スケールとは?
音楽におけるスケールとは、基準の音(以下、主音と呼びます)から決まった規則に基づいて音を並べたものです。日本語では音階と呼ばれています。
「ドレミファソラシド」(英語表記で C D E F G A B )という音の並びは、多くの方がご存知なのではないでしょうか?
これは、C メジャースケールと呼ばれるスケールです。
主音を C(=ド)とし、そこから「メジャースケール」という規則に基づいて音を並べています。
スケールの役割
①調性の土台となるスケール
楽曲で使用されるメロディーやコードは、一定の秩序に基づいて形成された音グループから基本的に作られており、そのグループは「キー(調)」と呼ばれます。
そのキーの土台となるものが、スケールです。
そのため、スケールを知ることは、曲作りで使用するメロディーやコードを導くための前提知識となります。
このように楽曲で使用される音同士の関係に秩序がある状態を「調性」といい、調性がある音楽を調性音楽と呼びます。
調性音楽は大きく分けてメジャーキー、もしくはマイナーキーという音のグループに分けて考えることが可能です。
この場合、メジャーキーはメジャースケール、マイナーキーはマイナースケールに基づいて構成されています。
②フレーズを作りやすくするスケール
調性音楽を構成するメジャースケールとマイナースケールとは別に、よく使用される音の並びを表すスケールもあります。
例えば、ロックやブルースで頻繁に使用されるペンタトニックスケール、ジャズで頻繁に使用されるオルタードスケールなどです。
このようなスケールを知っておくことで、メロディーや楽器のフレーズを作る時に役立ちます。
スケールの紹介
前章にて、調性音楽の土台となるスケールはメジャースケールとマイナースケールとお伝えしました。
これらのスケールについて、詳しく見ていきましょう。
①調性の土台となるスケール
① -1メジャースケール
メジャースケールは、主音から「全全半全全全半」(※1)という規則に従って、音を並べたものです。
例えば、主音を C (=ド)とした場合、ドレミファソラシドという音の並びになります。
では、主音を D にした場合はどうでしょうか。
D から音を並べた場合は、F と C に ♯ がつきます。
単純に D からD E F G A B C と並べた場合では、メジャースケールの規則である、「全全半全全全半」の並びにならないからです。
このように、どの音を主音にするかによって、スケールの構成音も変化します。
音楽理論を学ぶ際には、メジャースケールは特に重要な基礎となります。まずはこのメジャースケールから着実に学んでいきましょう。
(※1)全=全音、半=半音としています。
① -2マイナースケール
マイナースケールは3種類あります。
3種類存在する理由は、どのスケールも一つだけでは十分な和声やメロディーの機能を満たせないためです。
異なる音楽的なニーズや表現を満たすために、それぞれのスケールが使われています。
・ナチュラル・マイナー・スケール
ナチュラル・マイナー・スケールは、メジャースケールの6番目の音を並べ直したスケールで、その他のマイナー・スケールの基となるスケールです。
並びは主音から「全半全全半全全」です。
このスケールには、導音が存在しません。
導音とは、主音から半音下の音です。
導音は主音を導く特徴があり、この音があることによって主音への解決感を強めるといった、重要な役割を担います。
・ハーモニック・マイナー・スケール
導音を作るために、ナチュラル・マイナー・スケールの7番目の音を半音上に上げたスケールです。
並びは主音から「全半全全半[全+半]半」です。
このスケールの欠点は、導音を作ったことによって6番目と7番目の間が開きすぎてしまい、メロディーの滑らかさが不十分になってしまっている点です。
・メロディック・マイナー・スケール
ハーモニック・マイナー・スケールの欠点を補填するために、6番目の音を半音上げたスケールです。
並びは主音から「全半全全全全半」です。このスケールの欠点は、メジャースケールと区別しずらいという点です。
3番目の音以外はメジャー・スケールと同じなので、特に下降時は3番目の音にたどり着くまでに、マイナー感が感じられません。そのため、下降時はナチュラル・マイナー・スケールに戻して使用する場合があります。
②フレーズを作りやすくするスケール
スケールの種類はたくさんありますが、今回は初心者の方がまずは覚えておきたい4つのスケールをご紹介致します。
② -1メジャー・ペンタトニックスケール
メジャー・ペンタトニックスケールは、メジャースケールの基準音から4番目と7番目を抜いた音階です。日本では「よな抜き」とも呼ばれ、非常にポピュラーなスケールです。
民謡からポップスまで幅広い楽曲で使用され、耳馴染みのある音階です。
◆例
Orangesta『Surges (feat. 夏背 & ルワン)』
メロディーは全てペンタトニックスケールです。
② -2マイナー・ペンタトニック・スケール
マイナー・ペンタトニック・スケールとは、主音から2番目と6番目を抜いたスケールです。
メジャー・ペンタトニック・スケールを6番目の音から並べ直したスケールとも捉えることができます。
◆例
Ed Sheeran『Shape of You』
メロディーは全てマイナー・ペンタトニック・スケールで構成されています。
② -3ホールトーン・スケール
ホールトーンとは、日本語で全音という意味です。
その名の通り、全ての音のインターバルを全音にしたスケールです。
音の雰囲気は、SF 感を感じ、どこか不思議な印象を与えます。
◆例
Kraftwerk『Spacelab』
0〜26秒あたりまでのメロディーがホールトーンスケールになっています。
② -4クロマチック・スケール
クロマチックは日本語で半音階という意味です。
その名の通り、全ての音のインターバルを半音にしたスケールです。
◆例
Mark Ronson ft. Bruno Mars『Uptown Funk』
サビの手間に入るベースが、クロマチックスケールになっています。
まとめ
以上、今回はスケールについてご説明しました。
スケールは音楽理論を理解する上で欠かせない知識です。スケールを理解することで、音楽制作に役立てましょう。
筆者はこの記事を執筆してみて、なぜメジャースケールは「全全半全全全半」という並びなのかと疑問が浮かびました。
調べてみると、この音の並びは主音に含まれる倍音に関係して決まっていることがわかりました。
私たちが心地よいと感じる響きには、理由があるのですね。
ちなみに、調性がない音楽の例として、無調性音楽が挙げられます。
無調性音楽では、特定の音が主音として機能せず、すべての音が平等な価値を持ちます。倍音を基準にした音の配列ではないため、予測不能で不協和音が多用されることが多いのが特徴です。
現代音楽がその代表例とも言えます。
確かに、予測不能で、少し不安を感じますね。
映画音楽や劇伴でも、このような心理的効果を狙って無調性が用いられることがあります。
東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。