

クリエイティブのコアを担う Core Creative 代表・河合良彦氏インタビュー「音楽を軸にしながら色々なコンテンツを作るのがシンプルに楽しい」
音楽業界には、ミュージシャンや作曲家だけでなくさまざまな業種の仕事が存在します。そうした業界のなかで、音楽を軸に多岐にわたる事業を展開しているのが、株式会社Core Creative(以下、Core Creative)です。今回は同社の代表であり、自らも幅広い音楽に関する業務を行う河合良彦氏にインタビュー。事業内容とともに音楽に関わる様々な業務についてや Core Creative の特徴、さらに河合さんの原動力などについてお伺いしました。

Core Creative 事業内容について「エンターテインメントにおけるさまざまなクリエイティブなコア【核】になることを目指して」
-Core Creative は音楽に関わる様々な事業を行っていますよね。
そうですね。弊社はエンターテインメントにおけるさまざまなクリエイティブなコア【核】になることを目指して2022年に設立した会社です。
音楽制作だけでなく、ライブやイベント制作、音楽家のキャスティング、さらには映像制作や出版事業まで、エンタメ周りのお仕事を一手に担うことができる体制が整っています。
-具体的な業務内容を教えていただけますか?
まず一つは音楽プロダクションとして行う、作詞作曲家や編曲家、アーティスト、ミュージシャンのマネージメントやエージェント業務です。それから、原盤制作(プロデュース、ディレクション等)やミュージシャンの派遣、レーベル業務、音楽出版業務、ライブ等のイベント制作を請け負うこともあります。
また、音楽プロダクションと言いながらも、広い意味でクリエイターのチームを謳っています。そのため、カメラマンやイラストレーターなどとも業務提携していて、映像制作や撮影、イラスト製作など、音楽以外の分野でも業務も行っているんです。この部分が Core Creative ならではの特徴かなと思います。
-所属している方との契約はどのようになっていますか?
専属契約とエージェント契約の2種類があり、人によって異なりますね。アーティストに関しては基本専属契約を結んでいます。
-ありがとうございます。ちなみにレーベル業務とは、具体的にどのようなことをしているのですか?
自社に所属しているアーティストのプロデュースから育成、楽曲制作、さらには楽曲を配信してプロモーションするところまで行っています。他にも、他社さんのマネージメントしているアーティストの配信やプロモーションだけなど、部分的に弊社が関わっているケースもありますね。
あとは、新人アーティストの発掘も行っています。
-音楽に関わる様々な業務がありますが、一番割合が多い仕事は何でしょうか?
音楽制作が割合としては一番でしょうか。音楽制作のなかにはアーティスト向けという世間に分かりやすいもの以外に、ライブの SE だったり、映像の BGM だったり、作家クレジットされないものも含んでいます。
あと、コンペという点で言うと、採用されない限り報酬は出ないので、それを仕事と呼ぶのかはなんとも言えないのですが、作曲のコンペのお話をいただくことは多いですね。
-お仕事を依頼された場合、担当する作家はどのように決めていくんですか?
依頼された案件の内容を加味して、任せられる作家を僕がアサインしたり、もしくは何人かの作家のデモをクライアントに送って、その中からご指名をいただくこともあります。
河合氏個人の業務「色んな切り口から音楽に関わっている」
-河合さん個人に向けたお仕事にはどのようなものがありますか?
いくつかありますが、まずは音楽ディレクターとしてのご依頼があります。具体的な業務としてはレコーディングのコーディネーション(ミュージシャンへの演奏依頼やエンジニアのアサイン、レコーディング・スタジオの予約など)、歌や演奏のディレクションなどです。
他には、僕は元々リットーミュージックで編集業務をやっていたので、インタビューやライター、編集の仕事も依頼していただくことがあります。例えば、近年は TM NETWORK の仕事に多く関わっており、ツアーに同行して、アフター・パンフレットを作ったり(※1)、小室哲哉さんの書籍(※2)の取材、編集を担当したり。
あと、ライブのいちスタッフとして制作に関わったり、東放学園音響専門学校で講師もやっていたりします。改めて考えると、色んな切り口から音楽に関わっているんだなと思いますね。


