プロの音楽制作に携わる人をご紹介

楽曲が音源として完成するまで、つまり、配信やCDに流し込める状態までに仕上げたものを「完パケ」と言います。 この記事では、完パケになるまでに制作に携わる人々をご紹介します。

Nami
2023-06-024min read

前提として、必ずしも音楽制作の各プロセスを以下のような職業であるプロフェッショナルへ振り分けるとは限りません。作曲からマスタリングまで一貫して行う人や、レコーディングからミキシングまでを行うエンジニアなど、様々です。どのような依頼の仕方になるかは、プロジェクトによって異なります。

制作で関わる技術者

Dj's Mixing console with bright buttons make sounds on dark background. Sound engineer inside party
Photo by James Kovin / Unsplash

スタジオミュージシャン

スタジオミュージシャンは、楽曲に使用されている楽器パートを演奏してくれるミュージシャンです。
アーティストの希望する演奏を行う必要があるため、その楽器に対する豊富な知識と経験を持ち合わせています。

コーディネーター

コーディネーターは、楽曲をレコーディングする上で必要なスタジオミュージシャンを斡旋、コーディネートをしてくれる会社のことです。業界ではインペグ屋とも呼ばれています。
コーディネートを依頼をする際には、コーディネーターにレコーディングのスケジュールや楽曲などを共有し、要望に合ったミュージシャンをコーディネーターしてもらいます。

インストゥルメントテクニシャン

インストゥルメントテクニシャンは、アーティストやミュージシャンと連携してレコーディングに必要な楽器のメンテナンスをしてくれる技術者です。ミュージシャンが使用する楽器のチューニングや、ノイズが出ないように調整も行います。

その他にもモニターの位置や左右のバランスの調整、ドラムにおいてはバスドラ、スネア、タムなどのピッチやシンバル位置の高さを整えたりなど、レコーディングがスムーズに進むように動いてくれます。

・調律師
インストゥルメントテクニシャンの中でもクラシック系の楽器を取り扱う人たちは、調律師と呼ばれる傾向にあります。
ピアノなどの楽器はチューニングが非常に繊細で、アーティスト自身で調律をすることが困難な場合が多いです。そのような場合は、調律師に依頼をすることで専用の道具で調律をしてくれます。

マニュピレーター

マニュピレーターは、シーケンスデータを使用する楽曲において、レコーディング時に正確に楽曲のデータが走るように調整をする DAW 操作の責任者です。

シーケンスデータとは、自動演奏の役割を果たすもので、DAW に打ち込んだデータや、既存の音源で作成したオーディオデータなどが該当します。

レコーディングエンジニア

レコーディングエンジニアは、デモ音源を元に各楽器をアーティストの求める方向性に沿ってレコーディングをする技術者です。アーティストやプロデューサーの求める音を実現するために、使用するスタジオや機材選び、マイクの配置などを知識や経験に基づいて配慮し録音環境を整えていきます。

エンジニアによって録音の仕方も個性があるため、求める音楽によって依頼するエンジニアを変えるケースもあります。

アシスタントエンジニア

レコーディングスタジオには、そのスタジオに専属で働いているアシスタントエンジニアがいます。アシスタントエンジニアの主な仕事は、レコーディングエンジニアのサポートを行うことです。そのため、基本的にレコーディングエンジニアは2人体制となります。
アシスタントエンジニアは、レコーディングに必要な機材をコーディネートして準備をしておいたり、レコーディング中はエンジニアに指示されたDAWの設定や REC 操作、録音されたクリップデータの整理などの作業もサポートします。

依頼するレコーディングエンジニアによっては、自分の弟子をアシスタントエンジニアとして連れてくる場合もあります。

ミックスエンジニア

ミックスエンジニアとは、作品のコンセプトやアーティストの意向を元にミックスを行う技術者です。ミックスはレコーディングされた各パートの周波数や音量、音の立体感やバランスなどを調整するプロセスです。
ミックスは楽曲の方向性やグルーブ感など、仕上がりを左右する重要な工程となります。

マスタリングエンジニア

マスタリングエンジニアとは、ミックスされた作品をリスナーの耳に届けるために最適化するため、楽曲の最終調整を行うエンジニアです。
ミックスされたデータをどの媒体で聞いても良いサウンドを保てるように調整し、2mix データとして書き出します。
その他、アルバムや EP のように一つの作品に数曲収録される場合は、その作品全体がまとまりのあるものにするために調整を行います。

マスタリングの現場では、マスタリングエンジニアの他にアーティストとディレクターが同席することが多いです。その他マスタリングエンジニアのお弟子さんや、プロデューサーも参加する場合もあります。

プロジェクトを共に進めていく人

Music studio with premium, vintage and analog gear
Photo by Caught In Joy / Unsplash

プロデューサー

プロデューサーの中にもいくつか役割がありますが、今回は音楽制作に関わるサウンドプロデューサーと呼ばれる役割についてご説明します。

サウンドプロデューサーとは、楽曲を聴いた人の感情をどう動かすかを考えてサウンドデザインの方向性を示す人です。
アーティストと一緒にサウンドメイクを行っていく上で、エンジニア視点によるサウンドイメージの設定、クリエイター視点による表現したいことを作り上げていく力、リスナー視点による客観的な感性などのサウンドデザインの品質管理スキルが求められます。

