EDMとは?

EDM はクラブやフェスで流れるエネルギッシュな音楽として知られていますが、具体的にどのようなジャンルなのか、曖昧な方も多いのではないでしょうか。 この記事では EDM について、その定義や多様なサブジャンルについて、さらには有名曲など、詳しく解説していきます。

Nami
2024-12-135min read

EDMとは?

EDM とは、Electronic Dance Music(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の頭文字です。EDM はその名の通り、電子音を使い、踊ることを目的とされて作られた音楽のことを総称する呼び方です。このハウスやテクノなども広義では EDM に含まれます。

EDM という言葉自体は、ジャンルがより商業的になり、フェス向けに作られるようになった2010年代頃から普及しました。そのため、先に挙げたジャンルを EDM と一纏めにすることに違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。

EDM の狭義としては 2010年以降に流行した DJ が主体となって作る、電子楽器を用いたフェス用音楽を指す場合が多いです。この場合の多くの楽曲がビルドアップからドロップの形式に沿って作成されます。

イメージしやすいのは、Avicii(アヴィーチー)や David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)、Calvin Harris(カルヴィン・ハリス)あたりのアーティストの楽曲でしょう。

David Guetta - Titanium ft. Sia (Official Video)|David Guetta

本記事では、狭義としての EDM をご紹介しております。

EDM の歴史

ディスコと DJ

1960年代ごろまで、人々はナイトクラブやダンスホールでプロによる生演奏で踊りを楽しんでいました。しかし、第二次世界大戦の影響でミュージシャンを雇うことが徐々に困難になっていきます。そこで生演奏ではなくディスク(レコード)を流す文化が生まれました。これがディスコ・ミュージックの始まりであり、ディスコは EDM の源流となります。

ディスコが人気になると、ディスクを流す DJ の人気も高まりました。
DJ は既存の音源を流すだけでなくスクラッチなどの DJ スキルを取り入れたり、リミックスをしたり。このリミックスはジャマイカのダブというリミックスの元となった手法に影響を受けています。

さらに、ディスコフロアで流れることを意識して作られた楽曲が次々にリリースされ、ABBA(アバ) や Donna Summer(ドナ・サマー) などの曲が、ディスコソングとしてヒットを飛ばしました。

サブジャンルとレイヴカルチャー

1980年代にはいると、ダンスを目的とした電子音楽はさらなるバリエーションをもちはじめ、ハウスやテクノなど、ディスコから様々な派生ジャンルが流行しました。

1990年代にはアシッド・ハウスが流行し、レイヴカルチャーを浸透させました。レイヴとは、ダンスミュージックを楽しむための野外フェスのことです。
人々は当時流行していたアシッドハウスを夜通し楽しむため、クラブが閉店した後に違法でパーティーを開いていました。

レイヴではハウスやブレイクビーツなど、様々なダンスミュージックをパーティで楽しむようになり、徐々に人気になり商業化していき、80年代後半には1万人も集めるようになります。これが、ダンスミュージックフェスのルーツになっています。

1990年代から2000年代にかけては、音楽制作ソフトが一般的にも普及したことにより、DIY で音楽が作れるようになり、DJ はプロデューサーという側面も持ち始めました。

EDM 黄金期

2000年代に入り、EDM アーティストたちがヒットチャートに登場し始め、2010年代には David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)、Avicii(アヴィーチ)、Skrillex(スクリレックス)などが EDM を牽引し、EDM はメインストリームの音楽シーンを席巻しました。

EDMの人気が高まるとともに、Big Room や Future Bass、Brostep ようなサブジャンルも人気が上昇していきます。

さらに、Tomorrowland や Ultra Music Festival といった大型フェスも世界中で大きな人気を博し、EDM カルチャーを象徴するイベントとなりました。

多くの音楽ファンや評論家は、2011年から2016年を「EDM の黄金期」として位置付けています。この期間、EDM は音楽チャートやフェスティバルを中心に、世界的なムーブメントへと成長を遂げました。

EDM でよく使われる楽器やプラグイン

1980年代頃は当時普及していたローランド社のドラムマシン TR-808 や TR-909、またベースシンセサイザーの TB-303 などの機種がよく使用されていました。

DTM が普及すると、ソフトウェアシンセも多用されるようになります。

プラグインでは Xfer Records の「SERUM」や Native Instruments「Massive」、Reveal Sound「Spire」、Lennar Digital「Sylenth 1」などのプラグインが定番のシンセとしてよく挙げられるでしょう。

また Xfer Records の無料プラグイン「OTT」や Camel Audio の「Camel Crusher」なども EDM サウンドを実現する上で定評がありました。

現代ではアナログ機器とソフト音源と広い選択肢があり、何を使って曲作りをしているかはプロデューサーによって異なります。

EDM のプロデューサーは制作風景を YouTube に挙げていることもあり、彼らが何の機材やプラグインを使用しているのか、またどのように音楽を作っているかを知ることができます。

