DTM におけるプラグインとは?

DAW で音楽制作をしていると「どうやらプラグインというものがあるらしい...」ということに辿り着くのではないでしょうか。 しかし、はじめのうちは「なんだかよく分からない!」という方も多いはず。 この記事では、プラグインについて詳しく解説。 プラグインの知識をつけて、音楽制作の幅を広げましょう。

Nami
2024-05-294min read

プラグインとは?

プラグインとは、DAW 上に追加できる音源やエフェクトなどのソフトウェアのことです。

DAW には音楽制作で一般的に使用される楽器のソフトウェア音源や、リバーブなどのエフェクトが標準搭載として入っていますが、それだけでは実現できない音がたくさんあります。
プラグインを別途追加することで、表現できる音の幅を広げることが可能です。

プラグインは様々なメーカーから出ており、製品がたくさんあります。値段も無料のものから数十万円するものまで様々です。

プラグインにはどんなものがあるの?

Techivation M-Compressor plug-in at the studio of Brecken Jones.
Photo by Techivation / Unsplash

プラグインには、大きく分けて「ソフトウェア音源」「プラグイン・エフェクト」「アナライザー」があります。

ソフトウェア音源

ソフトウェア音源とは、楽器の音を DAW 上で扱うためのソフトウェアのことです。

ソフトウェア音源のプラグインを使用することによって、現実では手に入りにくい音を DAW に追加して楽曲に取り入れて使用することができます。

例えば、実機だと数十万円する Moog Music 社 の高級なシンセサイザーの音を再現したソフトウェアを約3万円程度で使用できたり、世界最高峰のピアノモデルであるベヒシュタインを収録したソフトウェア音源があったりなど。

音の再現度はソフトによってまちまちですが、このようなソフトウェア音源を使用することは楽曲のクオリティの向上にも繋がり、制作の幅も広がります。

プラグイン・エフェクト

プラグイン・エフェクトとは、音を加工するためのソフトウェアのことです。

具体的には、リバーブ、ディレイ、EQ、ディストーション、コンプレッサー、ディエッサー、リミッター、コーラス...など、様々な種類があります。

名機で得られるサウンド感をソフトウェア上で再現したものや、有名なレコーディングスタジオで収録した音を再現するものなど、音を加工するバリエーションが無限大です。

アナライザープラグイン

アナライザープラグインとは、音を数値的にどのような状態か把握しやすくするためのプラグインです。

例えば、音がクリッピングしないように音量を計測する PEAK メーター、人間の聴覚特性に近い音量を確認する RSM メーターなどがあります。

この辺りは、音楽の品質的な部分に関わるところであり、中級的な内容になるため、今回の記事ではご紹介を省略します。

無料から使える!初心者におすすめのプラグインをご紹介

今回は、初心者クリエーターにおすすめしたいプラグインをご紹介いたします。

KOMPLETE( Native Instruments )

KOMPLETE とは、Native Instruments 社が発売している、ソフトウェア音源のプラグインのバンドル(まとめ売り商品)です。
KOMPLETE は、グレードによって値段とついてくるプラグインがが変わりますが、まずは無料でダウンロードできる、KOMPLETE Start をダウンロードしてみると良いでしょう。

KOMPLETE Start にはキーボードやドラム、さらにはアイリッシュハープなどの様々な楽器や、リバーブやディレイなどのエフェクトが入っています。

初めてのプラグインを検討している方におすすめです。

KOMPLETE Start / Native Instruments

Neutron4、Ozone11( iZotope )

iZotope 社は、プラグインメーカーのなかでも知名度のある会社です。

その中でも、初心者の方におすすめしたいのがプラグイン・エフェクトの Neutron4 と Ozone11 です。

Neutron4 は、AI 機能を搭載したミキシングツールです。
Neutron4 を使用すると、AI が音を判断して EQ やコンプレッサーをかけてくれるので、「各楽器のミックスとか、音作りがよく分からない!」という方でも音をかっこよく仕上げることができます。

