DTM とは?
DTM ( Desk Top Music )とは、パソコン上で音楽を制作することを表す言葉で、Desk Top Music の頭文字をとって出来た和製英語です。
DTM が普及し始める1980年代半ば頃、コンピューター上でデザインや書き物などの印刷物を制作することを「 DTP( DeskTop Publishing )」と呼んでいたことから、その音楽版として Publishing を Music に変えて DTM と呼ばれるようになったとされています。
現代ではアマチュアからスタジオに所属しているプロまで、多くの人がパソコン上で音楽制作をしているため、その語源通りに考えると非常に幅広い意味で使われています。
しかし、一般的 DTM は個人が自宅で音楽制作することを想定して使用される場合が多く、今回の記事もそのような内容を想定しています。
DAW ソフトとは?
DAW( Digital Audio Workstation )ソフトとは、コンピューター上で音楽制作を行う時に必要となるソフトウェアです。DTM では、この DAW ソフトを使用します。
DTM とよく混合されがちですが、DAW ソフトは DTM を行うためのツールです。
DAW ソフト は、様々なメーカーから発売されており、無料のものから有料のものもあります。
以下に代表的な DAW ソフトの例を一部ご紹介します。
- GarageBand(Apple)- 無料
- Pro Tools(Avid) - 有料(無償版有り)
- Logic Pro(Apple) - 有料(無償体験版有り)
- Studio One(PreSonus) - 有料(無料版有り)
- Live(Ableton) - 有料(無償体験版有り)
また、その他にも Pro Tools の無料版として「Pro Tools Intro」、FL STUDIO の無料版として「FL Studio Trial」など、有料のソフトの購入前に無料で一部機能をお試しできるトライアル的なバージョンもあります。
一般的に、無料で使用できる DAW ソフトは、有料版のものと比較して機能が限られていますが、はじめは無料版を使用してみて、どんなものか試してみるのも良いでしょう。
DTM で必要なもの
DTM で音楽制作をするにあたって、必要なものはパソコン(もしくは iPhone、iPad)と DAW ソフトです。
まずはデバイスと音楽ソフトがあれば、曲を作ることが可能です。
一般的にはパソコンを使用することが多いですが、最近では iPad 用の DAW アプリ もあります。様々なアプリを駆使すれば、クオリティの高い楽曲を制作することも可能です。
また、宅録を行う場合は別途マイクやオーディオインターフェイスといった機材が必要になります。
DTM で音楽を作るメリット・デメリット
DTM では、自分一人で、かつ自宅で楽曲を完成させることができます。
また、自分では演奏することができない楽器もソフトウェアで音源化されており、手軽に取り入れることができます。
さらに、一部の音源はフリーで提供されており、初期費用を抑えつつ様々な音を楽曲に組み込むことが可能です。これらの理由から、DTM で音楽を作るメリットは、手軽に音楽制作を始めることができることとも言えます。
ここで、「本物の楽器を演奏しなくても曲が作れるのに、なんでわざわざ演奏をしたり、レコーディングをする場合があるの?」と思う方もいるかもしれません。
楽器のソフトウェアで音を入れることを「打ち込み」などと表現されたりしますが、打ち込みのみで完結させる音楽のデメリットは、表現しきれないニュアンスや音があるところです。
実際に楽器を演奏することで、人間が演奏した暖かみやその場で生まれる空気感を表現しやすく、また音源にはない生楽器の音を楽曲に取り入れることが可能です。
近年では充実した音源やデジタルの処理技術により、打ち込みだけでも表現できる幅は十分にありますが、自分の好みや作りたい音によって適宜楽器演奏も取り入れて制作を行うのも良いでしょう。
DTM ではどうやって音楽を作っていくの?