以下の動画では Calvin Harris が様々なアナログ機器を駆使して制作をしていることがわかります。

Calvin Harris x The Weeknd - Over Now (Deconstructed)|Calvin Harris

Martin Garrix の代表曲「Animals」の制作を解説してくれています。

Martin Garrix In The Studio With Future Music|MusicRadar Tech

David Guetta 本人によるリミックスとマッシュアップの方法の解説です。

How to make remixes & mash-ups, with David Guetta|DJ Mag

ぜひ合わせてご参考にしてみてください。

EDMサブジャンル

冒頭にお伝えしたように、EDM は電子楽器を利用したダンスミュージックの総称です。そのため、EDM のサブジャンルは多数存在します。

今回はその中でも、ポピュラーなジャンルを一部ピックアップしてご紹介いたします。

Big Room

EDM と聞いて真っ先にイメージされるジャンルの一つが Big Room です。

ハウスから派生したこのジャンルは、大規模なフェスやクラブイベントを目的とした商業的な音楽スタイルです。

特徴としては、四つ打ちのキック、壮大なビルドアップ、そして派手なドロップが挙げられます。

Hardwell & KSHMR - Power (Official Lyric Video)|Spinnin' Records

Progressive House

Progressive House はハウスミュージックから派生したジャンルです。

リバーブを効かせた空間的なサウンドや、滑らかなパッドシンセ、そして耳に残るキャッチーなリードメロディーが特徴です。

Swedish House Mafia ft. John Martin - Don't You Worry Child (Official Video)|Swedish House Mafia

Tropical House

ディープ・ハウスから派生した Tropical House は、南国の雰囲気を感じさせる爽やかなサウンドが特徴です。

夏にぴったりの軽やかなメロディーとリズムは、多くのリスナーに愛されています。

Kygo - Firestone ft. Conrad Sewell (Official Video)|Kygo

Future Bass

Future Bass はダブステップやトラップに影響を受けて誕生したジャンルです。

アンビエント風のシンセ、ボーカルチョップ、そして特徴的な2ステップビートのドロップが、このジャンルならではの個性を生み出しています。

Flume - Never Be Like You feat. Kai|Flume

Drum & Bass

Drum & Bass は、Jungle というジャンルから派生した、疾走感あふれる音楽スタイルです。

テンポが非常に速く、ブレイクビーツのドラムパターンと、深く重いベースラインが特徴です。エネルギッシュな雰囲気が好きな方におすすめのジャンルです。

DJ Fresh ft. Rita Ora - Hot Right Now [Official Video]|DJ Fresh

EDM 有名アーティスト

EDMに欠かせないのが DJ の存在です。今回は有名な DJ を4人ご紹介します。

David Guetta(デヴィット・ゲッタ)

フランス出身のプロデューサー。
EDM の黄金期の礎を築き、席巻してきた人物で、EDM 界のゴットファーザー的存在です。

グラミー賞を2回受賞しており、多大な影響を与えています。

David Guetta - Play Hard ft. Ne-Yo, Akon (Official Video)|David Guetta

Avicii(アヴィーチー)

スウェーデン出身のプロデューサー。
日本でも圧倒的知名度を誇るカリスマ DJ です。

キャッチーなメロディで EDM をメインストリームに紹介し、時代を代表するアーティストとなりました。2018年に28歳という若さでこの世を去りました。

Avicii - Waiting For Love|Avicii

Skrillex(スクリレックス)

アメリカ出身のプロデューサー。
ダブステップの創設者であり、新たなサウンドを EDM に落とし込んだ人物。
過去に9回もグラミー賞を受賞しています。

SKRILLEX - Bangarang feat. Sirah [Official Music Video]|Skrillex

Calvin Harris(カルヴィン・ハリス)

スコットランド出身のプロデューサー。
ヒット曲を次々に生み出し、アメリカのビジネス雑誌『Forbes』にて、2019年まで6年連続で世界で最も稼ぐ DJ に選ばれています。

Calvin Harris - Summer (Official Video)|Calvin Harris

EDM人気フェス

フェスも EDM にとって大切な文化の一つです。そのため、ダンスミュージックフェスといえば欠かせない、世界的に有名なフェスを2つご紹介します。

Tomorrowland

ベルギーで開催される大型フェスティバル。

世界各国から人々が集まる人気フェスで、毎年7月に2週間にわたり開催されています。また、2023年の来場者数は60万人にも及びました。

Ultra Music Festival 

毎年3月にアメリカで開催されるフェスティバルです。

本場アメリカのみならず、日本でも開催されており、毎年約6万人以上の人が来場します。
国内では最大級規模のエレクトロニック・ダンス・ミュージックのイベントです。


まとめ

以上、今回は EDM についてご紹介しました。

定義が曖昧で、かなり広いジャンルを包括する EDM。
そのため、紹介しきれなかったアーティストやサブジャンルがたくさんあるのが心苦しいですが、なんとなくイメージは湧いたのではないでしょうか。

サブジャンルがたくさんあるので、それぞれの特徴を捉えながら聞いてみるのも楽しいと思います。

また、EDM は J-POP ではアイドルソングやバンドサウンドにも取り入れられています。

大流行した SEKAI NO OWARI の『Dragon Night』 は、有名 DJ である Nicky Romero をプロデューサーとして迎えており、EDM サウンドとバンドサウンドが絶妙に融合しています。

Dragon Night|SEKAI NO OWARI

EDM は踊るための音楽なのでアイドルとも相性が良いため、多くの K-POP に EDM サウンドが取り入れられています。

Tropical House 的なサウンド。

BTS (방탄소년단) 'Save ME' Official MV|HYBE LABELS

Future House 的なサウンド。

ITZY "WANNABE" M/V ‪@ITZY|JYP Entertainment

実際に EDM アーティストとコラボしている作品もあります。
以下は K-POP アイドルの Stray Kids(ストレイキッズ) と、EDMアーティスト Alesso(アレッソ) のコラボ曲です。

Alesso, Stray Kids & CORSAK “Going Dumb” Lyric Video|Stray Kids

ぜひ合わせて聞いてみてください。

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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