また、 Ozone11 は、AI 機能を搭載したマスタリングツールです。

初心者の方でも簡単にマスタリングをすることを手助けしてくれるツールなので、初めのうちは、「楽曲の仕上げにとりあえず使用してみる」という感覚で入れてみると良いでしょう。

ダウンロード時に注意!プラグインのフォーマット

プラグインは、使用環境によってダウンロードするデータが分かれている場合があります。

イメージ図

引用:IK Multimedia

上記の画像のように、パソコンのOS( Mac または Windows )で分かれている場合は、自分が使用しているパソコンの方を選んでダウンロードすれば問題ありません。

しかし、プラグインによっては使用している DAW や OS に応じてダウンロードするプラグインのフォーマット(ファイルの種類)を指定する必要があります。
フォーマットは通常、以下のいずれかが使用されていますので、ご自身の環境に適したものを選んでダウンロードしてください。

  • VST:Steinberg 社が開発した規格で、Windows と Mac の両方に対応しています。Logic Pro や Pro Tools 以外のほとんどの DAW で使用可能です。Logic pro、Pro tools 以外を使用している方はこちらを選択します。
  • AU:Apple 社が開発した規格で、Mac でのみ使用可能です。Logic pro ユーザーはこちらを選択します。
  • AAX:Avid 社が開発した規格で、Pro Tools 専用のフォーマットです。Pro Tools を使用している場合は、AAX 以外のフォーマットでは動作しませんのでご注意ください。

プラグインの入れ方

はじめてプラグインをインストールした方は、その方法に戸惑うかもしれません。

「インストールしたのに使用できない!なんで?」と困惑してしまう前に、プラグインの入れ方のパターンを事前に知っておけば大丈夫です。
プラグインを入れる手順は大きく分けて、以下の3つがあります。

パターン1:インストールをすれば使用可能

インストール完了後、すぐ使用できる場合。無料プラグインに多いです。

パターン2:アクティベートが必要

アクティベートとは、製品を使用しているパソコンで利用するためにライセンスを有効化することです。

アクティベートの方法はプラグインによって様々ですが、購入時に発行されるシリアルナンバーの入力を要求されることが多いです。
また、次の「独自のアプリを取得後にダウンロードが必要な場合」もアクティベート方法の一つとなります。

その他の例として、iLok のアカウント作成が必要な場合もあります。
iLok とは、DAW やプラグインのライセンスを管理するソフトです。

Universal Audio 社のプラグインなど、一部のソフトでは iLok アカウントを作成し、アクティベートをすることが必要となるパターンもあります。

パターン3:独自のアプリを取得後にダウンロードが必要

独自のアプリケーションをインストール後、そのアプリから自分が欲しいプラグインをインストールする場合です。

有名どころだと Native instruments 社製品には Native access、Waves 社製品には Waves Central などのアプリがあります。

単体では機能しないプラグインがあるので注意!(別途でエンジンが必要)

プラグインの中には、使用するにあたって別途で「エンジン」と呼ばれる、ソフトやハードウェアが必要になる場合があります。

例えば、「無料から使える!初心者におすすめのプラグインをご紹介」でご紹介した KOMPLETE Start に含まれる製品である「Analog Dreams」や「Ethereal Earth」などのプラグインは、エンジンとなる Kontakt 7 Player というアプリを必要とします。

一方、独自のエンジンを搭載して単体で機能するプラグインもあり、そのようなプラグインのことを「スタンドアロン」と呼びます。

せっかくプラグインを購入しても、使用できなかったら悲しいですよね。
このような、プラグインを使用する上で必要な動作環境については、製品の説明で書いてあるので、購入をする前に確認をしましょう。


まとめ

初心者にとって、最初の壁となる「プラグイン」。

特に、パソコンが得意ではない方にとっては、なんだか良く分からないということが多いかと思います。

しかし、プラグインを使うと標準搭載ではなかなか実現できなかったサウンドや、音の広がりを感じることができます。

ぜひ、この記事を参考にプラグインの関門を突破していき、プラグインで多彩な音や表現を使用してみてはいかがでしょうか。

Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

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