・・・Tom.wav
- オーバーヘッド・・・OH.wav
- アンビエント・・・Amb.wav
- シンセサイザー・・・Synth.wav
ステムデータ
Stem(ステム)データとは、各トラックをそれぞれ役割ごとにある程度グループでまとめてオーディオファイルに書き出したものです。
例えば、ドラムのキック、スネア、ハイハット、その他パーカッションを一つのデータにまとめるなどが挙げられます。
パラデータと混同しやすいですが、パラデータよりも少しざっくりグループ分けがされているデータだと覚えておけば良いでしょう。
一般的に、stem データはレコーディング時に流す音源用や、ミックスを依頼する時に提出するデータとして要求されることが多いです。
こちらもパラデータと同様、人によって表現は異なりますが、以下にファイル名の例を載せておきます。
- ボーカル・・Vocals stem.wav
- ピアノ・・・Piano stem.wav
- ギター・・・Gtr stem.wav
- ベース・・・Bass stem.wav
- ドラム・・・Drums stem.wav
- シンセ・・・ Synth stem.wav
2mix データ
2mix (ツーミックス) データとは、各トラックを一つのステレオデータに書き出したものです。ステレオデータは、左側( L )と右側( R )のそれぞれに対応する音声信号を持っている形式です。
例えば、イヤフォンを使用する場合、左耳と右耳にそれぞれ異なる音声信号が送られ、これによって私たちに立体的な音楽体験を提供しています。
一般的に、2mix データはミックスの納品データ、またマスタリングで提出するデータなどに使用されます。
WAVE ファイル
WAVE ファイルとは、音楽制作で使用されることが多い、音楽ファイル形式です。
多くの場合、データのやりとりは WAVE ファイルで行われます。
特徴としては、元のデータを圧縮しないため、音質が良いです。一方で、圧縮されない分容量が大きいというデメリットがあります。
そのため、方向性のやりとりはデータ容量が軽い MP3 で行い、最終的な納品は WAVE ファイルで行うというパターンが一般的です。
その他データファイル形式について
以下の記事では、音楽制作でよく使用されるファイル形式について説明しています。知らない用語があれば、ぜひ合わせてご覧下さい。
まとめ
以上、今回は、プロフェッショナルに依頼する前に知っておきたい前提知識をご紹介致しました。
プロフェッショナルとの取引中に知らない用語が出てきた場合、検索をしてすぐ理解できるものであれば良いですが、良く意味が分からなかったり、そもそも検索をしても出てこないことがあるかもしれません。
しかし、知ってるふりをして話を進めてしまうと、後々トラブルの原因になる可能性があります。そのような場合は素直に質問をしてみると良いでしょう。
分からないことがあっても、礼儀正しく質問すれば、相手は答えてくれます。
東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。