創作(作詞・作曲)
創作とは、作詞・作曲におけるアイデアの種をフレーズレベルで書き溜めていく作業です。
主にアイデアとなるフレーズの種類には、以下の3つがあります。
- メロディのフレーズ
- 歌詞のフレーズ
- 楽器のフレーズ
これらはどれからやるのが良いという決まりはありません。また、アーティストの中には最初に降ってくるのは、色や景色、映像といった視覚的なイメージであったりする人もいるようです。
「このアイデアを曲にしてみよう!」という意思が芽生えたときから作曲は始まっていますので、思いついたアイデアはボイスメモやアイデアノートにメモしていつでも引き出せるようにしておきましょう。
このアイディアを元に、曲のイメージやコンセプト、歌詞の内容やメロディーを考え、作品の方向性を決定します。
デモ音源制作
アイデアが思いついたら、次はデモ音源制作の工程に入っていきます。
デモ音源とは、完成版のイメージを掴むために制作される仮の音源です。創作の工程でアイディアベースだったものを、曲として肉付けをしていく工程になります。
このステップの最終的な目標は、レコーディングに向けての最終確認用となる音源を作成することです。完成までにはメンバー、プロデューサー、アレンジャーとの楽曲のイメージ共有にも利用され、改善点があれば再度作り直しをして曲の方向性を固めていきます。
デモ音源を作成することは、レコーディング前にアレンジや歌唱の方向性を確定するための大切なステップです。
以下が主に必要な工程です。どこまでアーティストが行い、どこからアレンジャーが行うかは、プロジェクトによって異なります。
BPM 設定
BPM( Beats Per Minute )は、曲のテンポを表す数字です。一定のリズムでビートが刻まれる速さを示します。曲のスタイルや目的によって BPM を設定します。
曲構成
曲の形式を決定することも、デモ段階で行います。一般的な曲構成は、イントロ、A メロ、B メロ、サビ、間奏、ブリッジ、アウトロなどです。曲のテーマや目的に応じて、曲構成を決定します。
キー設定
曲のキー設定は曲の調性を決定することです。
ボーカルの音域に合わせたり、楽器の弾きやすさ、特性を考慮して決定するなど、キー設定には様々な考え方があります。
コード進行
コード進行は、曲に使用するコードの並び順を決定することです。
ジャンルによっても、コード進行のパターンが異なります。たとえば、ブルースやジャズなどは、独特のコード進行があります。そのため、ジャンルに合わせたコード進行を使うことが大切です。
また、コードアレンジも様々な種類があるため、コード理論を勉強することでよりアレンジの選択肢が広がります。
パート構成
曲のジャンルやスタイルに応じて、どのような楽器をどのタイミングで追加するかを決定します。
サビで盛り上げるためにパーカッションを追加したり、バラードのように仕上げたい場合はストリングスを追加したりなど、曲の世界観やメリハリを考えて構成していきます。
上記のことを決定したら、最終的なデモ音源を作成します。
プリプロ
レコーディングの方針を固めていくために「プリプロ」と呼ばれる作業も多くのプロジェクトで行われています。プリプロは、レコーディング前に行われる工程で、本番のレコーディングに近い音で仮録音することです。この仮録音は、曲や各パートのフレーズの確認、音作りの確認、各パートにかかるレコーディングする時間の把握などができます。
これらの作業をしっかりやることで次の工程であるレコーディングがスムーズになるので、しっかりと取り組みましょう。
レコーディング(録音)
デモ音源が完成し、プリプロを終えたら、次はいよいよレコーディング(録音)の工程です。完成版に向けての本格的な録音を行います。
この工程では意識すべき大切なことが大きく2つあります。
- イメージ通りの音を出すこと
- 最高の演奏(歌唱)をすること
この2つをきちんと遂行するために、どのような表現で歌うのか、どのようなニュアンスで演奏するかはプリプロの時点で予め決めておきます。また、プロデューサーやメンバー、エンジニアと事前の打ち合わせをしっかり行うことが大切です。
いくつかのテイクが録れたら、ベストテイクのセレクトや、場合によってはパンチインなども行います。
ミックス
レコーディングを終えて、どのテイクを採用するかが決まったら、ミックスの工程に入ります。
ミックスとは、レコーディングされた音源の音量バランスや、リバーブやディレイなどといったエフェクトの追加、パンニング(左右のステレオバランスの調整)などを調整し、曲全体のバランスを整えていく作業です。
ミックスは曲を立体的に世界観を作り上げていくため、マスタリングよりも創意的な工程になります。
ミックスについて詳しく解説している記事がありますので、こちらもご参考にして下さい。
マスタリング
マスタリングとは、ミックスの後に行う作業で、音楽制作における最終工程です。あなたの楽曲をリスナーに届けるにあたっての品質を担保し、最終的な書き出しまで行います。
市場に出回っている曲と比較して、音圧は適切か、ノイズが入っていないか、その他曲の始まりと終わりは何秒余白を持たせるか、アルバムの場合は一貫して聴ける作品になっているかなどを確認します。
また、どの媒体を通しても同じ印象になるように調整することもマスタリング工程の一つです。
まとめ
今回の記事では音楽制作の基本工程について簡単に解説しました。
一人でも多くのクリエイターの参考になれるとうれしいです。
各工程を全て自分で行うとなると、遂行するまでの情報収集、作業時間を含めて時間と労力がかかります。自分の行う分野に集中して行いたい方は、その他の作業を外注するのも良いでしょう。
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東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。
Masato Tashiro
プロフェッショナルとして音楽業界に20年のキャリアを持ち、ライブハウスの店長経験を経て、 2004年にavexに転職。以降、マネージャーとして、アーティストに関わる様々なプロフェッショナルとの業務をこなし、 音楽/映像/ライブ/イベントなどの企画制作、マーケティング戦略など、 音楽業界における様々な制作プロセスに精通している。 現在はコンサルタントとして様々なプロジェクトのサポートを行っている。