日本で有名なサウンドプロデューサーは、globe や安室奈美恵などを手がけた小室哲哉氏、Perfume やきゃりーぱみゅぱみゅなどをプロデュースした中田ヤスタカ氏、MONDO GROSSO のプロデューサー兼メンバーである大沢伸一氏などがいます。アニソンでは fripSide のプロデューサー兼メンバーの八木沼悟志氏、アイドルではモーニング娘。などを手がけたつんく♂氏なども有名です。

ダンスミュージック系のサウンドプロデューサーは、別名ビートメーカーと呼ばれることもあります。

ディレクター

ディレクターは、アーティストやプロデューサーが描いた作品の方針を受け、上がってきた作品素材の品質管理の責任を担う人です。
歌詞、アレンジ、パート構成を含めて、作品の音楽としての完成度を高めていくためにアレンジャー、レコーディングエンジニア、ミックスエンジニア、ミュージシャン、スタジオ機材のコーディネートなどの選定も行います。

音楽理論のスキルや、制作に関わる様々なプロフェッショナルとの人脈も求められます。

A&R

A&R は Artist and Repertory の略称で、決められたリリース日や予算で楽曲を仕上げられるようにスケジュール、予算管理を行う人です。また、スケジュールがスムーズに進むような調整も合わせて行います。ディレクターが考えたことを実際に実行するための進行管理を行っていく人というイメージです。

リリース日に間に合うように曲を仕上げるには、何日までにマスタリングを終える必要があるか、何日までにレコーディングを行えばいいかなどを考慮して制作スケジュールを組んでいきます。それに付随し、レコーディングをスムーズに進めるためには誰を同席させるかというコーディネートにも配慮することも仕事の一つです。
その他、作品をリリースする際に JASRAC や nextone などの著作権管理団体に楽曲登録なども行います。

マネージャー

マネージャーはアーティストのスケジュール管理やお金の管理など、クリエイティブ面以外の部分をサポートする人です。
どこまでが業務範囲かはアーティストとマネージャーの関係性によって異なりますが、音楽制作はもちろん、ミュージックビデオやジャケット写真、アーティスト写真、ライブ、コンサート、イベント、グッズ、取材対応、番組出演などといった様々なアーティスト活動の進行スケジュールや予算の調整、必要スタッフのコーディネートなどを行うため、業務内容は多岐にわたります。
また、プロデューサーが兼任でマネージャーの役割を行うケースも見られます。

アレンジャー

アレンジャーは、アーティストが制作したデモ楽曲のアレンジを手伝ってくれる人です。
このアレンジ工程は、曲がデモから一つの作品として完成していくために重要な工程です。

アレンジャーには大きく分けて歌詞のアレンジを手伝ってくれる人と、作曲を手伝ってくれる人がいます。
作曲においては、楽器構成や各パートのアレンジ、コードアレンジを行い、方針に沿ったアレンジを加えながら楽曲を完成させていきます。

アレンジャーでも自分の得意ではない部分は、パート単位で外注することは良くあるケースです。特にストリングスなどのクラシック系の楽器パートのアレンジの場合、その楽器演奏に精通した人にお願いする場合が多いです。


まとめ

今回は、楽曲を完パケに仕上げるまでに携わる人たちをご紹介しました。
少し細かいところをお話しすると、アーティストがレコーディングする際に必要な機材や、ミックスエンジニアがミックスする時に必要な機材をスタジオに運んでくれる「トランポ」という人もいます。トランポは、トランスポーター( transporter )という輸送や運送という意味を持つ英語からきています。
音楽が完成するまでにはどのような役割の人たちが関わっているかを理解することで、あなたの音楽制作に是非お役立て下さい。

ONLINE Studio には、今回ご紹介したミュージシャン、アレンジャー、プロデューサー、エンジニアなどを含めた音楽制作の各工程におけるプロフェッショナルたちが登録されています。

独自の審査を通過したプロフェッショナルスキルで、あなたの楽曲制作の助けてくれます。現在はプレリリース期間中。2023年の夏に本格リリース予定ですので、サービスインをした際には利用してみてはいかがでしょうか。

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Nami
Written by
Nami

東京出身の音楽クリエイター。 幼少期から音楽に触れ、高校時代ではボーカルを始める。その後弾き語りやバンドなど音楽活動を続けるうちに、自然の流れで楽曲制作をするように。 多様な音楽スタイルを聴くのが好きで、ジャンルレスな音楽感覚が強み。 現在は、ボーカル、DTM講師の傍ら音楽制作を行なっている。 今後、音楽制作やボーカルの依頼を増やし、さらに活動の幅を広げることを目指している。

監修

Masato Tashiro

プロフェッショナルとして音楽業界に20年のキャリアを持ち、ライブハウスの店長経験を経て、 2004年にavexに転職。以降、マネージャーとして、アーティストに関わる様々なプロフェッショナルとの業務をこなし、 音楽/映像/ライブ/イベントなどの企画制作、マーケティング戦略など、 音楽業界における様々な制作プロセスに精通している。 現在はコンサルタントとして様々なプロジェクトのサポートを行っている。

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