ピッチ補正ソフトでできること
ピッチ補正ソフトとは、レコーディングした音声や楽器のピッチを補正することができるソフトのことです。気になるピッチやリズムのズレを再レコーディングすることなく修正することができます。
また、ソフトによっては声のフォルマント(声の音色)や、歯擦音を修正したり、特定の音の音量を修正して、歌全体のクオリティを上げることが可能です。
ピッチ補正ソフトの選び方〜自動 or 編集?
ピッチ補正ソフトを利用する場合の主な目的として、大きく以下の2つが挙げられるでしょう。
①ボーカルを自然に修正したい
②ケロケロボイスをつくりたい
①は、ピッチ修正をかけたことがなるべく分からないよう、ピッチやリズムのずれを自然に直したい場合です。この場合は、自分で一音ずつ編集します。
一方②のケロケロボイスとは、自動音声補正をかけた際に得られる効果のことです。正しい音程に修正する際、その音程へ移行する速度(リチューンスピード)を極端に速めることで、機械を通したような独特のサウンドになります。特に HIP-HOP で多く使用されており、欠かせないエフェクトの一つとして扱われています。
後述する Auto-Tune はピッチ補正ソフトのパイオニアとしても知られています。そのため、ケロケロボイスを得る効果は「オートチューン」とも呼ばれています。
自分で編集する場合でも、このケロケロボイスをつくることは可能です。また、両方の機能を持ち合わせたソフトもありますが、自分が主に使いたい機能はどちらかを考えることで、よりソフト選びがしやすくなるでしょう。
二大定番ソフト
Melodyne
Celemony が提供する、音声編集ソフトです。使用できる機能によって essential、assistant、editor、studio の4つのグレードに分かれています。
一番安価な essential でも、ピッチやリズムの修正はもちろんのこと、ノートの長さ調整、また音を分割して細かい調整も可能で、基本的なピッチ補正ツールとして申し分ありません。
assistant からはフォルマントやビブラートの調整、一音ずつの音量調整、和音の編集も可能。さらに studio では和音の調整や、マルチトラッキング機能があるため、複数のトラックを一つの画面に表示させることも可能です。
また、Melodyne は自然なボーカル編集が特徴で、音声変化も少ないと定評があるのも特筆すべき点でしょう。今回紹介する中では、編集の精密さでは一番軍配が上がるのが Melodyne と言われています。
また、Auto-Tune のように自動モードや、補正の速度を設定するパラメーターがないため、手動で行う必要はありますが、ケロケロボイスを作ることも可能です。
こんな人におすすめ
- ナチュラルなボーカル修正をしたい
- 細かいボーカルの修正を行いたい
価格
Melodyne 5 essential 約16,000円程度(99US$)
Melodyne 5 studio 約14,000円程度(849US$)
上記は定価になります。Melodyne は定期的にセールを行うため、安くなっている時が狙い目です。
AutoTune
ピッチ補正機能のパイオニアソフトです。1997年に登場してから今もなお業界の定番ソフトとなっています。
ピッチ補正機能を持つソフトは大きく AutoTune 2026、AutoTune Pro 11、 の2種類です。
AutoTune 2026は、自動補正機能に特化したバージョンで、細かい一音一音の修正はできません。そのため、手軽にピッチ修正をしたい、ケロケロボイスを作りたいという方におすすめです。
AutoTune Pro 11では、AutoTune には Autoモードと GRAPH モードの両方を使用できます。
Autoモードは AutoTune 2026 と同様、設定したキーやスケール、パートに合わせてピッチを自動補正する機能です。「RETUNE SPEED」という正しいピッチへ補正する速度をこのパラメータで速く設定することで、いわゆる「ケロケロボイス」の効果を得ることができます。リアルタイム処理に対応しているため、プラグインを挿すだけでエフェクトのように使用できるのもポイントです。
一方、Graph モードでは手動で一音一音を細かく修正できます。単音だけでなく和音の修正にも対応しているため、幅広い制作に活用できます。また、手描きのカーブツールを使えば大胆な処理も可能で、面白い声の効果を生み出すこともできます。
オートチューンとピッチ修正両方使いたいという方におすすめです。
こんな人におすすめ
- 通常のボーカル修正だけでなく、ケロケロボイスも作りたい
- 手軽にに品質の高いピッチ修正をしたい
価格
AutoTune Pro 11 83,927円(税込)
AutoTune 2026 46,626円(税込)
AutoTune も定期的にセールを行います。また、現在 AutoTune Unlimited というサブスクリプションサービスも行なっており、月額3,264円(税込)で AutoTune Pro 11 や AutoTune 2026 を含む全20種類のボーカルプラグインの利用が可能です。

その他定番
Waves Tune
Waves が提供するソフトです。
メロダインのようなプラグインで、一音一音ボーカルを編集することができます。
音程、タイミングの修正はもちろん、音を分割したり、ビブラートの調整など、細やかな編集にも対応。ピッチのカーブを自由に描画する機能もあり、ピッチ補正で欲しい機能は一通り揃っています。
音源を読み込んで編集するには、直したい部分の音声を一度再生しなければならないという若干の手間はありますが、二大プラグインに比べるとお手頃な価格帯や、CPU への負荷も比較的軽いといった面から扱いやすいプラグインとなっています。
また、ケロケロボイスを作りたいという方は、別プラグインの Waves Tune Real Time がおすすめです。
こんな人におすすめ
- 手頃な価格でピッチ修正を行いたい
- Waves のバンドルでライト版を持っている
価格
26,180円(税込)
Waves も定期的にセールを行います。現在は73%セールが実施されており、7,040円(税込)で購入可能です。(2026年7月30日現在)

DAW標準搭載のピッチ補正ソフト
有料プラグインだけでなく、DAW の標準搭載のピッチ補正機能も評判が良いものがあります。処理する内容によっては、このような標準搭載のものでも十分な場合があります。
Flex Pitch
Logic pro に付属しているプラグインです。Logic pro を使用している方は、誰でも利用可能です。
純正プラグインでありつつも、ピッチ・タイミングの修正はもちろんのこと、「ホットスポット」と呼ばれる6つのパラメーターを使ってより細かい修正もできます。具体的には、音程の傾きを調整するピッチドリフトやビブラート、ゲインの調整などです。
基本的な修正は一通りできるので、Logic pro で完結させたい方におすすめです。
VariAudio
Cubase の Pro、もしくは Artist で使用できる標準機能です。
こちらも評判が良く、安定したクオリティでピッチやタイミングの修正が可能です。
Flex Pitch同様、ピッチ編集に必要な機能は一通り揃っているため、問題なく修正が可能です。
まとめ
以上、今回は定番のピッチ補正ソフトを紹介しました。
基本的なタイミングや音程の調整はどのツールでも可能ですが、さらに細かい調整や特徴を見ていくと、それぞれ特徴がありますね。
この記事を参考に、ご自身の作る音楽や、使い方、予算にあった補正ソフトを探してみてください。

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。








