そもそも MIDI とは?
MIDI( Musical Instruments Digital Interface )とは、楽器の演奏情報をデジタル化し、コンピューターや他のデバイスとの間でやり取り可能にする規格です。
この規格は1981年に初めて規格化されました。MIDI には、楽器を演奏した際の音程、音の長さ、音の強さなどの情報が含まれています。
名前を見ると、その役割が分かりやすいです。
- Musical Instruments =楽器
- Digital =デジタル
- Interface =インターフェイス(異なる要素やシステムの情報やデータを交換するための手段の意)
MIDI のメリットは、楽譜や音声データよりも正確且つ分かりやすく演奏情報が共有できる点です。また、デジタル化されるので、コンピューター上で演奏情報を編集できるのも大きな利点です。
MIDI キーボードとは?
MIDI キーボードとは、 MIDI を音楽ソフトに入力する専用のコントローラーです。
単体では音は出ず、パソコンに USB で繋ぎ音楽ソフトと連携して使用します。
MIDI キーボードはあくまでキーボードの形をしたコントローラーで、楽器ではありません。
このように、MIDI を入力するために使用するコントローラーのことを、MIDI コントローラーといいます。
余談ですが、MIDI コントローラーにはキーボードの他にも、ギターの形をしたものやパッド状など様々なものがあります。
MIDI キーボードを使用するメリット
MIDI キーボードを使用するメリットを以下にご紹介致します。
- 音楽ソフトへの打ち込みが効率的に行えるので、作業効率が上がる
- 音の確認が容易
- ドラムなどのパーカッションでも活躍
- 感覚的に入力ができる
- 生演奏感を出せる
最大の利点は、なんといっても音楽ソフトへの打ち込み(音楽ソフトに演奏情報を入力すること)が効率的に行えることでしょう。
MIDI キーボードを使用しない場合、打ち込みはマウスで入力していく必要がありますが、意外と骨の折れる作業です。
ピアノがある程度弾ける人であれば尚更、MIDI キーボードを使用することで、入力が格段に楽になることでしょう。
また、リアルタイム入力といって実際に演奏したものをそのまま MIDI 情報として入力してくれる機能があります。
実際に演奏して入力することで、生演奏のニュアンスを楽曲に反映することが可能です。
ピアノが弾けない人は?
結論からお伝えすると、ピアノが弾けない方にも、MIDI キーボードはおすすめです。
MIDI キーボードはピアノ演奏以外にも、様々な楽器の演奏情報の入力ができるので、必ずしもピアノの高い演奏技術が必要というわけではありません。
例えば、ドラムを打ち込む際は、リズムに合わせて単音の鍵盤を押せば、入力が可能です。
また、MIDI キーボードには、ピアノが苦手な方でも入力しやすい機能が搭載されています。例えば、多くの MIDI キーボードには、トランスポーズ機能という機能がついています。これは、移調を簡単に行える機能です。
トランスポーズ機能を使用し、Cキーに直してしまえば、白鍵で弾くこともできます。
その他にもステップ入力といって、1音ずつ入力するモードがあるなど、演奏をサポートしてくれる機能が備わっています。
ピアノの「ド」の場所すら分からない...という方は、まずは「ドレミファソラシド」だけ覚えましょう。
「ドレミファソラシド」を覚えるだけでも、できることがかなり増えます。
また、MIDI キーボード以外で打ち込む場合は、多くの場合マウス入力になりますが、MIDIキーボードでピアノ鍵盤に触れることで、視覚的に音の配置が分かりやすく、マウスで入力していくよりも音程の感覚を掴みやすいです。
そのため、ピアノが弾けない方こそ MIDI キーボードの使用はおすすめです。
MIDI キーボードの選び方
鍵盤数
MIDI キーボードの鍵盤数のバリエーションは、 25鍵、32鍵、37鍵、49鍵、61鍵、88鍵などがあります。
たくさん種類があるので、鍵盤数はどれを選択すれば良いか迷いますよね。
使用する人によって、おすすめの鍵盤数は変わってきます。
25鍵〜37鍵は、サイズがコンパクトで値段が比較的お手頃です。
簡単な演奏は可能ですが、音域が狭いので、簡単なメロディーメイクやコードやリズムの打ち込みに向いています。そのため、パソコン上での編集も前提としている場合におすすめです。
また、そのコンパクトさから持ち運びをしたい方、作業スペースをコンパクトに納めたい方にもおすすめできます。
49鍵〜61鍵は、ある程度音域が広くなるので、一般的に作曲で使用する楽器の音域をカバーできます。特に49鍵は、表現できる幅と大きさ、予算などのバランスが良いため、使用している人が多いです。作業スペースがもう少し確保できる場合は61鍵も良いでしょう。
長く使える無難なものが欲しい、またある程度のフレーズはキーボードで打ち込みたいという方におすすめです。
88鍵は、実際のピアノと同じ鍵盤数です。
ピアノ感覚で使用したい方、またピアノをメインにした楽曲を作りたい方におすすめです。
注意点としては、スペースが必要になるので、ご自身の作業環境との兼ね合いを考える必要があります。
鍵盤の大きさ
鍵盤の大きさには、フルサイズ、ミニサイズがあります。
フルサイズは、通常のピアノと同じ大きさです。演奏をスムーズに行いたい場合は、フルサイズを選ぶと良いでしょう。
一方ミニサイズとは、その名の通り、サイズが小さい鍵盤です。
ピアノ演奏には不向きですが、メロディーの打ち込みやコードを弾くには十分使用できるため、コンパクト性重視の方にはおすすめです。
鍵盤のタッチ
MIDI キーボードの鍵盤には、ライトウェイト、ピアノタッチ(ハンマーアクションまたはフルウェイトとも呼ばれることもある)、セミウェイトの3つの異なるタッチ感があります。