この章では、DTM においてどのように音楽を作っていくかを DAW の画面を用いてご紹介します。
DAW ソフトには、楽器の音源がデフォルトで入っています。
縦軸に「トラック」と呼ばれる楽器の音や音声データを格納するチャンネルを増やしていくことで、搭載されている様々な楽器音源を鳴らすことが可能です。
基本的には1トラックに1つの音という考え方で作成していきます。
画像にはピアノとドラムのトラックが入っています。
(※今回は、Logic Pro をベースにご説明しますが、どの DAW も基本的な考え方は同じです。)
実際にリズムパターンやメロディーを入力する際は、横軸の時間上に入力していきます。
このように音を重ねていくことで、楽曲を作成していきます。
ここまでは、DAW ソフトに入っている楽器の音を利用した場合のご説明ですが、ギターやベース、歌などの実際の楽器を録音して DAW ソフト に取り入れることも可能です。その場合、専用の機器やケーブルを使用して音を取り込みますが、その他の考え方は基本的には同じです。
楽器演奏を DAW に取り込む詳しい方法は、以下の記事でご説明しています。ぜひご参考にして下さい。
これから始める人におすすめの DAW
無料から始めたい方へ:GarageBand
GarageBand は、Apple 社が提供する無料 DAW です。
macOS および iOS デバイスにデフォルトで入っています。
DTM を始めたいと思っている人で、「DAW を買ったはいいものの、操作が分からなくて、放置して◯年が経つ...」という話をよく聞きます。
曲作りは継続が大切ですので、はじめのうちは操作性が良いものをおすすめします。
GarageBand は Apple 社の開発に由来するため、操作性に優れており、初心者の方も直感的に制作を進めていきやすいです。
また、GarageBand のプロジェクトは Logic pro で開けるため、はじめは 無料である GarageBand で操作感を覚えていき、もっと作れる幅を増やしたくなったら、Logic pro へスムーズにステップアップすることもできます。
Logic pro も同様、Apple 社が提f供する DAW です。
国内外問わず利用者が多いので、分からないことがあればネットでたくさん情報が出てくるところも、おすすめポイントです
スタジオ標準の DAW :ProTools
ProTools は、Avid 社が提供する DAW です。
多くの音楽スタジオは DAW に ProTools を採用しているため、「業界標準の DAW 」とも呼ばれています。
エンジニアやプロデューサーは ProTools を使っている人が多いです。
将来を見越して、業界標準の DAW が使いたい!という人は、ProTools の無料版である ProTools Intro から試してみるのも良いでしょう。
EDM や HIPHOP 系の音楽を作りたい方:Ableton Live
Ableton Live は、Ableton 社が提供する DAW です。
Ableton Live の最大の特徴は、ループベースの制作に適しているところです。
EDM や HIPHOP などのジャンルは、同じトラックをループして作られているとこが多いため、このようなジャンルが好きな人には、特におすすめです。
また、Ableton Live の機能で、ループレコーディングというものがあります。
ループレコーディングとは、特定のパートやフレーズを簡単に繰り返して録音する機能で、演奏や歌唱の一部分を録音し、それを自動的に繰り返して再生することができます。
以下にイメージをしやすい動画を貼っておきますので、是非ご覧ください。
パフォーマンス要素もあるため、アーティストの方はライブや YouTube で取り入れてみるのも面白いと思います。
まとめ
いかがでしたか?今回は、「DTM とは?」についてご紹介しました。
DTM に関して、理解の手助けになれたら幸いです。
筆者は DTM を始めたての頃、パソコンすらあまり触ったことがなかったので、DAW の操作でよくつまづいていました。
しかし、DAW の機能を知るたびに、「こんなこともできるんだ!」と、作曲の可能性が広がって、曲作りがどんどん楽しくなっていったことを覚えています。
現代では、DTM が普及したことにより、パソコンと音楽ソフトがあれば一人で曲を完成させることも出来ます。
人と作る良さももちろんありますが、気軽に音楽制作に取り組める環境があるというのは、素敵なことですよね。
ONLIVE Studio blog では、音楽制作の TIPS をたくさんご紹介しています。
DTM を始めてみたいという方は、是非他の記事も参考にしてみてください。
東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。