-専門学校の先生まで!授業内容はどんなことを教えていらっしゃいますか?
音楽の理論と、楽曲を分析する、といった内容なのですが、僕が教えているコースの生徒は、音楽業界のスタッフを目指しているので、業界で働くようになった際に、少しでも現場で役立てて貰えればと思って教えています。
ただ、洋楽の名曲などを題材に取り上げると、ほとんどの生徒がポカーンとしているんですよね(笑)。
音楽業界に入ったら、いろんな大人たちとやり取りするようになるので、例えば The Beatles(ビートルズ)について会話ができると良いよとか伝えたり。その時のためにって訳ではないですけど、名曲と呼ばれているいろんな曲のことを知っておくのは大事ですね。もちろん洋楽だけじゃなくて J-POP も取り上げますが。
Core Creative ならではの特徴「若者たちを発掘して持ち上げる方に力を」
-授業、面白そうです。
講師をやっていると、リアルな若者の生態も見れて面白いですね。
専門学校で教えていると、学校との繋がりができていろんな情報交換ができたり、若者たちと交流ができるという面でメリットを感じています。
というのも、うちの事務所は若者たちを発掘して持ち上げることに力を入れているんです。
毎年卒業シーズン前に音楽クリエイターを排出している音楽大学や、音楽専門学校の先生とやり取りをしながら、卒業後の進路として、音楽作家事務所に入りたい子たちの発掘をしているんです。それで毎年何人か採用して所属しているんですよ。
-そうやって新人発掘をしているんですね。
事務所のホームページからも常に募集はかけているのですが、そうやってリアルに会って発掘する形は、作家個人の個性も分かりやすいですしね。所属してくれた子たちが、未来のヒットメーカーになってくれたら嬉しいですね。
-新人発掘に力をいれている理由は、やっぱり音楽の業界の将来のためでしょうか?
もちろんそれもありますが、単純にヒット曲が生まれて世に出るまでの流れを一緒に見ていきたいっていう、個人的な理由も大きいです。
既に売れてる作家と一緒にやるのももちろん楽しいんですけど、その手前から一緒に成長していくみたいな方が個人的に面白いかなと。アーティストを発掘しているのも同じ理由です。
「どういう風に若者にチャンスを与えられるか」ということは、常に考えていますね。
-といいますと?
やっぱり専門学校とかを卒業して、1、2年で音楽だけで食べていくのはなかなか難しいんですよね。
コンペに取り組んでも採用されない限り収入は発生しないので、結局バイトをしないと生活ができなくて、制作時間を確保するのが難しくなって離脱してしまう子が少なからずいます。
これに関してはコンペのシステム自体がどうなのかってという問題よりも、大きいことを言うと韓国のように国が大きく支援してくれていたらとか...。ただ、そのきつい状況でも勝ち抜くクリエイターはいるので、最終的には個人がどこまで頑張れるかになるんですけど、なかなか難しいんですよね。
とはいえ、事務所に所属することのメリットもあると思っているので、まずはコンペに取り組んでもらって、頑張って取り組んでいるクリエイターには、音楽制作の仕事を渡せるように僕は営業を頑張ったりしています。
-若者の育成に力を入れていらっしゃると言う点も一つの特徴だと思うんですけど、他に Core Creative が目指していることはありますか?
“音楽プロダクション”というと、クライアントはレコード会社や同じ音楽プロダクションなど、いわゆる音楽業界がメインになるんですけど、それだけではなく一般企業や地方公共団体などの行政がクライアントになるような仕事も広げていきたいなと、設立当初から思っていて。
僕は愛知県出身なんですけど、大学で横浜に出てきて以来ずっと横浜に住んでいるんですよ。もう地元よりも長く住んでいる街ですし、事務所も横浜で設立したので、横浜の行政から仕事を依頼される、みたいな横浜に根ざしたエンタメまわりもやっていけたら良いなと思っています。
なので、今も横浜の商工会や、横浜ライブエンターテインメント協義会の集まりに顔を出したりしているんですよね。
河合さんが音楽に関わり続ける理由「音楽を軸にしながら色々なコンテンツを作っていくのがシンプルに楽しい」

-最後に、河合さんがずっと音楽業界にいる理由や原動力を教えてください
音楽が好きという気持ちが1番にありつつ、その音楽を軸にしながら色々な人と何かコンテンツを作っていくことがシンプルに楽しいと感じています。
よく音楽は「リリースしたらリスナーのものだ」と言われますが、僕は音楽コンテンツを作る上で、人類を救いたいと思っているわけではないけど、自分が楽しく作っていった先に、そんな風に感じてくれるリスナーがいるなら、それはそれで嬉しいなと思いますね。
音楽って極論を言うと世の中になくてもいい産業だよねって言う声もあります。特に震災の時、音楽は何の役に立つんだろう?みたいに思い悩んだアーティストの話も聞いたことがありました。でも「音楽に救われた」、「音楽があることで前向きになれました」みたいな声があったのも事実で、そういった音楽の力を考えると、個人的には世の中に音楽は必要だなって思っていますね。
-好きという気持ちは大事ですよね。
好きなことをやってお金を稼いで生活するのって難しいことですけど、それを両立ができたらいいなと思っているので、究極のわがままなんですけど(笑)。
もちろん会社員として給料をもらって、趣味と仕事のバランスがとれている人はいると思いますが、僕の場合はプライベートも仕事も分け隔てなく音楽が中心になっているんですよね。それが良いのか悪いのか分かりませんが、自分がそうやるって決めたんだから、全責任は自分で負えよって言い聞かせていますね。
まとめ
今回は、株式会社Core Creative 代表の河合良彦氏にインタビューを行いました。多岐にわたる仕事をこなす河合氏の姿勢や考え方を通じて、音楽業界でクリエイターやアーティストを支え、活躍するリアルな姿が伺えました。
そんな河合氏の活動の軸にあるのは「音楽が好き」というシンプルでありながら深い情熱。その情熱によって生み出された楽曲は、多くのリスナーに届き、時に元気を与え、時に共感を呼びながら、音楽の力を広げてきた一人なのではないでしょうか。
音楽業界には多様な仕事が存在します。音楽業界に身を置く河合氏のこれまでの経歴について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひチェックしてみてください。
河合良彦氏プロフィール
名前:河合良彦
所属:株式会社Core Creative
出身:愛知県
趣味:ゴルフ
株式会社Core Creative WEBサイト:https://corecreative.jp/

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。