ライトウェイトは、電子キーボードのような弾き心地で、非常に軽い打鍵感です。
一方、ピアノタッチは、実際のピアノを弾いたときと同じタッチ感で演奏できる鍵盤であり、セミウェイトはその中間の弾き心地を持っています。
パッドがついているかどうか
パッドとは、ドラムなどの打楽器の打ち込みに最適なコントローラーのことです。
キーボードを打鍵するよりもリズムの打ち込みに適していて、より入力しやすくなっています。
パッドは単体で購入することも可能です。そのようなものは「 MIDI パッド」などと呼ばれています。
デバイスとの接続方法
接続方法には大きく分けて、USB 接続タイプと、Bluetooth タイプのものがあります。
サステインペダルが接続できるか
サステインペダルとは、鍵盤の音を持続させるためのペダルです。
このペダルを踏んでいる間、ピアノの音は持続されるため、異なる音が混ざり合い、和音の響きを生み出すことができます。
これは 音楽ソフト側のオートメーションで設定も可能ですが、実際に MIDI 専用のサステインペダルを取り付けることも可能です。
サステインペダルは、MIDI キーボードとは基本的には別売となっており、接続できるかどうかは製品によって異なるので、利用したい方は確認をしておきましょう。
その他搭載機能から
その他、音楽ソフトの設定を MIDI キーボード側から感覚的に操作出来るツマミや、打ち込む際に効率的に打ち込むための機能、その他製品独自の機能など、機種によって様々な搭載機能が備わっています。以下に代表的な機能をご紹介をご紹介します。
ご自身の打ち込みスタイルに適した選択をするためにも、購入を検討している機種がどのような機能を搭載しているか確認しておくと良いでしょう。
- トランスポーズ機能・・・移調を簡単に行うことができる機能
- ピッチベンド、モジュレーションホイール・・ピッチの調整、またモジュレーション (ビブラートなど)の調整が行えるホイール
- ノブ・・・割り当てられたパラメータを操作出来るもの
- フェーダー・・・音量調整が出来るもの
- オクターブ・・・オクターブ上、下に切り替えられるもの
電子ピアノ VS MIDI キーボード
電子ピアノの中には、MIDI キーボードの役割を果たすものもあります。
お手持ちの製品があれば、USB 接続が可能か確認してみましょう。USB でパソコンに接続ができたら、MIDI キーボードを買わずとも鍵盤による打ち込みが可能です。
また、MIDI 端子が付いている場合、MIDI から USB への変換プラグがあればこちらもパソコンに接続可能です。
はじめは電子ピアノで入力するのも良いですが、DTM に慣れてきたら専用の MIDI キーボードの方が入力に適する場合があるので、購入を視野に入れても良いでしょう。
MIDI キーボードには前項でお伝えしたような、打ち込みに特化した機能が搭載しているものが多く、より効率的に打ち込みをすることを考えて設計されています。
また、電子ピアノよりもコンパクトなものが多いため、置き場所も確保がしやすいというメリットがあります。
もちろんそれぞれ状況が異なるので、自身の使用環境と使用用途、また予算に合わせて選択することが大切です。
初心者におすすめの MIDI キーボード
MPK mini MK3 25鍵 ( AKAI )
価格帯:13,000円〜17,000円程度
アマチュアからプロまで、幅広く使われている定番の MIDI キーボードです。
通常のピアノの幅よりも小さいミニ鍵盤が採用されているため、ピアノが弾ける人からすると、弾きづらさを感じるかも知れません。
しかし、メロディや簡単なコードを弾くには十分で、これから始める初心者におすすめできます。
また、同じ価格帯の中ではパッドの性能がよく、ドラムなどのリズムの打ち込みに最適です。
コンパクトで軽量なので持ち運びにもよく、場所所をとらないのもおすすめポイントです。
製品情報:MPK mini Play MK3 - AKAI professional|akai-pro.jp
Komplete Kontrol Aシリーズ ( Native Instruments )
価格帯:21,400~35,700円程度
Komplete Kontrol Aシリーズの最大の特徴は、Native Instrumentsの人気プラグイン音源である「KOMPLETE」との互換性があり、音源の操作がしやすいという点です。
MIDI キーボード上で音源プリセットが選べたり、また入力方法もコード、アルペジオ、スケールが設定でき、入力をサポートする機能が備わっています。
また、オートメーションに対応したツマミもあるため、感覚的に音源の音色を変えて演奏に反映することが可能です。
その他にも付属で MONARK、THE GENTLEMAN、REAKTOR PRISM、SCARBEE MARK I といった Native Instruments 製品のプラグインがついて来るところも嬉しいポイントです。
楽器のような感覚で打ち込みをしたい方、またピアノ演奏が苦手な方にもおすすめできる製品です。
鍵盤 : Komplete Kontrol A25 / A49 / A61|Native Instruments
まとめ
以上、今回は MIDI キーボードについてご紹介しました。
MIDI キーボードがあると音楽ソフトへの打ち込みが楽になり、作業効率があがります。
また、新しいツールを導入すると、創作意欲も湧いてきますよね。
自分にとって必要な機能を押さえていれば、自分が使用してテンションがあがりそうなものを選択することも、選び方の一つかもしれません。
また、「思っていたのと違った」ということがないように、レビューや使用している人の感想を聞いたり、実際に楽器屋さんで試奏するのも良いでしょう。
東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。