J-POP
ずっと変わらない作曲方法:あいみょん
様々なヒット曲を飛ばし、数多くの映画やアニメのタイアップをこなすあいみょん。
その人気は日本のみならず韓国をはじめとして、海外でも人気が急上昇しています。
そんな彼女のソングライティング方法は、コード進行を弾きながら歌詞とメロディを引き出していき、その中で気に入ったフレーズから曲の物語を広げていくんだそう。つまり、歌詞とメロディーが同時のタイプですね。
彼女は14歳の時からこの作曲方法で作っているんだとか。
印象的で耳に残るあいみょんのフレーズはこうやって生み出されていたんですね。
参考:あいみょん 曲の作り方は14歳のころから変わらない|日本経済新聞
小説を音楽に:YOASOBI
2023年にリリースされた楽曲、テレビアニメ「推しの子」の OP テーマである『アイドル』が大ヒットとなり、近年より一層注目を集めている YOASOBI 。
彼らの活動コンセプトは、「小説を音楽にするユニット」であり、その発端はモノガタリードットコムに投稿された小説を音楽にするアイデアから生まれました。
モノガタリードットコムとは、ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営しているプラットフォームで、サイトでは毎日掲げられるお題に沿って物語やイラストが投稿できるサイトです。
このようなコンセプトから、ayase さんの歌詞も小説に寄り添ったソングライティングとなっています。
楽曲だけを聴く人のみならず、楽曲を聞いて原作を見てくれる人といった複数の側面を意識しながら行っているとのことです。
YOASOBI は今現在ではサイト内の小説のみならず、直木賞作家とのコラボレーション、さらにアニメの主題歌など、活動の幅を広げています。
スピードを大切に:野田 洋次郎
野田 洋次郎さんは、人気ロックバンド RADWIMPS のギターボーカルです。
その歌詞の切り口は斬新で、多くのファンの心を揺さぶります。
彼の作曲方法は歌詞とメロディをほぼ同時に構築するもので、ピアノでコードを弾きながらメロディを歌い、そのメロディによって自然に生まれる言葉から歌詞を形成していきます。
さらにメロディと相性の良い歌詞を見つけ、時には言葉が持つ響きやリズムによって彼の歌詞が完成されるとのこと。
また、曲作りにおいて瞬発力を重要視しており、例えば『匿名希望』という曲はわずか2日間で仕上げたのだとか。
参考:同時に作詞・作曲…!? 天才アーティストが曲づくりにおいて大切にしていること(ゲスト:RADWIMPS・野田洋次郎)【後編】|AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議
デタラメ英語を下書きに:矢井田 瞳
矢井田瞳さんは、日本コロムビア所属のシンガーソングライターです。
ミリオンヒットとなった『 My Sweet dalin' 』のサビのフレーズは「ダリダリ旋風」と呼ばれるほどの流行となりました。
彼女の曲作りの方法の一つに、でたらめな英語を口ずさんで作曲する方法があります。
でたらめな英語を下書きとして、曲を作っていくそうで『 My Sweet dalin 』もそのように作られたのだとか。その作曲法の名残として歌詞の多くが英語となっています。
多くのミュージシャンは洋楽に影響を受けていることもあり、このようにでたらめな英語で作曲するというのも、アーティストではよく見られる方法です。
参考:矢井田瞳、デタラメ英語だからハマった!大ヒット曲「my sweet darlin’」…大学4年の快挙|スポーツ報知
海外アーティスト
身近なものが作曲アイディアに: Charie Puth
Charie Puth (チャーリー・プース)はアメリカのシンガーソングライター、音楽プロデューサーです。
彼は自身の楽曲制作の過程を、コミカルに編集し SNS に投稿しており、話題を呼んでいます。
この動画内では、TikTok の撮影をしている彼のもとに、レコードレーベルから「カモン!TikTok を作るのをやめてくれ!」と電話がかかってきます。
おそらく、レコードレーベルは彼に 早く曲を仕上げて欲しいのでしょう。
動画内では、レコードレーベルが言った「カモン!」をそのまま歌詞にして曲作りを再開しています。
彼は他にも、昔のメッセージのテキストから良いフレーズを拾って曲を作ったり、日常に落ちているアイディアを拾い上げて楽曲作りに生かしています。
歌詞を3つにカテコライズ:Taylor Swift
Taylor Swift(テイラー・スウィフト)は、アメリカのシンガーソングライターです。
彼女のソングライティングの才能は言うまでもなく、2023年7月時点でなんと12回もグラミー賞を受賞しています。
彼女は自身の歌詞を「歌詞を書いているときにイメージ上でどんなペンを手に持っているか」に基づいて大きく「羽ペンの歌詞」「万年筆の歌詞」「グリッタージェルペンの歌詞」の3つに分類をしているとのことを明かしています。
・羽ペンスタイル
小説チックで、古風なものにインスパイアされている時の歌詞。
例:『ivy 』:ivy |GENIUS
・万年筆スタイル
彼女のほとんどの歌詞がこのスタイルに分類される。より現代的な歌詞で、言葉のひねりや情景を細かく描写し、リスナーがより世界観に入り込めるようなもの。
例:『All Too Well 』サビ
All Too Well 歌詞:All Too Well|GENIUS
・グリッターペン
他の2つと比べるとより軽薄で、あまり意味を持っていない歌詞。「私たちが生きている困難な時代にたまに必要なもの」と Taylor はこのカテゴリーについて説明している。
例:『shake it off』 Cメロ。
shake it off 歌詞:Shake It Off|GENIUS
なお、これらの3つのペンは実際には使用しておらず、あくまでイメージ上とのことのことです。
まとめ
以上、今回は様々なアーティストのソングライティングの方法を見ていきました。それぞれ独自の方法が見られましたね。
今回取り上げただけでも、様々な作曲のインスピレーション方法があることがわかりました。自分が試したことのない新たなアイディアがあれば、ぜひソングライティング方法の一つとして試してみてはいかがでしょうか。
最後に ONLIVE Studio スタッフであり、アーティストとしても活躍する水村宏輔に作曲方法を聞いてみました。
- 散歩などしながら脳内でできたものを、ボイスメモとメモ帳に保存
- メロディーと歌詞はセットで降りてくることが多いので、基本的には楽器を触って作曲することは少ない
- 仕事の脳(理論的)と、作曲の脳(感情的)の切り替えが効かず、何も降りてこない時は映画を見たり、音楽を聴いたりして気持ちを作る
- 歌詞は信念として「嘘」はかかないようにしている(フィクションだとしても思ってもないことは書かない)」
散歩をしながらアイディアを探すのも良いですね。人間は動いている時により創造性が上がることが研究でもわかっているみたいです。
水村の曲を聞いてみたい方ぜひこちらからどうぞ↓↓
水村宏輔プロフィール
ロックバンド「 Loafer 」ギターボーカルを担当し、ほぼ全ての曲の作詞作曲を手がける。
現在は水村宏輔プロジェクトと題する、ソロプロジェクトを主に活動中。今回の楽曲『アゲハ』も同プロジェクトの一環である。
また、プログラマーとして ONLIVE Studio の開発にも取り組んでいる。
東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。
Masato Tashiro
プロフェッショナルとして音楽業界に20年のキャリアを持ち、ライブハウスの店長経験を経て、 2004年にavexに転職。以降、マネージャーとして、アーティストに関わる様々なプロフェッショナルとの業務をこなし、 音楽/映像/ライブ/イベントなどの企画制作、マーケティング戦略など、 音楽業界における様々な制作プロセスに精通している。 現在はコンサルタントとして様々なプロジェクトのサポートを行っている。